ホームシアターの現在の代表イメージ

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“おこもり”は冬のぜいたく

ホームシアターの現在

動画配信サービスの提供拡大とともに、ドラマやスポーツなどをスマートフォンでも観られるようになったいま、一方で、従来のテレビよりも大きなスクリーンで、臨場感あふれる映像やサウンドが楽しめるホームシアターが注目されている。新機種も続々登場して、家庭のリビングルームに導入しやすくなったホームシアターのトレンドを紹介する。

2025.11.14

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手ごろな価格帯が増えて、近年は市場が活性化

 さまざまな映像コンテンツが楽しめる昨今。進化するホームシアター事情を、専門店「ホームシアターファクトリー 新宿ショールーム」のスタッフ、明石昌洋(まさひろ)氏に聞いた。

 ホームシアターに必要な機材には、映像を映し出すスクリーンやプロジェクター、プレーヤーといった映像機器、音や映像データを調整するAVアンプ、スピーカーなどの音響機器がある。
 「スクリーンは一般的なテレビより大きい100インチ以上が主流です。プロジェクターは以前に比べ、低価格で設置しやすいものが増えてきているので、一般家庭にも導入しやすくなりました」と解説する明石昌洋氏。
 プロジェクターは、映像や画像を拡大して、壁やスクリーンなどに投影する装置。標準的なプロジェクターで100インチの画面を映すには、2.5〜3メートルの投写距離が必要となり、部屋の広さから大スクリーンを断念しなければならないことも少なくない。しかし近年、スクリーンのすぐそばに置いて大きな映像が映し出せる「超短焦点プロジェクター」が登場し、部屋の広さに関係なく、大スクリーンで映像を楽しめるようになった。

壁から最短で17.8センチメートル離すだけで、4K、100インチの大画面が広がる超短焦点プロジェクター。生活空間になじむシンプルなデザインで、設置も簡単だ。

 「超短焦点プロジェクターは以前からありましたが、価格が40〜50万円程まで下がってきて、身近な存在になりました」
 さらにプロジェクターの光源がハロゲンからレーザーになったことで寿命が長くなり、テレビと同じ感覚で、長時間つけて使用するユーザーも増えているという。
 ホームシアターといえば、以前は映画館同様に部屋を暗くして観るものだったが、近年はスクリーンに「耐外光タイプ」が増えていて、明るい室内でもきれいに観えるようになった。リビングルームに取り入れて、日常的に使いやすくなっているのも大きな特徴だ。
 「ホームシアターを考えるときは、スクリーンの大きさだけではなく、音のことも一緒に考えてほしい」と明石氏。一般的なのは前方左右・正面の3つのスピーカーと、後方左右にふたつのスピーカー、低音を強化するサブウーファーを組み合わせる5.1chサラウンドだが、これに上側(天井部分)のスピーカーをプラスする立体音響がスタンダードになってきている。
 ホームシアターを導入する際は予算も大切だが、部屋の広さや環境、主に何を観たいかなど目的を明確にして専門スタッフに相談しよう。

ホームシアターファクトリー 新宿ショールーム

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TEL03-5937-3150
東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー内リビングデザインセンターOZONE 6階
10:30AM~6:30PM
水曜、年末年始休

https://hometheater-factory.com/showroom/

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導入時のイメージを体感できる体験型ショールーム。パネル型100インチのスクリーンの下に、 超短焦点プロジェクターを組み合わせたコーナーでは、鮮明な4K映像が楽しめる。
ショールームにはホームシアターの没入感が味わえる「専用室シアタールーム」を完備。
「ホームシアターは、専門店でトータルに考えてもらうのがおすすめです」と明石氏。

手軽に導入できるエントリーモデルがますます充実

 本格的なホームシアターを導入するには、まずはどのような機材選びをするとよいのか。「ビックカメラ有楽町店」オーディオ&ホームシアターコーナー担当の小林桃斗氏におすすめの機材を聞いた。

