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見つめ直す、暮らしのなかの「和」

やってみよう、和の嗜み

器の割れや欠けを修復し、金の塗料(「簡易金継ぎ体験」では真鍮粉を使用)で修復部分を彩る作業。最初は小さな器から挑戦するのがおすすめだ。

先人から受け継がれてきた日本の文化に目を向け、嗜むことは、あらためて日々の暮らしを見つめ直すいい機会でもある。手先を使う細かな作業やゆったりとした時間の流れは、忙しい日常にひとときのやすらぎを与え、長く続けられる趣味になっていくだろう。

2026.01.29

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金継ぎ

修復することで新たな美を生み出す

 金継ぎとは、割れたり欠けたりした陶磁器を漆で接着し、継ぎ目に金や銀などを蒔(ま)いて飾る修復方法のこと。漆を使った修復は縄文時代の土器に見られるが、金で装飾する金継ぎは、室町時代に盛んになった茶の湯の文化とともに成熟した技法といわれている。当時の茶人は、修復した部分を「川の流れ」などと称して愛で、不完全なもののなかに新たな美を見出した。
 そんな金継ぎを学べるのが、漆器を中心に陶磁器なども販売する「器 日本橋夢東本店」。

 「本漆を使用する本格的な金継ぎは、湿度を60〜70パーセントに保った漆室に入れて、時間をかけて硬化させます。始めるなら、湿度が上がりはじめる春先からがおすすめです。まずは『簡易金継ぎ体験』に参加してみては」と講師の中村聡子氏。皮膚がかぶれる心配がない合成漆を使用し、90分程で割れや欠けの補修、塗りと一連の作業を体験できる。なお、本漆を使った「本格金継ぎ教室」は、1コマ90分で複数回通う継続型の教室となっている。

  • 金継ぎを施した器の数々。壊れたものを修復することで貴重な一点ものになる。

  • 「簡易金継ぎ体験」で修復した小皿。合成漆を使うので食器としては使用できないが、継ぎ目以外のところにも金彩を施し、自由に加飾できる。

簡易金継ぎの手順

  • ❶厚紙の上で2種の陶磁器用接着剤をよく混ぜあわせ、割れた陶磁器の断面に爪楊枝などで薄く付けていく。

  • ❷割れた部分を貼りあわせ、ずれないようにマスキングテープなどで留めておく。

  • ❸欠けている部分には指でよく練ったエポキシパテを少しずつ盛り付け、欠けた部分を埋める。

  • ❹エポキシパテが十分に固まったら空(から)研ぎペーパーで滑らかにし、器の形状に違和感がなくなるまで磨く。研ぎかすはしっかりと拭き取る。

  • ❺合成漆と金粉(真鍮粉)、うすめ液を混ぜあわせ、面相筆で接着部分とパテで埋めた部分を隠すように塗っていく。塗った部分にふれないようにして持ち帰り、自宅で5日~1週間室内で乾燥させる。

  • 店内では「本漆金継ぎキット金継ぎつづら」(16,500円)を販売。

器 日本橋夢東本店[東京]

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TEL 03-3279-2221
東京都中央区日本橋本町1-8-13
11:00AM~5:00PM(ショップ)
土・日・祝、夏季、年末年始休(ショップ)
※受講料:1回6,600円
※教室・体験の開催日時はウェブサイトで要確認

https://mutoh-corp.com/

和菓子作り

日本の四季を表す和菓子作りに挑戦

 「和菓子サロン一祥」は、京都で伝統的な和菓子作りを気軽に体験できる少人数制の和菓子教室。作る和菓子は月ごとに替わり、2025年を例にとると、3月は焼き桜、4月はういろう製葵祭といった具合。使う材料も吟味されている。講師の宮崎泰江氏は、数々の人気の和スイーツの商品開発を手がけてきた和菓子職人。教室ではデモンストレーションだけでなく、計量から完成まで、ひとりずつ実際に作る体験ができる。また、できたての和菓子をその場でお茶とともに味わい、みやげにすることも。1回完結型レッスンなので、観光の合間に体験するのもおすすめだ。

  • 稀少な備中白小豆を使って作る練切生地に、三角ベラで菊の花びらを形作り、仕上げの「しべ」をつけているところ。緊張感がありながらも楽しい瞬間だ。

  • 渋皮煮の栗を蒸し羊羹で包み、最後に竹皮で包んだ栗蒸し羊羹。秋のレッスンでの一例。

和菓子サロン一祥[京都]

