冬の「贈る旅」は、温暖な宮崎へ。陽光に恵まれた明るい空気感は、気ままに、のんびりと巡る旅先におすすめだ。日南海岸を南下しながら絶景の神社や歴史ある城下町を訪ねて南国の文化や歴史に出合い、秋冬の味覚・伊勢エビに舌鼓をうつ。豊かな風土に育まれた県南部へ、“宮崎らしさ”を再発見する旅へ出かけよう。
2026.10.26
SERVICE
宮崎・日南 冬のとっておきを探して日南海岸へ
宮崎の旅は、日南海岸を南下するドライブから始めよう。宮崎空港から車で約15分、「宮交ボタニックガーデン青島」は、南国の花木が冬でも楽しめる亜熱帯植物園。外苑には約20種の多彩なヤシが青空に映えるヤシコレクションがあり、熱帯果樹温室ではトロピカルフルーツを栽培するなど、趣向を凝らした展示がみどころだ。大温室では、世界三大花木とされるカエンボク、ホウオウボクのふたつを観賞できるほか、もうひとつのジャカランダも外苑に植栽。温室内は15度以上に保たれており、寒い季節でも暖かく過ごせる。
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メディニラ火の鳥(手前)などの花々から大きな花木までバランスよく配された大温室。天井高は約14メートルあり、2階の回廊からは花や木を間近に見られる。
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パパイヤをはじめマンゴーやグアバなどのトロピカルフルーツ26種類53品種が揃い、年間を通して果実をつける熱帯果樹温室。
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大温室のトレリス棚から枝垂れるように咲くゴールドシャワー。
見学後は園内にある「パラボラチョカフェ」で、宮崎の完熟マンゴーを使ったスムージーを味わいたい。
日向灘に面した断崖に立つ「鵜戸(うど)神宮」は、南九州を代表する神社。本殿に向かう急勾配の階段からは、むき出しの岩肌と岩を穿(うが)つ波しぶき、日南の青い空が一体となる、迫力満点の景色が望める。本殿は階段を下りて左手、大きな岩盤下の霊窟に鎮座しており、どこか神秘的な雰囲気だ。霊窟内には、主祭神・鸕鷀草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)ほか計六柱が祭られている。縁結びや安産、子育てにご利益があるとされ、霊窟内の御乳岩からしたたる御乳水を加えて作られる「おちちあめ」は、安産のお守りとして、また産後に口にすると乳の出がよくなるとして信仰されている。
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現在の本殿は1711(正徳元)年に再建されたもの。霊窟は、鸕鷀草葺不合尊の産屋址といわれており、意外な広さがある。
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本殿下の磯にある霊石・亀石。亀石の背中の桝形の窪みに、男性は左手、女性は右手で「運玉」を投げ入れ、見事入ると願いがかなうという。
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「運玉」は5玉200円 ※現金のみ
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「鵜戸神宮」ではウサギが神の使いとされており、境内には大小さまざまなウサギの像が見られるほか、絵馬やお守りもウサギモチーフのものがある。
ランチには、9月に漁が解禁となる、秋冬の味覚・伊勢エビを堪能したい。日向灘の荒波で育つ伊勢エビは身が締まり、プリッとした食感が魅力。「日南水産」では、水槽で生きたまま管理し、注文を受けてから調理するため、鮮度抜群の伊勢エビが味わえる。
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2名分のセット「伊勢海老づくし」(18,500円)は伊勢エビを2尾使用。1尾は刺身、もう1尾はボイルか炭火焼きが選べ、味噌汁は刺身の頭を使って作られる。
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店内には青い水槽が10基あり、伊勢エビや魚、貝類を分けて管理。水槽には、目の前の海から汲み上げてろ過した海水が注がれている。
宮交ボタニックガーデン青島
TEL 0985-65-1042
宮崎市青島2-12-1
8:30AM~5:00PM(大温室・熱帯果樹温室は9:00AM~)
