世界的な和食ブームとともに抹茶が大流行し、いま注目される日本茶。私たちの暮らしにとても馴染み深いがゆえに、意外と知らないことも多い。新茶シーズンを前に、もっとおいしく楽しむための知識を、「中村藤𠮷麻布台店」店長、渡邉大祐氏に聞いた。
2026.02.18
1 日本茶とはどんなお茶?
お茶には日本茶、中国茶、紅茶などがあり、いずれもツバキ科のチャノキの葉を摘んで作られ、生産工程の発酵の度合いによって、色や香り、味わいが異なります。生葉は摘採した時点から酸化酵素の働きによって発酵が始まりますが、日本の緑茶は新鮮な状態で蒸したり、煎ったりと熱を加えることで酸化酵素の働きを止めて作られる不発酵茶。発酵させないので、茶葉のさわやかな香味や緑色が保たれます。一方、中国茶の多くは半発酵茶、紅茶は発酵茶です。
2 日本茶にはどんな種類がある?
日本でお茶といえば緑茶のことを指しますが、一般的なのが煎茶です。蒸して、揉(も)んで、乾燥させるという工程で作られ、茶葉の収穫地によって、その度合いを変えて、苦味や渋みが程よくなるように工夫されています。日光を遮る育て方で茶のうまみを高める玉露やてん茶、香ばしさが特徴のほうじ茶や玄米茶など、それぞれの個性を知り、飲み分けるのもいいでしょう。
3 よい茶葉とはどういうもの?
煎茶や玉露の場合、深い緑色で艶があり、細くとがっていたり、硬くよれていたりするものがよい茶葉といえます。冬の間にしっかりと養分を蓄え、その年の最初に生育した、小さく軟らかな新芽の部分を摘みとって作ったお茶のことを一番茶(新茶)と呼び、収穫時期は4〜5月。茶農家はこの一番茶に向けて、一年を通して剪定(せんてい)したり肥料を施したりと手入れをします。苦味の少ない若葉のさわやかな香りが特徴です。若いがゆえに、味や香りの深みは熟成を重ねた煎茶には及びませんが、生き生きとした新緑の力強さを味わうことができます。一番茶を摘んでから約50日後に摘まれる茶葉は二番茶と呼ばれ、すっきりとした渋みと香りが特徴です。
4 抹茶のおいしい飲み方は?
スイーツやラテなど、幅広い楽しみ方で人気の抹茶。茶会などで抹茶を点(た)てるときは作法やしきたりがありますが、自宅で気軽に飲むのもいいもの。まず、抹茶は静電気などでダマになりやすいので、使う前に茶こしなどでこしておくのがおすすめ。ダマになっていると泡立ちが悪くなり、味が均一でなくなります。混ぜるのに茶筅(ちゃせん)を使う場合は、乾燥していると穂先が欠けやすくなるので、ぬるま湯に浸して軟らかくしておくとよいでしょう。近ごろは手入れが簡単な樹脂製の茶筅もあります。また、ミルクや砂糖を加えて抹茶ラテなどを作る場合は、ハンドミキサーを使うと簡単に均一に混ぜることができます。
5 日本茶のおいしい淹れ方は?
湯の温度が高ければ高いほど、苦味や渋みが抽出されるので、それぞれの茶葉に合った淹れ方でおいしさを引き出してください。茶葉を購入したときに記載されている淹れ方を参考に。例えば、当店の「煎茶藤𠮷」なら、ティースプーン2杯の茶葉に、80度の湯を200ミリリットル注ぎ、30〜40秒蒸らすといった具合です。硬度の高い水は避け、水道水なら3〜5分程沸騰させてから使います。沸騰した湯を適温にするには、湯のみや湯冷まし用の器に注ぎ、移すことで温度を下げます。1回移し替えるごとに温度が約10度下がり、適温に調節できます。急須に湯が残らないように注ぎ切ることも大切。また、1煎目よりも2煎目、2煎目よりも3煎目は高い温度の湯で淹れます。
6 茶葉そのものは食べられる?
玉露や上質な煎茶、新茶は、飲んだ後の茶殻も香りがよく、軟らかいので、ポン酢をかけて食べると、ほんのりと苦味があっておいしいです。抽出後の茶葉は水気をしっかり絞って、炒め物に加えたり、細かく切ってドレッシングに入れたり、漬物と一緒にご飯に混ぜ込んでおにぎりにしたりとさまざまな使い方ができます。ただ、緑茶にはカフェインが含まれているので、食べる時間帯を考慮し、摂りすぎには注意が必要です。
7 茶葉の保存方法は?
お茶は非常に繊細で、急激に品質が変わります。酸素、湿気、温度や光に注意して保存するのがポイント。開封後は缶やチャック付ポリ袋などで密封し冷暗所で保管。茶葉のパッケージが、遮光性のあるチャック付の場合は、移し替えずにその袋で保管するとよいです。冷蔵庫での保管は臭いを吸収しやすいのでおすすめできません。また、古くなってしまったお茶は、フライパンなどで煎ると自家製ほうじ茶が作れます。
中村藤𠮷麻布台店

TEL 03-6381-5088
東京都港区虎ノ門5-9-1 麻布台ヒルズガーデンプラザB 地下1階
10:00AM~8:00PM
休みは麻布台ヒルズガーデンプラザに準ずる

カジュアルに日本茶が楽しめるテイクアウトスタイルの店舗。丸十(まると)の暖簾が目印。「試飲スペースで飲み比べをしてみてください」と渡邉氏。
取材・文/土井ゆう子 写真/伏木 博、中村藤𠮷本店
●取材時期:2025年9月上旬
※価格は消費税込。
※掲載内容は店舗の諸事情により変更となる場合があります。