バルセロナ 芸術と美酒を味わう街歩きの代表イメージ

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バルセロナ 芸術と美酒を味わう街歩き

ユネスコの世界文化遺産にも登録されている、モデルニスモ建築の傑作「カタルーニャ音楽堂」。

スペイン第2の都市、バルセロナ。地中海に面し、陽光にあふれるこの都市は、建築家アントニ・ガウディをはじめ、多くのアーティストに愛された街であり、またスペインの美酒カヴァの名産地でもある。モデルニスモ建築を巡り、街角のバルではカヴァのグラスを傾ける。楽しみが凝縮された街、バルセロナで、感性が刺激される休日を過ごそう。

2026.01.29

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ガウディの創造力にふれる街歩き

 2026年のバルセロナの大きな話題が、重要なランドマーク「サグラダ・ファミリア」中央塔の完成だ。建築家アントニ・ガウディの代表作であり、未完の傑作として知られている。1882年に建設が始まり、翌年、31歳にして主任建築家に任命されたガウディは生涯をかけて取り組んだ。死後もガウディが残した設計図と石膏(せっこう)模型から建築は続けられたが、いまだ完成には至っていない。それでもガウディの壮大な構想、細部へのこだわり、生命力に満ちたデザインは人々を魅了し続け、2005年には建築途中にもかかわらず、世界文化遺産に登録された。

ガウディ広場から望む「サグラダ・ファミリア」。

 実際にサグラダ・ファミリアの近くまで来て見上げると、その重量感あふれる壮麗さに圧倒される。天に向かってそびえるいくつもの塔のなか、中央塔はひときわ高く、完成すると172.5メートルとなる。彫刻に囲まれた生誕のファサードから堂内に入ると、そこはステンドグラスからの光が交差する巨大な空間だ。時間をたっぷりとってガウディの世界を堪能したい。

  • ガウディは聖堂内を森に見立てた。玄武岩、花崗(かこう)岩などの円柱が木のように伸びて天井を支えている。

  • 尖塔には司教のモチーフや福音史家に捧げるシンボルが配されている。

  • 東方の三賢人がイエスの生誕に駆け付ける様子を描いた彫刻。ファサード、壁、柱には聖書にまつわる彫刻が施されている。

 バルセロナはガウディの作品なしには語れない。にぎやかな大通り、グラシア通りにある「カサ・ミラ」の外観の波打つような曲線は、地中海をイメージしたもの。

  • 曲線を描く石造りの外観や屋上に突き出た煙突などがユニークだ。

  • ミラ夫妻の邸宅および高級アパートとして建築された「カサ・ミラ」は、19世紀末としては革新的な建物。写真は採光のための中庭から見上げた光景。

 企業家の邸宅として建築された「カサ・バトリョ」はタイルやガラスがさまざまな表情をもち、異界に誘(いざな)われるような空間だ。ガウディの創造力の底知れぬ深さを感じる。

  • ガウディが増改築を手がけた「カサ・バトリョ」。グラシア通りに面したバルコニーや鮮やかな色彩が印象的だ。

  • サロンとして使われた空間。海のなかにいるような錯覚を呼び起こす。

サグラダ・ファミリア Sagrada Família

TEL 932-080-414
C/Mallorca, 401, Barcelona
4~9月 9:00AM~8:00PM(土 ~6:00PM、日 10:30AM~)、
10・3月 9:00AM~7:00PM(土 ~6:00PM、日 10:30AM~)、
11~2月 9:00AM~6:00PM(日 10:30AM~)、
12/25・26、1/1・6 9:00AM~2:00PM
無休
入場料:大人€26、ガイドツアー(英語)大人€30
※公式ウェブサイトでのオンライン販売のみ

https://sagradafamilia.org/

カサ・ミラ Casa Milà

TEL 932-142-576
Passeig de Gràcia, 92, Barcelona
9:00AM~8:30PM(11/10~3/5 ~6:30PM、ただし12/26~1/4は~8:30PM)
※最終入場は閉場の1時間前
12/25休、1月にメンテナンス休館あり
入場料:大人€25~ ※時間により変更あり
※別途夜の見学セッションなどあり、時間と料金は要確認

