夏に煌めく太陽の光が、自然と都市の表情を鮮やかに映し出す。太平洋岸北西部にあるバンクーバーの魅力を、スケールの大きな大自然や、街の利便性も自然の美しさも感じられるサイクリング、地産のグルメなどを通して、五感で体感する旅へ。
2026.05.15
寒い冬が明け、緑が輝く夏の森へ
太平洋に面するカナダ西海岸の都市、バンクーバー。日本からの直行便が運航していて、所要時間は約9時間。バンクーバー国際空港からダウンタウンへは電車や車で約30分でアクセスでき、移動中の車窓からは、街並みの向こうに緑豊かな山々の姿が見える。
冬の雨や雪で潤った大地の恵みを受け、木々が太陽の光の下でいきいきと輝き出す夏は、この街の魅力が最も際立つ季節だ。
そんなバンクーバーの自然を堪能し、夏を全身で体感できるのが「キャピラノ吊り橋公園」。豊かな温帯雨林に包まれたバンクーバーの代表的な観光スポットだ。キャピラノ川から約70メートルの高さに架かる全長137メートルの吊り橋や、樹齢約250年の木々の間を空中散歩できる「ツリートップス・アドベンチャー」、さらに、全長213メートル、約30階相当の高さを歩く大迫力の「クリフ・ウォーク」などが待っている。
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足もとの深い渓谷を見下ろしながら渡るスリル満点の「ザ・サスペンション・ブリッジ」。(写真/Capilano Suspension Bridge Park)
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「ストーリー・センター」では、1889年に始まった「キャピラノ吊り橋公園」の歩みを写真や展示で知ることができる。(写真/Capilano Suspension Bridge Park)
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夏にはアオサギなどの野鳥が姿を見せることも。(写真/Capilano Suspension Bridge Park)
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「ツリートップス・アドベンチャー」は、高くそびえる木々の間に架かる7つの吊り橋を巡る。(写真/Capilano Suspension Bridge Park)
そして、自然を楽しむうえで見逃せないもうひとつの観光スポットが、「シー・トゥー・スカイ・ゴンドラ」。ダウンタウンから少し足を延ばし、車で約45分。気軽に訪れやすい立地にありながら圧倒的なスケールの自然に出合える。ゴンドラで山頂へと向かう途中、ダイナミックに流れ落ちる滝や、世界的に知られるロッククライミングスポットが見え、山頂からは2021年にユネスコエコパーク(生物圏保存地域)に登録されたハウ・サウンド湾や迫力ある山々の眺望を楽しめる。また、初心者向けから上級者向けまで多様なハイキングコースがあり、景色を眺めるだけにとどまらず、自然のなかを歩くことでそのスケールをより深く感じられる。
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スイスのメーカー、CWA社特注のゴンドラキャビン。床から天井までガラス張りで、クッション性に優れた快適な座席を備えている。(写真/Sea to Sky Gondola)
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初心者向けの全長約1.3キロメートルのハイキングコースの途中には展望台が設けられ、山と海が織りなす美しい景色を望める。(写真/Destination Vancouver/Sea to Sky Gondola/Paul Bride)
キャピラノ吊り橋公園 Capilano Suspension Bridge Park
TEL 604-985-7474
3735 Capilano Road, North Vancouver, BC, V7R 4J1, Canada
営業時間は時期により異なるため公式ウェブサイトで要確認。
12/25休
入場料:大人(18~64歳)オンライン C$78.75、チケットカウンター C$81.90
シー・トゥー・スカイ・ゴンドラ Sea to Sky Gondola
TEL 604-892-2550
36800 Highway 99, Squamish, BC, V8B 0B6, Canada
不定休
※営業日時は時期により異なるため公式ウェブサイトで要確認。
入場料:大人(19~64歳) ゴンドラ往復チケット C$80.80、バンクーバー往復シャトルバスとゴンドラ往復チケット C$116.55
※いずれもオンライン購入時の料金。
※ゴンドラ往復チケットにはゴンドラ乗車、ハイキングトレイル、サスペンションブリッジ、サミットロッジへの入場が含まれる。
自然と共存するカナダ第3の都市
