季節が深まって都会の木々が色づくにつれて、葉を揺する風の音はやさしく、葉の匂いも甘やかに変わってくる。私たちの感性を刺激する紅葉は、おいしい料理とともに楽しむと、その喜びはさらに何倍にも広がる。この秋、落ち着いた時間を過ごせる名店に出かけてみよう。
2026.07.24
歴史ある日本庭園の紅葉を楽しめる鉄板焼の名店
約1万坪の日本庭園を有する「ホテルニューオータニ(東京)」。かつて加藤清正の下屋敷や井伊家の庭園だったというこの場所は、現在は都心にありながら、心ゆくまで日本情緒に浸ることができるスポットになっている。池泉(ちせん)回遊式の日本庭園は、シンボリックな赤い太鼓橋や大滝、濠と大小の木立に囲まれ、秋が深まると見事な紅葉を見せてくれる。
その庭園のほぼ中央にあり、樹木に包まれるようにたたずむのが鉄板焼レストラン「石心亭」だ。紅葉が迎えてくれるアプローチや、全席カウンター席の店内からも庭園を眺めることができる。シェフが選び抜いた和牛や魚介などを、目の前で焼きあげてもらうぜいたくを、美しい紅葉とともに満喫したい。
石心亭[東京]

庭を眺められる、カーブを描くカウンター席。
TEL 03-3238-0024
東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ(東京)日本庭園内
11:30AM~1:30PM(L.O.)、5:00PM~8:30PM(L.O.)(日・祝~7:30PM(L.O.) ※日・祝は5:00PM~、7:00PM~の2部制)
月曜休(祝日は営業)
※サービス料:15%
人気の神宮外苑いちょう並木を満喫できる
青山通りから聖徳記念絵画館方面へ約300メートル続く神宮外苑いちょう並木は、毎年多くの観光客が訪れる、都心を代表する黄葉スポット。樹齢100年以上、通りの両側で大きく育つイチョウは、遠近法に基づいて、木の高さと絵画館に向かって緩やかに下る道の勾配を計算して植えられていて、青山通り側からの眺めは絵画のような美しさだ。
そのいちょう並木通り沿いにあるのが、フレンチをベースにした無国籍料理を提供する「キハチ 青山本店」。1階はテラス席があり、アラカルトメニューやアフタヌーンティーも楽しめるカフェ&カジュアルダイニング、2階はコース料理を中心としたレストランだ。例年11月中旬ごろから色づくいちょう並木を目の前に美食が楽しめる。
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いちょう並木沿いに開放的なオープンテラス席を備える1階カフェ&カジュアルダイニング。屋根があるので雨の日でも利用できる。黄葉の時季は特別メニューを提供。
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2階のメインダイニングで秋の黄葉期間に提供されるコース料理のイメージ。
キハチ 青山本店[東京]

完全予約制の2階メインダイニング。神宮外苑いちょう並木に面した窓から黄葉が見られる。緑と黄色が混じる時季も美しい。
TEL 03-5785-3641
東京都港区北青山2-1-19
1階11:30AM~9:00PM(L.O.)
2階11:30AM~3:00PM(L.O.)
6:00PM~9:00PM(L.O.)
不定休(ウェブサイトで要確認)
※サービス料:10%(2階・夜のみ)
紅葉が美しい日本庭園に面した和室で懐石形式の精進料理を
目の前に東京タワーがそびえる東京・愛宕山のふもと。曹洞宗の寺院「青松寺(せいしょうじ)」の山門をくぐり石段を上ると、樹木が生い茂る「精進料理 醍醐」の入口がある。1950(昭和25)年の創業当時は、隣接する青松寺の境内にあり、住職が「醍醐」と名付けたのだという。寺の宗祖が精進料理の礎を築いた道元禅師というのが縁で始めたそうだが、4代目、野村祐介氏が受け継ぐのはおもてなしのための精進料理。
現在はビルのなかにあるが、料理をいただくのは和の趣に満ちた数寄屋建築の和室。都会の喧騒を忘れさせてくれる静かな空間が非日常へと誘(いざな)う。席はすべて掘り炬燵(ごたつ)のある個室で、日本庭園を眺めながら、ゆっくりと食事を楽しむことができ、紅葉の季節は赤く染まったカエデが一段と美しい。
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白砂利と苔を配した枯山水の庭園は、つくばいや石灯籠が配された都会のなかの小宇宙。晩秋には赤や黄に染まったカエデが映える。
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料理は旬の食材を懐石形式の精進料理として提供。創業以来の献立を守りつつ、時代とともに進化した内容になっている。昼は20,470円~、夜は29,900円~。写真は秋の八寸の一例。
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数寄屋造りの個室の客室は、全8室。窓から日本庭園が見える。
精進料理 醍醐[東京]