https://www.lapedrera.com/ja/

カサ・バトリョ Casa Batlló

TEL 932-160-306
Passeig de Gràcia, 43, Barcelona
8:30AM~10:30PM
無休
入場料:大人€25~ ※時間により変更あり

https://www.casabatllo.es/ja/

目利きが集う街で美をセレクション

 バルセロナを彩るのはガウディ建築だけではない。19世紀末から20世紀にかけて、ヨーロッパ各地でアール・ヌーボーが盛んになり、バルセロナにも“カタルーニャ版アール・ヌーボー”とも呼ばれる芸術様式、モデルニスモが流行、とくに建築美術が花開いた。モデルニスモを代表する芸術家のひとり、ガウディの師であるモンタネールも、美しく創造的な建築をこの街に残した。その代表作が旧市街にある「カタルーニャ音楽堂」だ。

3階客席から見た「カタルーニャ音楽堂」の内部。天井とステージに向かって左右のステンドグラスが美しく、昼は夜のコンサート時とはまた違う雰囲気がある。

 華やかなタイルや作曲家たちの胸像が飾られた外観もすばらしいが、ホール内部のまるで宝石箱のような装飾には足を踏み入れた途端、心を奪われるだろう。まさに美に酔いしれる空間だ。
 かつてはカタルーニャ公国として栄え、19世紀の産業革命でも大きな発展を遂げたバルセロナは、現在も芸術・文化、伝統と革新が混交するトレンドの発信地だ。創造的なもの、美しいもの、おいしいものの目利きが集う街なのだ。

  • タイルのモザイクの柱に彩られたテラス。花をモチーフにしており、華やかだ。

  • 音楽にちなむ耽美(たんび)的な彫刻が随所にある。

 バルセロナならではのおいしいみやげを探せるのが「エントレ・ラタス」。センス抜群のオーナー、パオラ氏が選び抜いた、カタルーニャの特産品が揃う。稀少種のオリーブオイルやパッケージがおしゃれな缶詰、地元の人々がアペリティフに愛飲するベルムットなどほしくなるものばかり。

  • シックな店内におしゃれな缶詰や瓶詰が並び、ギャラリーのよう。バルセロナはオイルサーディンなど海の幸の加工品も名物。

  • オーナーのパオラ氏。イタリア出身の元デザイナーだけあって味とともにパッケージにもこだわりがある。

 サグラダ・ファミリアを見学した後に立ち寄りたい「リンゲルス」も、みやげ探しにおすすめだ。バルセロナのアーティストが制作した工芸品が充実している。

  • 明るい店内に、工芸品、アクセサリーからスイーツ、絵葉書までさまざまな品がところ狭しと並んでいる。

  • バルセロナのブランドチョコレートもここで手に入る。スペインらしいナッツを使ったチョコレートが人気。

 旧市街の小径にたたずむ「カサ・ジスペール」は1851年創業、バルセロナのなかでもとくに古い食料品店のひとつ。地元の食通がナッツを買いに来る。創業当時から使い続けている薪のオーブンでローストされたアーモンドはこの店ならではの香ばしさだ。

  • 自家製ローストのナッツを量り売りで買うことができる。

  • クラシックな店内。伝統のスイーツやジャム、ピクルスなど古くからの食料品店らしい品揃え。

カタルーニャ音楽堂 Palau de la Música Catalana

TEL 938-555-731
C/Palau de la Música, 4-6, Barcelona
9:00AM~3:30PM(見学時間)
不定休
入場料:大人€20、ガイドツアー(英語)大人€24

https://www.palaumusica.cat/

エントレ・ラタス Entre Latas

TEL 930-154-725
C/Torrijos, 16, Barcelona
11:00AM~2:00PM、6:00PM~9:00PM(日 正午~3:00PM)
月曜休