 ホームシアターは、テレビとは異なる迫力ある映像と臨場感あふれるサウンドが魅力。必要な設備にかかる費用には幅があるが、予算を抑えつつ、ある程度のクオリティーを実現するなら、トータルで50万円前後の予算は考えておきたい。
 ホームシアターでは、天吊りタイプか据え置きタイプのプロジェクターを設置し、壁や巻き上げ式のスクリーンに投写する方法か、壁から50センチメートル以内の距離で100インチ以上の投写ができる超短焦点プロジェクターを使用する方法を選ぶことになる。
 超短焦点プロジェクターは狭い部屋でも大画面が楽しめ、4K解像度を実現する機種も多数。明るい部屋で、テレビと同じ感覚で使いたいというニーズに合ったタイプといえる。価格は10万円台から40万円くらいまで。専用のパネルスクリーンと組み合わせて使用しないと映像が歪んでしまうことがあるので、プロジェクターとスクリーンをセットで購入しよう。天吊りタイプのプロジェクターと巻き上げ式のスクリーンなどの組み合わせは、シアタールーム向きで、超短焦点プロジェクターに比べるとリーズナブルに揃えることができる。

スクリーン

テレビのサイズを超えた100インチ以上が主流

リビングルームでテレビ感覚で使用できる
超短焦点プロジェクター専用のパネル型スクリーン「キクチ科学研究所 超短焦点プロジェクター専用SPB-UT」。スクリーン面に「ウルトラショートスロー(UT)」を使用し、外光が差し込む明るい室内でも、色鮮やかでメリハリの効いた映像表現を実現する。100インチ型・W2244×D41×H1275ミリメートル(23万7,600円)。
好みの位置でサイズを調整できる、巻き上げタイプのスクリーン
金具などを使って天井や壁に固定する巻き上げ式のスクリーン「サンワサプライPRS-TS100HD」。引き出して任意の位置で固定でき、固定位置から少し引くとゆっくりと巻き上がる。100インチ型相当・W2410×D70×H1630ミリメートル(収納時・W2410×D70×H110ミリメートル)(44,000円)。

AVアンプ

初心者にも使いやすいエントリーモデル

充実の機能を搭載して、音の基本性能を高める5.1ch AVレシーバー
HDR(High Dynamic Range)/4K映像伝送やBluetooth®、5.1chサラウンドに対応した「ヤマハ RX-V385」。ヤマハ独自の「シネマDSP」、視聴環境に合わせて自動で音を最適化する「YPAO」など、エントリーモデルながら、充実の機能を搭載する。W435×D315×H161ミリメートル(40,050円)。

スピーカー

5.1chサラウンドをパッケージで実現

スリムなフォルムも魅力的なスピーカーパッケージ
クリアでナチュラルなサウンドの5.1chスピーカーパッケージ「ヤマハ NS-PA41」。壁かけ設置も可能なセンタースピーカー、左右にスリムなフォルムのフロントスピーカー、大型システムに匹敵する重低音再生を可能にするサブウーファー、部屋の後方に置くサラウンドスピーカーのセット(40,450円)

プロジェクター

投写距離と解像度が選ぶ際の基準

充実の性能が魅力の超短焦点プロジェクター
高品質の映像と音響を実現する規格「IMAX Enhanced(アイマックス エンハンスド)」と「Dolby Vision(ドルビービジョン)」の認証を取得した4K Ultra HD対応プロジェクター「アラジン マルカ マックス」。スクリーンとの距離を17.8センチメートル離すだけで、100インチの4Kシアターが実現できる。W510×D270×H144ミリメートル(37万9,800円)。
斜め横からも投写が可能な、据え置きタイプのホームプロジェクター
独自の4Kエンハンスメントテクノロジーにより、高精細な4K相当の高画質を実現する「エプソン EH-TW6250」。部屋の照明を落とさずに細部まで鮮明に映し出された映像が楽しめる。100インチのスクリーンに投写する場合は、最短投写距離約295センチメートル。充実した補正機能で、斜め横からも投写可能。W333×D275×H123ミリメートル(15万9,500円)。

ビックカメラ有楽町店

TEL 03-5221-1111
東京都千代田区有楽町1-11-1
10:00AM~10:00PM
無休

https://www.biccamera.com/bc/i/shop/shoplist/shop014.jsp/

高性能モデルが設置しやすくなって続々と登場

 映像もサウンドも妥協することなくホームシアターを構築したいという人のために、より上位の機種にはどんなものがあるのか、ホームシアターの専門店「アバック横浜」に聞いた。