夏のバンクーバー市街は、生い茂る木々に彩られ、その背後には緑豊かな山々が連なる。湿度が低くさわやかな晴天が続き、日中はアウトドアアクティビティーを楽しむ人々で街全体に活気がみなぎる。
そんな季節におすすめの過ごし方が、サイクリングだ。約400ヘクタールの広大な敷地を誇る都市公園スタンレーパーク、その海岸線に沿って続くシーウォール、市民の憩いの場であるイングリッシュベイを自転車で巡ることで、バンクーバーの都市と自然の調和をより身近に感じられる。
自転車は、スタンレーパークの近くに店を構える1938年創業の老舗レンタルショップ「スポークス・バイシクル・レンタルズ」で借りよう。自転車のラインアップが豊富で、Eスクーターやふたり乗り用のレンタルも可能。英語ガイド付のプライベートサイクリングツアー(予約制)もあり、利用者の要望に応じてツアー内容をカスタマイズできるのも魅力だ。
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緑の森と海沿いの道、その先に広がるバンクーバーのスカイライン。海風を感じながら、サイクリングやウォーキングを楽しむ人々の姿が見られる。(写真/Lissandra Melo/Shutterstock)
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自転車の調整からルートのアドバイスまで、スタッフが親身に対応してくれる。(写真/Spokes Bicycle Rentals)
サイクリングで思いきり街を満喫した後は、バンクーバーの中心部に位置するホテル「フェアモント・パシフィック・リム」へ。アメリカのトラベルガイドの5ッ星に加え、AAAファイブダイヤモンドアワードも獲得した、世界的にも評価の高いラグジュアリーホテルだ。
アートを取り入れた空間づくりが特徴的で、美術館を思わせるロビーラウンジにはヴィンテージ・クチュールドレスのコレクションが並ぶ。1階と2階にあるギャラリーでは地元のデザイナーから海外のアーティストまで幅広い作品を展示。内容は四半期ごとに替わり、何度訪れても新たな作品に出合える。
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「コール・ハーバー・コーナー・スイート」ルームから、スタンレーパークの眺めを楽しめる。(写真/Fairmont Pacific Rim)
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「シグネチャー・ハーバー・マウンテン・ビュー」ルーム。大きな窓の向こうに、コール・ハーバーの海とノースショアの山々が広がる。Stearns & Foster社の高級ベッドを使用。(写真/Fairmont Pacific Rim)
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ホテル6階には開放感あふれるルーフトッププールがある。(写真/Fairmont Pacific Rim)
スポークス・バイシクル・レンタルズ Spokes Bicycle Rentals
TEL 604-688-5141
1798 W Georgia Street, Vancouver, BC, V6G 2V7, Canada
9:00AM~6:00PM(貸出し受付 ~5:00PM)
※時期により変更の場合あり。
不定休
料金は自転車の種類や利用時間により異なる。
※盗難防止用ロック、ヘルメット、バスケット、バッグは無料で貸出し。
※顔写真付身分証明書1点とクレジットカードが必要。
フェアモント・パシフィック・リム Fairmont Pacific Rim
TEL 604-695-5300
1038 Canada Place, Vancouver, BC, V6C 0B9, Canada
地域の文化を大切にする人々
バンクーバーのレストランやショップでは、カナダ国内で作られたものを扱う店が多い。そうした地域に根差した価値を大切にする姿勢が、街の個性や暮らしの豊かさを形づくっている。
市内にあるショップのなかでもとりわけ注目を集めるのが「ショップ・メーカーズ」だ。バンクーバー創業のブランドとして、作り手が活躍できる場を作るという想いのもと、各地へと歩みを広げてきた。現在はカナダ国内に23拠点を構え、カナダのものづくりを応援する店作りを展開している。店内には地元のクリエイターや小規模ビジネスの商品が集まり、ホームデコレーションやジュエリー、ステーショナリー、アート作品など、個性豊かなアイテムが並ぶ。さらに、バンクーバーをテーマにしたみやげ品も充実している。
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旅先の思い出や風景を表現したトリップ・ポスター。ポストカードは各C$8。
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カードゲーム「クリベッジ」のスコアボードをインテリア性の高いデザインにしたヒルトップ・ウッド&レジンは各C$28。
