究極のひと皿をつくる カスレの代表イメージ

レシピ

“おこもり”は冬のぜいたく

究極のひと皿をつくる
カスレ

時間をかけて煮込んだ料理は、とりわけ冬にそのおいしさが実感できるもの。おこもりの時間を今回は料理に使って、本格的なフランス料理に挑戦してみよう。フランス南西部の郷土料理をスペシャリテとする名店に、その秘伝のレシピを教わった。

2025.10.24

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フレンチ通がこよなく愛する、オクシタニー地方の豆料理

教えてくれたのは……

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パトリック・パッション氏 レストラン パッション
オーナーシェフ

2024年の「トゥールーズ風カスレ世界大会」で優勝したパトリック・パッション氏。

 カスレはフランス南西部、オクシタニー地方の郷土料理。その作り方を教えてくれたのは、「レストラン パッション」の2代目シェフ、パトリック・パッション氏。父親で初代オーナーシェフのアンドレ・パッション氏直伝の「トゥールーズ風カスレ」は、白インゲン豆や豚肉などをスープで煮込み、鴨のコンフィ、ソーセージなどをのせ、料理名の語源でもある土鍋(カソール)に入れて焼いたもの。
 「フランスの家庭では、今日は鴨のコンフィ、明日は豚足のスープとゼリーを作るなど、数日かけて材料を仕込んで完成させ、週末のごちそうにします。保存のきく料理ですから、たくさん作って、小分けにして保存しておくのもよいでしょう」とパトリック・パッション氏。

トゥールーズ風カスレ
■材料(8名分)

鴨のコンフィ

  •  鴨もも肉…2~3本
  •  粗塩…適量
  •  油(サラダ油など)…適量

フォン・ド・カスレ(スープ)

  •  豚足…500グラム
  •  水…3リットル
  • 白インゲン豆…400グラム
  • スペアリブ…1本(70~100グラム)
  • 豚肩ロース肉…500グラム
  • 塩…小さじ2
  • コショウ…小さじ2と1/2
  • 油(サラダ油など)…適量
  • タマネギ(すりおろし)…120グラム
  • ニンニク(すりおろし)…20グラム
  • オニオンピケ(皮をむいたタマネギにクローブを10個程刺したもの)…2個
  • ブーケガルニ(タイムとセロリを合わせてタコ糸で束ねたもの)…2束
  • トマトペースト…10グラム
  • ソーセージ…400グラム

■作り方

  • 下ごしらえ

    ❶鴨のコンフィを作る。鴨もも肉の両面に粗塩をすり込み、キッチンペーパーで包んで冷蔵庫でひと晩寝かせ、翌日塩を洗い流し水気を拭き取る。
    ❷鍋に①を入れ、鴨肉がかぶるくらいまで油を注ぎ入れて火にかけ、130~140度で3時間程煮る。鴨肉を油から取り出して冷めたら骨を外し、5~6センチメートル程の食べやすい大きさに切る。

  • ❸フォン・ド・カスレ(スープ)を作る。鍋に豚足と水を入れて火にかけ、沸騰したら約10分煮て火を止める。少し休ませたら豚足を取り出し、スープはとっておく。豚足は温かいうちに骨を取り除き、バットなどに入れて冷やし固める。豚足は細かい骨があるので、注意して取る。

  • ❹白インゲン豆はたっぷりの水(分量記載外)に浸し、ひと晩おく。このとき、スペアリブ(レストランではもも肉の生ハムの肉を削いだ残りの骨の部分を使用)も一緒に浸けておく。

  • ❺④の水気を切って鍋に入れ、たっぷりの水を入れて火にかける。沸騰したらアクを取り、5分程ゆで、湯を切る。

  • ❻豚肩ロース肉は3センチメートル角くらいに切り、塩小さじ1とコショウ小さじ1を均一にまぶす。フライパンに油をひき、強火で表面がカリカリになるまで炒める。

  • ❼③で冷やし固めた豚足は3センチメートル角くらいに切る。さわって硬い部分はさらに細かく切る。

  • 具材を煮込む

    ❽フライパンに油をひき、タマネギを半量入れて、透明感が出て水分がなくなるまで炒め、半量のニンニクを加えて、さらにタマネギが飴色になるまで炒める。
    ❾鍋に⑤の白インゲン豆とスペアリブを入れ、③のスープを浸るほど注ぎ、⑦の豚足、オニオンピケ1個、ブーケガルニ1束、⑧、塩小さじ1・コショウ小さじ1と1/2を加えて火にかける。沸騰したら蓋をして、弱火で約40分煮た後、スペアリブを取り出して骨を外し、肉は3センチメートル角程度に切って鍋に戻し入れる。
    ➓別の鍋に⑥を入れ、火にかける。パチパチと音が出始めたら、残りのニンニクを加えて、焦がさないように下からかき混ぜながら炒め、③のスープを肉がヒタヒタになるくらいまで注ぐ。残っているタマネギを薄く色づく程度に炒めて加え、トマトペースト、残りのオニオンピケ、ブーケガルニを加えて煮る。沸騰したら蓋をして、弱火で約40分煮る。
    ⓫⑨の鍋に⑩を加え、さらに弱火で約45分煮込み、塩・コショウ各適量(分量記載外)で味を調え、火を止める。30分程休ませ、オニオンピケ、ブーケガルニを取り除く。

  • 仕上げの焼き

    ⓬ソーセージはオーブンで焼いてうっすらと焼き色を付け、4~5センチメートルの長さに切る。
    ⓭耐熱容器に11を人数分入れ、の鴨のコンフィとのソーセージ適量を上にのせ、焼き色が付くようにオーブンで焼く。耐熱容器の大きさにもよるが、180~200度のオーブンで45分程焼けばできあがり。

レストラン パッション[東京]

サムネイル

TEL 03-3476-5025
東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスB棟1号
正午~1:30PM(L.O.)(土・日・祝 11:30AM~)、6:00PM~8:30PM(L.O.)
火、水(月2回)、夏季、年末年始休
※サービス料:10%

https://pachon.co.jp/

17世紀のフランスの修道院で使われていた暖炉が美しい店内。

取材・文/土井ゆう子 写真/伏木 博
●取材時期:2025年6月下旬
L.O.=ラストオーダー
※掲載内容は店舗の諸事情により変更となる場合があります。

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