 「アバック横浜」では、人気の4KプロジェクターやAVアンプを一堂に揃え、初めてホームシアターを体験する人から、最先端のトレンドを追い求める愛好家まで、さまざまなニーズに応えている。その予算の目安は150万円からだという。
 リビングルームにホームシアターを導入する場合、テレビと同じ感覚で使用するならパネルスクリーン、テレビとホームシアターの2種を同じ空間で使用するなら、電動巻き上げ式のスクリーンが考えられる。大きさは100〜120インチが主流だ。平面性が高く超短焦点プロジェクターと相性のよいパネルスクリーンには、画面を振動させることによりスクリーン本体から音が出る新発想のものも登場している。システムは3ch構成のため、スクリーンを設置するだけでフロントおよびセンタースピーカーとして機能し、スクリーンまわりをすっきりさせることができる。AVアンプを用意し、フロントの3ch分はスクリーンに接続し、それ以外のサラウンドは配置しているスピーカーにAVアンプを接続して使用すると、スタイリッシュに本格的な音響環境を作りあげることができる。

スクリーン

スピーカー機能内蔵のスクリーンも登場

スピーカーを内蔵し、臨場感あふれる空間を実現
「Bloomsbury lab(ブルームズベリーラボ)」は、映画館向けの大型スクリーンや音響設備を中心に、家庭用スクリーンも手がける韓国のブランド。「Bloomsbury lab M-LWO120U」は、明るい部屋でも鮮明な映像を観ることができる耐外光パネルスクリーンに、3chスピーカーを内蔵。画面全体から広がる没入感あふれるシネマティックサウンドが楽しめる。120インチ型・W2670×D42×H1510ミリメートル(64万6,800円)。
テレビと共存が可能な電動昇降スクリーン
電動昇降スクリーン「ホームシアターファクトリー HFHG120WMW」。ハイビジョンから4K、8Kまで対応の高精細ホワイトマット(拡散型)生地を採用。テレビの前に降ろせるように設置すると、ひとつの壁面でテレビとスクリーンが使える。120インチ型・投影面W2656×H1494ミリメートル(収納時・W2865×D95×H95ミリメートル)(25万5,000円)。

AVアンプ

スタンダードは5.1.4ch対応タイプ

ハイスペックかつコンパクトで、リビングルームに導入しやすい
8K/4K UHDなど超高画質の映像コンテンツを立体音響で楽しめる、高性能9.4ch AVサラウンドレシーバー「DENON AVR-X3800H」。ハイスペックでありながら、比較的コンパクトで、リビングルームに導入しやすい。W434×D389×H167ミリメートル(アンテナを立てた場合237ミリメートル)(15万5,430円)。

スピーカー

スタジオサウンドをリビングルームで再現

安定感ある老舗メーカーのシグネチャーモデル
イギリスの人気スピーカーブランドBowers & Wilkins (バウワース&ウィルキンス)のシグネチャーモデル「B&W 704S3」と「HTM72S3」。フロアスタンディングスピーカー「704S3」は、スリムなボディに鮮烈でパワフルなサウンドを備える。W252×D321×H964ミリメートル(66万4,400円/ペア)。センタースピーカー「HTM72S3」W477×D302×H165ミリメートル(25万3,000円)。

プロジェクター

4K HDR対応の高画質プロジェクター

使い勝手のいい高画質・高音質プロジェクター
壁際に置くだけで、時間や場所を選ばずに大画面を楽しめる超短焦点プロジェクター「エプソン EH-LS800(B/W)」。高精細でありながら自然な4K相当の高画質を実現。ヤマハ製2.1chの高音質スピーカーも搭載されている。W695×D341×H145ミリメートル(45万1,000円)。
超コンパクトサイズのネイティブ4Kプロジェクター
「Victor DLA-Z5(B/W)」は光学ユニット、レンズ、回路基板をはじめ、ほぼすべてを設計しなおすことで、従来モデルより体積を約35パーセント削減した。4Kの高解像度を忠実に再現するプロジェクターとして超コンパクトサイズを実現。W450×D479×H181ミリメートル(希望小売価格88万円)。

アバック横浜

TEL 045-228-9881
神奈川県横浜市中区長者町3-8-13 TK関内プラザ1階
11:00AM~7:00PM(来店の際は予約が望ましい)
火・水、年末年始休

https://corp.avac.co.jp/contents/shop/yokohama.html/

取材・文/土井ゆう子 写真/伏木 博
●取材時期:2025年7月上旬
※価格は消費税込。
※サイズのWは幅、Dは奥行き、Hは高さ。
※価格などの掲載内容は施設、店舗の諸事情により変更となる場合があります。

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