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ブランドごとに工夫されたディスプレーから、ものづくりの背景やストーリーが伝わる。
街を歩き地元の魅力にふれた後は、ゆっくりと食事を楽しみたい。そんなときに訪れたいのが、ステーキハウス「ブラック・アンド・ブルー」。2025年に地元メディア主催のレストランアワードで、ベストステーキハウスのひとつとして高い評価を受けた実力店だ。カナダ産のカナディアン・プライム・ビーフをはじめ、牛の高級部位や日本産和牛まで幅広く提供している。ランチやディナーのほか、3階のルーフトップダイニングではハッピーアワーや週末ブランチが楽しめる。豊富なワインリストも用意されていて、ステーキに合わせたワイン選びができるのもこの店の醍醐味だ。
自然とふれ合い、街を歩き、地元のものを味わう。バンクーバーでは、華やかさだけではない、暮らしのなかにある魅力が人々の心をつかんでいる。
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カナディアン・プライムは、軟らかい肉質と甘みのある脂が特長。外は香ばしくなかはジューシーに、シェフが絶妙な焼き加減で仕上げる。(写真/Black+Blue)
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「カナディアン・プライム・リブ・サンデー・ディナー」(C$61.95)は、カナディアン・プライム・ビーフの定番のひと皿。ヨークシャープディング、マッシュポテト、旬の野菜とともに楽しむ。(写真/Black+Blue)
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肉はレストラン内で丁寧にドライエイジングされている。(写真/Black+Blue)
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3階にあるルーフトップダイニング「ザ・ルーフ」。1~2階のエレガントさとは対照的に、カジュアルな雰囲気。(写真/Black+Blue)
ショップ・メーカーズ Shop Makers
1092 Robson Street, Vancouver, BC, V6E 1A7, Canada
11:00AM~8:00PM(日 ~7:00PM) ※変更の場合あり。
不定休
※商品のラインアップは予告なく変更される場合あり。
ブラック・アンド・ブルー Black+Blue
TEL 604-637-0777
1032 Alberni Street, Vancouver, BC, V6E 1A3, Canada
4:00PM~0:00AM(深夜)(金 11:30AM~)、ルーフトップダイニングでのハッピーアワー 2:00PM~5:00PM、ルーフトップダイニングでの週末ブランチ 土・日 10:30AM~2:00PM
12/25休 ※変更の場合あり。
Column│日本食でひと休み
バンクーバー旅行中、日本料理が恋しくなったときに訪れたいのが居酒屋レストラン「ざっ串(メイン店)」。2008年の創業から、地元の人々に愛されてきた。毎日シェフが1本ずつ丁寧に串打ちし、日本から取り寄せた備長炭で焼きあげる本格焼き鳥と、厳選された日本酒を味わえる。旅の途中に、ほっと心がほどける一軒だ。
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ランチメニュー「松花堂弁当」(C$36.75)は数量限定。和惣菜9種が楽しめる。
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マネージャーの山本祥平氏。日本食の魅力を地元の人々に届けたいという想いのもと、お店づくりに励む。
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店内は木のぬくもりを感じる落ち着いた空間で、まるで日本に帰ってきたような安心感に包まれる。
ざっ串(メイン店) ZAKKUSHI on MAIN
TEL 604-874-9455
4075 Main Street, Vancouver, BC, V5V 3P5, Canada
4:30PM~11:00PM(L.O.)(金 ~11:30PM(L.O.)、土 正午~11:30PM(L.O.)、日 正午~)
祝日休
取材・文/榎本彩乃 写真/Marcin Charlicki
コーディネート/Valuablelink Consulting Inc. 取材協力/Destination Vancouver
●取材時期:2025年11月下旬
※L.O.=ラストオーダー
※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。