TEL 03-3431-0811
東京都港区愛宕2-3-1 愛宕グリーンヒルズフォレストタワー2階
11:30AM~1:00PM(最終入店)、5:00PM~8:00PM(最終入店)
年始休
※サービス料:15%
推定樹齢400年超のイチョウの黄葉が楽しめる老舗レストラン
1903(明治36)年、日本の近代的西洋風公園の先駆けとして誕生した日比谷公園。秋には木々の紅葉が見事だ。園内のレストランとして親しまれている「日比谷松本楼」のすぐ前には、「首賭けイチョウ」と呼ばれる大木が天を突くように立っている。かつて道路拡張工事に伴い伐採される運命だったが、公園設計者の本多静六博士が「私の首に賭けても移植させてみせる」といったことから、こう呼ばれるようになったという。洋食を主体とした1階の「グリル&ガーデンテラス」では、イチョウの黄葉を存分に楽しめる。
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日比谷公園のほぼ中央で、すぐ目の前に迫力ある首賭けイチョウが立ち、黄葉を存分に楽しめるテラス席。
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牛フィレ肉のステーキ、カニクリームコロッケ、エビフライ、ポテトサラダなどが一度に味わえる人気メニュー「シェフズ スペシャル」(3,500円)。
日比谷松本楼 グリル&ガーデンテラス[東京]

TEL 03-3503-1452
東京都千代田区日比谷公園1-2
11:00AM~8:00PM(L.O.)
年末年始休
テラス席でサクラの紅葉と香り高いトリュフ料理を味わう
東京・六本木にある東京ミッドタウンには、敷地を取り囲むようにソメイヨシノを中心に約100本のサクラが植えられている。春の花見の時季だけでなく、秋の紅葉もまた美しい。なかでも、さくら通りに面したガーデンテラス1階にある「アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリ」の広々としたテラス席は、サクラの紅葉を眺められる特等席だ。香り高いトリュフを使った料理を堪能しながら、都心の秋の深まりを感じることができる。高級食材であるトリュフを、比較的カジュアルに楽しめるのもうれしい。
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ガーデンテラスの周りでは、サクラだけでなくイチョウやカエデ、ドウダンツツジなども植えられていて、美しい紅葉が見られる。(写真/PIXTA)
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メインメニューの「栃木県産下野牛フィレ肉の藁焼き フレッシュトリュフのチーズリゾット エシャロットコンフィと赤ワインソース」(130g・10,000円~)。
アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリ[東京]

TEL 03-5413-3830
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンテラス1階
11:00AM~2:30PM(L.O.)、5:30PM~9:00PM(L.O.)(土・日・祝11:00AM~9:00PM(L.O.))
休みは東京ミッドタウンに準ずる
※チャージ:550円(ディナーのみ)
取材・文/土井ゆう子
●取材時期:2026年3月下旬
※価格は消費税・サービス料込。 L.O.=ラストオーダー
※掲載内容は店舗の諸事情により変更となる場合があります。