無休、大温室は火曜、熱帯果樹温室は水曜休(ともに祝日の場合は開館)
入園・入館無料
鵜戸神宮
TEL 0987-29-1001
宮崎県日南市宮浦3232
開門6:00AM~閉門6:00PM
無休
境内無料
※2026年9月の大雨の影響で、同年9月24日現在、鵜戸神宮に至る市道鵜戸神宮線は通行止め。本殿まで徒歩約20分の観光駐車場の利用が呼びかけられています。
日南水産
TEL 0985-89-0833
宮崎市内海6225-3
販売9:00AM~4:00PM
食事11:00AM~3:30PM受付
木曜、第2・4水曜休(祝日の場合は営業。9月は第2・4水曜も営業)
飫肥 南国の城下町で石垣や堀割の町並みを歩く
鵜戸神宮からさらに南下し、やや内陸部に位置する飫肥(おび)へ。ここは九州で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された、伊東氏5万1千石の城下町。いまも残る武家屋敷や薬医門などが江戸の風情を伝えながら、庭木にはソテツが見られるなど、南国の城下町らしい趣が魅力だ。
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町を流れる堀割の清流には鯉が優雅に泳ぐ。
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江戸時代初期の町割りのまま道幅が維持されているため、道に面した石垣や門なども保全されている。電線が地中化され、いっそう江戸時代の町並みのよう。町を歩けば、庭先や周辺の道路を箒(ほうき)で掃く人の姿が見られ、ここで暮らす人々の手により町並みが保たれていることがわかる。
町のシンボルは、1978(昭和53)年に復元された「飫肥城跡」の大手門。重厚な櫓(やぐら)門で、復元には、かつて飫肥藩の財政を豊かに支えた特産の飫肥杉が使われている。
その大手門のすぐそばに立つ「郷土料理 おび天蔵」は、飫肥名物のすり身揚げ・おび天を製造する老舗。日南海岸で水揚げされた新鮮な魚のすり身に、自家製豆腐と黒砂糖、味噌、秘伝の出汁を合わせ、油で揚げた独特の揚げ物で、ほんのり甘く軟らかい食感。店内にはおび天の実演販売コーナーもあり、揚げたてを一枚から購入できるほか、飫肥のみやげも揃うため、気軽に立ち寄りたい。
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「おび天定食(松)」(2,000円)。おび天の盛り合わせのほか、飫肥の殿様に献上されたというプリンのような味わいの厚焼き玉子や、海藻の味噌漬け・むかでのりなどの郷土料理が楽しめる。
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江戸時代の長倉を店舗として利用。
堀割に錦鯉が遊泳する後町通り沿いに面した「喜庵(よろこびあん)一能(いちの)」は、築100年超の古民家を移築改装した日本料理店。昼夜ともに1日3組限定のスタイルだ。店主の黒木一雄氏は、有名料亭で長く腕をふるった後、故郷である日南に戻り、20年ほど前にこの店を開店させた。地産地消の考えのもと、旬の食材を用いて丁寧に拵(こしら)える正統派の日本料理は、素材のもち味を生かした滋味深く端正な味わい。黒木氏が長年収集した、季節感を伝える器は目にも美しく、料理と器を通して日本の四季を感じるひとときが過ごせる。
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5,500円のコースの一例。昼3,300円~、夜5,500円~で昼夜とも1日3組限定。前菜盛り合わせから順に提供される。訪れた6月は蛍籠を模した器やガラス鉢などが使用されていた。
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床の間の掛け軸も季節に合わせてしつらえられている。
飫肥城跡
TEL 0987-25-1905(飫肥城下町保存会/小村寿太郎記念館内)
宮崎県日南市飫肥10-4242
9:30AM~4:30PM
無休
入場無料(飫肥城歴史資料館、松尾の丸は12/29~12/31休、各入館料大人300円 ※現金のみ)
郷土料理 おび天蔵
TEL 0987-25-5717
宮崎県日南市飫肥9-1-8
売店9:30AM~5:00PM、食事10:30AM~4:00PM
※早めに閉店する場合あり
不定休
喜庵一能
TEL 0987-25-5551
宮崎県日南市飫肥5-2-41
11:30AM~1:30PM(L.O.)、5:30PM~8:30PM(L.O.)
