瀬戸内の穏やかな気候に恵まれ、自然や歴史、食文化、アートなど、多くの旅の醍醐味にあふれる香川県。秋はその魅力がぐっと深まるシーズンだ。錦繡に染まる大渓谷のダイナミックな風景が見事な小豆島へ出かけてみませんか。
2026.07.24
渓谷・里山・海辺で島の秋を愛でる
瀬戸内海の島々で淡路島に次ぐ大きさの香川県小豆島は、地殻変動や火山活動によって形づくられたと考えられている。『日本書紀』に阿豆枳辞摩(あづきじま)の名で記されるなど、人々の営みは神話の時代にまでさかのぼり、中世から近世は交易の拠点、さらに大坂城の石垣などに使われた、良質な花崗岩を産出する石切場でもあった。
島の最高峰、標高約817メートルの星ヶ城(ほしがじょう)から峰が西へ続き、その南側は風雨で侵食を受けた急峻な渓谷が海に向かって広がっている。「国立公園 寒霞渓」は、そんな渓谷美や奇岩・断崖を見ることができる景勝地。とくに紅葉の時季は50種類以上の植物が渓谷を赤や黄に染め、瀬戸内海と調和した風景を見せてくれる。山麓のこううん駅と山頂駅を結び、奇岩の間近や渓谷の真上を通るロープウェイで往復すれば、渓谷のスケールをより感じられるだろう。
秋の風景は島のあちこちに。山間の中山地区に広がる「中山千枚田」では、約800枚の棚田に稲穂が実る里山の風景に出合える。伝統の農村歌舞伎や太鼓台を奉納する秋祭りも行われている。
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南北朝時代から江戸時代に拓かれ、「日本の棚田百選」にも選定。初秋に黄金色に輝く稲穂が頭(こうべ)を垂れる。
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瀬戸内国際芸術祭2022での青木野枝氏の作品『No.sd54空の玉/寒霞渓』を展示。
日本映画・文学のテーマパーク「二十四の瞳映画村」も秋に訪れたい。小豆島出身の作家・壺井栄の小説『二十四の瞳』を映画化した際のロケセットを保存・公開しており、園内の季節の花畑には、一面に約5万本のコスモスが咲き誇る。海に臨むレトロな木造校舎とともに、島を代表するフォトジェニックなスポットだ。
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園内の「キネマの庵」では1950年代の日本映画を映像やパネルなどで振り返る展示を行っている。
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壺井栄生誕100年を記念した銅像『せんせあそぼ』を囲むようにコスモス畑が広がる。見ごろは11月上~下旬。
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映画でたびたび登場する木造校舎。レトロな教室内のセットや、1987(昭和62)年の撮影当時の小道具、写真展示もみどころ。
国立公園 寒霞渓
TEL 0879-82-2171(寒霞渓ロープウェイ)
香川県小豆郡小豆島町神懸通乙168(山頂駅)・乙327-1(こううん駅)
寒霞渓ロープウェイ8:30AM~5:00PM(12/21~3/20 ~4:30PM)※12分(紅葉シーズンは6分)間隔で運行
設備更新工事、荒天等の場合は臨時休業あり
ロープウェイ往復:大人2,340円(11月大人2,700円、12/11~3/20大人2,160円)
中山千枚田
TEL 0879-82-7021(小豆島町商工観光課)
香川県小豆郡小豆島町中山
散策自由
https://www.town.shodoshima.lg.jp/kanko/miru/nature/sennmaida.html
二十四の瞳映画村
TEL 0879-82-2455
香川県小豆郡小豆島町田浦甲931
9:00AM~5:00PM
無休
入場料:大人1,000円(季節により変動あり)
醤とオリーブの郷を堪能する
純正ごま油を使用した手延べそうめんなど、小豆島は多くの特産品で知られるが、約400年の歴史をもつしょうゆ造りもそのひとつだ。安土桃山時代、石切場を訪れていた諸大名の家臣たちが珍重していた醤(ひしお)の製法を島の住民が和歌山の湯浅で学んだことが始まり。明治初期の最盛期は約40の蔵があったといい、いまも蔵や工場などが立ち並ぶ「醤の郷(さと)」と呼ばれる地域などで醸造されている。
1907(明治40)年創業の丸金醤油の工場だった建物を改装した「マルキン醤油記念館」では、当時の道具の展示やもろみしぼり体験を通じて、伝統の製法をわかりやすく紹介している。徒歩約3分の場所にある、同社の天然醸造蔵もあわせて見学しておきたい。
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数多くの木桶で仕込む天然醸造蔵も国の登録有形文化財。内部はギャラリーステージの窓から見学できる。
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もろみしぼり体験(無料・予約不要)を開館日の10:00AM・2:00PMに実施。
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併設する売店では「マルキン醤の郷小豆島丸大豆生(なま)しょうゆ」(左/200ミリリットル・667円)や「蔵の雫」(右/150ミリリットル・518円)を販売。
一方、大正期から小豆島の産業として定着したのがオリーブの栽培。現在はオリーブ収穫量では日本一、オリーブオイルの生産も盛んだ。秋はオリーブの収穫時期。果実を塩水に漬けた当年の新漬けも島内に出回る。「井上誠耕園 らしく園」はオリーブ農家直営の複合施設。食用オイルからコスメ製品まで多彩な自社オリーブ製品が揃い、オリーブオイルの楽しみ方を提案する「レストラン忠左衛門」を併設している。オリーブオイルと島の食材や料理とのコラボレーションを堪能したい。