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京都市中京区骨屋町143 G&Gビル203
※受講料:和菓子作り体験6,500円~
※教室・体験の開催日時はウェブサイトで要確認
※問い合わせは電子メールで(wagashi.issho@gmail.com)

https://www.wagashi-issho.com/

書道

美しい文字の書き方を習いながら集中力を高める

 書道は日本の伝統芸術のひとつ。毛筆と墨を使って書かれる文字は、伸びやかで美しい。現代では筆で文字を書く機会は少なくなったが、書法を身につけることで「書く」ことに自信がもて、心を整えることもできる。「HiSUi TOKYO」には和の嗜みを学ぶ書道、茶道、和装、抜刀の4種の教室がある。書道教室では、初心者は筆の持ち方や書く姿勢など基礎から学ぶことができ、経験者にはさらに幅広いカリキュラムが用意されている。写経や、百人一首を書くことで文字のとめやはねを習得したり、大字作品や草書作品を作ったり。定期的な昇段審査に挑戦し段位取得を目指すこともできる。

ベテラン講師による見本と添削が上達への一歩。大作にも挑戦できる。

HiSUi TOKYO[東京]

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TEL 03-3562-7575
東京都中央区銀座4-3-13 コイズミビル5階
※受講料:月2回コース13,200円、月3回コース18,150円ほか(体験レッスン:5,500円~)
※教室・体験の開催日時はウェブサイトで要確認

https://hisui-tokyo.com/

香道

室町時代から続く幽玄な香の世界へ

 香道とは香木を炷(た)いて、立ち上る香りを“聞く”ことによって楽しむ日本の伝統的な芸道。“聞く”というのはただ香りを嗅ぐのとは異なり、心のなかでその香りをゆっくりと味わい、季節の移ろいや自然の美へと心を遊ばせることを意味する。江戸時代から続く香木専門店「山田松香木店 京都本店」では、香木の炷き方が体験できる聞香(もんこう)コースの「聞香実践体験」、5つの香木を炷いて聞き分ける「源氏香体験」がある。また、自分だけの匂袋作りや煉香(ねりこう)(丸薬状に固めたお香)作りなどを体験できる「調香コース」もある。天然香木の香りが深い精神世界へといざなってくれる。

  • 聞香実践体験で、聞香炉の灰のなかに香炭団(こうたどん)を埋め、灰押で灰山を円錐形に整える所作。

  • 聞香炉(ききごうろ)、火箸や灰押(はいおさえ)などの道具が入った源氏香体験の一式。

山田松香木店 京都本店[京都]

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TEL 075-441-1123
京都市上京区勘解由小路町164
10:30AM~5:00PM(ショップ)
第3日曜、お盆、年末年始休
※受講料:聞香コース2,750円、匂袋作り体験2,200円、薫物(煉香)作り体験2,750円
※香の体験開催日時はウェブサイトで要確認

https://yamadamatsu.co.jp/

水引作り

水引で暮らしを彩るアイテムを制作

 水引とは和紙をこより状にして水糊で固めた飾り紐のこと。結婚や結納などのお祝いを包む祝儀袋や弔事の不祝儀袋などで使われるのが一般的だが、「和モダン水引協会」の講座では、水引をもっと身近に感じられるアクセサリーやテーブルまわりの小物なども制作する。「水引には物事を浄化し、邪気を払う力があるといわれています。未開封であることの証明や、結び方によって、人と人を結びつける、二度とないことを願うなどの意味もあり、奥深い美意識が感じられるのが魅力です」と代表理事の重田恭子氏。講座は都内7、8ヵ所で開催され、オンライン講座で学ぶこともできる。

  • さまざまな色がある水引。体験レッスンではひとつ結び、八の字結び、あわじ結びを学び、ぽち袋の飾りを作る。

  • 基本のあわじ結びを習得すれば、繊細なデザインの髪飾りを作ることも可能。

和モダン水引協会[東京]

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東京都練馬区練馬1-20-8 日建練馬ビル2階
体験レッスン3,300円~(対面)、3,300円(Zoomオンライン)、初級6回コース19,800円ほか
※教室・体験の開催日時はウェブサイトの予約カレンダーで要確認

https://modern-mizuhiki.jp/

取材・文/土井ゆう子 写真/伏木 博
※価格は消費税込。
●取材時期:2025年9月上旬 ※価格は消費税込。 ※価格など掲載内容は施設や店舗の諸事情により変更となる場合があります。

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