https://entrelatas-bcn.com/

リンゲルス Ringels

TEL 932-465-615
C/Mallorca, 418, Barcelona
9:00AM~9:00PM(12~3月 ~8:00PM)
無休

https://www.ringels.es/es/

カサ・ジスペール Casa Gispert

TEL 933-197-535
C/Sombrerers, 23, Barcelona
9:30AM~8:00PM
日・月休

https://www.casagispert.com/en/

カヴァと美味に酔いしれるバル巡り

 地中海に面し、また街の背後には山地が控える。そして、一年を通して陽光あふれる温暖な気候。カタルーニャ州は海の幸、山の幸に恵まれた地だ。そしてその中心であるバルセロナには、つねに新鮮な食の体験が待っている。伝統を大切にしつつも、革新を恐れないバルセロナの気質は食の世界においても変わらない。
 そして、旅行者にうれしいのは、グルメなバルが数多(あまた)あり、バルセロナの食のいまに気軽にふれられることだ。
 旧市街の小径に現れる、キュートでポップな内観の「カサ・ロレア」。カラフルなオリジナルのカヴァのボトルが飾られた店内は明るい雰囲気。カフェっぽい印象だが、タパスに定評があるバルだ。バルセロナ沖でとれるイワシをマリネしたボケロネスや、牛肉のタルタルなど鮮度抜群な食材が生きたタパスはカヴァやサングリアによく合う。ポーションが小ぶりなので、バル巡りの一軒目におすすめだ。

  • タパスの定番、ボケロネス。イワシの酢漬けをトマトやタマネギ、青唐辛子と一緒にひと口で。

  • 「カサ・ロレア」オリジナルのサングリア。さわやかでフルーティー。

  • ピンクと白を基調にしたおしゃれな店内。

 「バル・ムット」はカサ・ロレアとは対照的な、シックなワインバーといった趣のバル。カタルーニャ料理にこだわったグルメなバルとして評判が高く、大人が集う店だ。カヴァやワインの種類も多彩。港町らしくパエリアも絶品だ。マテ貝、赤エビ、甘エビ、アサリなどがちりばめられ、見た目はとてもモダン。食べてみると魚介のだしが濃厚で香りがよく、これぞ地中海に面したバルセロナのパエリアといえるだろう。

  • シックな店としてデートやアニバーサリーのディナーに使う地元の人も多い。少し肌寒い季節でもテラスの席が人気だ。

  • 彩りも美しい「パエリア・デ・マリスコ(海の幸のパエリア)」(€28)。辛口のカヴァとともに味わいたい。パエリアに添えられたバルセロナの名物、マテ貝のグリルは前菜としても好評。

  • 店内はワインやリキュールがずらりと並び、バーのような雰囲気。

 グラシア通りから横道を入った通りにテラス席が並ぶ「ヴィニトゥス」では、店頭にずらりと並ぶ“本日の海の幸”に目を奪われる。ここから好きなものを選んで料理してもらうこともできる。カヴァとともに味わうタパスの数々から、食べ応えのある料理まで実にバラエティー豊か。開放感ある明るいカウンター席には地元の常連客が集う、活気あふれる店だ。

  • 店に入ってすぐに目に飛び込んでくる“本日の海の幸”。エビや貝はバルセロナの名物だ。赤エビや小エビ、おおぶりのアサリやマテ貝、ムール貝など、どれも上品で甘みがある。

  • 手前から順に、魚介の炭火焼グリル、カマンベールのフライ、薄く切ったバゲットにのせて食べるモンタディトス。奥は目玉焼きと生ハムをのせたポテトフライで、パタタス・エストレヤードスと呼ばれ、カヴァやビールのおともの定番。

  • カウンター席では常連客が“いつもの“酒とタパスでくつろぐ姿が。

カサ・ロレア Casa Lolea

TEL 936-241-016
C/Sant Pere Més Alt, 49, Barcelona
9:00AM~0:00AM(深夜)
無休

https://casalolea.com/en/

バル・ムット Bar Mut

TEL 932-174-338
C/Pau Claris, 192, Barcelona
1:00PM~4:00PM、7:30PM~11:00PM
無休

https://barmut.com/en/

ヴィニトゥス Vinitus

TEL 933-632-127
C/Consell de Cent, 333, Barcelona
11:00AM~翌1:00AM
無休

https://www.laflautagroup.com/

取材・文/山口あゆみ 写真/入江啓祐 コーディネート/西井香織
●取材時期:2025年3月下旬
※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。

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