不定休(要予約)
都城 霧島の恵みに育まれる県内第2の都市
霧島連山と鰐塚(わにつか)山地が囲む広大な都城(みやこのじょう)盆地にある都城市。清らかな水と肥沃な大地は古くから人々の営みを支え、農林畜産業や焼酎造りなどの産業を育んだ。ふるさと納税でも全国的に人気を博す都城の、歴史と食、新たな文化にふれる3つの場所を訪ねよう。
かつてこの地にあった荘園・島津荘(しまづのしょう)に名のルーツをもつことから、島津氏発祥の地とされる都城。その歴史を伝える「都城島津邸」は、島津本家から分かれ、のちに都城を治めた都城島津家の邸宅だ。敷地内では都城島津家が住んだ本宅や庭園が公開されているほか、伝来の史料を保存・展示する都城島津伝承館がある。ゆったり見学しながら、歴史に思いを馳せるひとときを過ごしたい。
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都城島津家が1879(明治12)年以降に住んだ本宅。昭和天皇皇后両陛下をお迎えするなど迎賓館としての役割も果たした。
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庭園を眺めながら静かなひとときを過ごす。庭に下りて散策もできる。
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都城島津家の家紋は島津本家の「丸に十字」と似ているが、丸と十字が接していない。都城島津家では丸と十字の間にすき間を設けることで、本家との違いを示している。
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1973(昭和48)年に昭和天皇皇后両陛下が宿泊された際の献立をレプリカで再現。2階には両陛下が利用された寝室も見られる。
2025年の「第1回宮崎ブランドポークしゃぶしゃぶ総選挙」で最優秀賞に輝いた都城の観音池(かんのんいけ)ポーク。安全・安心な豚肉を生産しようと1990年に設立された研究会が発展、現在は4戸の養豚農家が協働し、飼育から販売までを一貫して行っている。飼料や生育環境にこだわり健やかに育った観音池ポークは、しっかりしたうまみと上品な甘みが特徴で、キメが細かく軟らか。「観音池ポーク高城(たかじょう)本店」では自慢の精肉のほか、独自のレシピで作るメンチカツなどが購入できる。
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「メンチカツ」(1個220円)。観音池ポークのミンチに国産キャベツとタマネギがたっぷり入り、肉のうまみと野菜の甘みが楽しめる。
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店頭では揚げたてが購入できる。
2022年に開業した「HOTEL TERRASTA(テラスタ)」は、洗練された空間に都城らしさが息づいているのが魅力。ラウンジでは地元の焼酎が楽しめるほか、地域の工芸品が彩る客室もあり、滞在を通して土地の文化にふれられる。
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クラフトルーム「和紙」(おひとり様1泊朝食付39,300円~)。宮崎在住の和紙職人・福田雅美氏が手がけた手すき和紙を用い、繊細さと力強さを表現している。クラフトルームはほかに漆、木、火山灰をテーマにしたものも。客室は全93室。スタンダードルームからスイートルームまで揃い、旅の目的や人数に応じて選べる。
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ギャラリーラウンジには、滞在中自由に飲める焼酎のウエルカムドリンクを常設。ラウンジを飾るアートは宮崎出身の版画家・黒木周氏が手がけている。
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フロント横には、自身で詰められるバスソルトのコーナーも。
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プライベートラウンジのモダンなモノクロ写真は、よく見ると都城のかつての風景を写したもの。
都城島津邸
TEL 0986-23-2116
宮崎県都城市早鈴町18-5
9:00AM~5:00PM
※最終入館は閉館30分前
月曜休(祝日の場合は翌日)
観覧料:本宅110円、都城島津伝承館大人220円(展示内容により観覧料の変更あり)
観音池ポーク 高城本店
TEL0986-58-5499
宮崎県都城市高城町石山147-1
10:00AM~6:30PM
月曜休
HOTEL TERRASTA
TEL 0986-45-1212
宮崎県都城市中町17-2
スーペリアツインルームおひとり様1泊朝食付9,800円~
取材・文/宮本喜代美 写真/松隈直樹
●取材時期:2026年5月下旬 ※価格は消費税込。L.O.=ラストオーダー
※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。