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季節替わりのパスタが味わえる「忠左衛門のスタッフおすすめセット」(2,530円)。写真の新漬けオリーブのトマトソースパスタは一例。好みで4種類のオリーブオイルをかけて楽しめる。
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オリーブオイルや香草塩をかけると味に深みが増す「オリーブ牛のタリアータ」(3,850円)。
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オリーブ園や港が眺められる店内。
開園100年を超える「小豆島オリーブ園」は、海を見渡せる園内で約2000本のオリーブを栽培。産業用では日本最古のオリーブの原木があることでも知られている。体験スペースでは好みのテイストにオイルをブレンドするプログラムも。マイオリーブオイルをおみやげにするのもおすすめだ。
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園内の一角にオリーブの原木がある。
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世界各地のオイルを用いてオリジナルオリーブオイルを作れる「マイオリーブオイルブレンド体験」(1,500円・要予約)。
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小豆島産100パーセントの「1st ORIGIN エキストラ バージンオリーブオイル 小豆島産」(左/180グラム・5,400円)と、樹齢100年以上のオリーブの実だけを使った「せとのめぐみ」(右/92グラム・4,968円)。
マルキン醤油記念館
TEL 0879-82-0047
香川県小豆郡小豆島町苗羽甲1850
9:00AM~4:00PM
※季節により変動あり
不定休(ウェブサイトを確認)
入館料:大人500円
井上誠耕園 らしく園 レストラン忠左衛門
TEL 0879-75-1188
香川県小豆郡小豆島町蒲生甲61-4
10:30AM~3:00PM(L.O.)
水曜休(時季により営業の場合あり)
小豆島オリーブ園
TEL 0879-82-4260
香川県小豆郡小豆島町西村甲2171
8:30AM~5:00PM
レストラン ランチ11:00AM~2:00PM(L.O.)
無休
穏やかな瀬戸内を望む 美景の宿へ
小豆島での滞在先は、色づく秋の風景とともに、瀬戸内の海辺の景色も美しい、ロケーションのよい宿・ホテルを選んでみたい。
醤の郷に立つ築100年以上の国の登録有形文化財の建物や食を通して島の魅力を発信する「島宿真里(まり)」。その別邸として、「海音(うみおと)真里」は二十四の瞳映画村などがある田浦半島の中央、堀越地区の浜辺に開業した。
島の民家の建具を用いるなど、懐かしくもモダンにデザインされた建物が印象的で、離れを含めた全6室の客室はすべてオーシャンビュー。心地よい潮騒をBGMに、海辺の景色を眺めながらくつろげる。夕食は、カウンター席もある食事処で。和食をベースに、島の食材を用いた品々には、オリーブオイルやもろみを使った自家製調味料を合わせるなど、料理から島の豊かな食文化が感じられるだろう。
小高い丘に位置し、広々としたガーデンと瀬戸内海の景色を楽しめるのが「オリビアン小豆島夕陽ヶ丘ホテル」。とくにロビーやテラス、海に面した客室などから眺められる夕陽の美しさは、「日本の夕陽百選」にも選定されている。瀬戸内海を一望できる露天風呂がある温泉の大浴場も夕刻の前後で堪能したい。オリーブ牛やしょうゆ、手延べそうめんなど、香川県や島の特産品を用いた料理が並ぶ夕食のブッフェも魅力だ。朝はイングリッシュガーデンの散策をぜひ。ハートをあしらったベンチやアート作品など、フォトジェニックなスポットも点在している。
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サンセットタイム(約30分間)は夕陽が見えるロビーでスパークリングワインをサービス。不定期で室内楽コンサートも開催。
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眺めのよい大浴場の露天風呂は朝の入浴もおすすめ。
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スタンダードな和室「夕陽側和室」(おひとり様1泊2食付17,600円~ ※サービス料込・入湯税150円別)。
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夕陽側のテラスも魅力的なエグゼクティブフロア「テラスルーム」(おひとり様1泊2食付25,300円~ ※サービス料込・入湯税150円別)
海音真里
TEL 0879-82-0086(真里)
香川県小豆郡小豆島町堀越字東脇478
おひとり様1泊2食付44,500円~(サービス料込・入湯税150円別)
オリビアン小豆島 夕陽ヶ丘ホテル
TEL 0879-65-2311
香川県小豆郡土庄町屋形崎甲63-1
おひとり様1泊2食付17,600円~(サービス料込・入湯税150円別)
取材・文/mado.lab 写真/合田慎二
●取材時期:2026年2月上旬
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー
※価格など掲載内容は店舗の諸事情により変更となる場合があります。