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連載 趣味のある休日

趣味のある休日

絵を描く楽しみを、あらためて

「絵画教室 アトリエ・オモ3」日本画コースの体験レッスンから。特別な絵具で日本画特有の色彩を楽しむ。

クレヨンや色鉛筆、水彩絵具などを使って、子どものころはよく描いていた絵も、大人になるとすっかり縁遠い存在に……。鉛筆やペンを使って文字を書くことも少なくなったいま、あらためて色鉛筆や絵筆を握ってみると、新鮮な感覚がよみがえってくる。絵心がある人も、そうでない人も、無心になってワクワクする時間に、もう一度浸ってみてはどうだろう。

2025.8.25

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大人の絵画教室で、新鮮な“お絵描き”体験

 あらためて絵を描き始めるなら、プロの指導が受けられる絵画教室に通うのが上達への近道だ。とはいえ、実際の授業やクラスの雰囲気が自分に合っているかどうか試したい。「絵画教室 アトリエ・オモ3」の体験レッスンに参加してみた。

絵画コースの体験レッスンで描くリンゴ。画材をパステル、色鉛筆、鉛筆のなかから選ぶ。

 東京・表参道にアトリエを構える「絵画教室 アトリエ・オモ3」には、絵画コースと日本画・水墨画コースがあり、入会前には体験レッスンを受けることができる。実際に生徒が通うクラスで一緒にレッスンを受けられるので、教室の雰囲気や講師の教え方などをしっかり感じ取ることができる。今回参加したのは、絵画コースと日本画コースの体験レッスン。
 絵画コースでは、リンゴを描く。対象物として本物のリンゴが用意され、パステル、色鉛筆、鉛筆の3種から好きな画材を選ぶ。「デッサンを基礎から習いたい人は鉛筆、油絵などを始めたい人はパステル、水彩画をやってみたい人は色鉛筆を選ぶことが多いようです。今後、描きたい絵によって画材を選びましょう」と講師の中浦 情(こころ)氏。基本的な形の取り方や立体感の出し方、色の塗り重ね方などを教えてもらいながら、リンゴの絵を完成させてゆく。一方、日本画コースでは季節の花を描く。琳派(りんぱ)の絵画の植物のモチーフを転写し、色塗りを行うなかで、日本画特有の岩絵具や胡粉(ごふん)についての解説も受けられる。
 通常1回3時間のクラスのなかで、体験レッスンの所要時間は2時間前後。道具はすべて用意されているので手ぶらで参加でき、同じ空間で先輩受講者の創作活動を垣間見ることで、創作意欲もかき立てられる。いつでも入会でき、講師のアドバイスを受けながら、自分のペースで納得いくまで描けるのが魅力だ。

  • 日本画コースの体験レッスンで完成させた作品。江戸琳派の旗手、鈴木其一(きいつ)の「秋草図屛風」の一部を転写し、彩色。

  • 絵画コースの体験レッスンの一例。本物のリンゴを観察しながら、パステルを使ってリンゴを描く。画材やイーゼル、紙も用意されていて、紙は4、5色から選ぶことができる。

  • 色の塗り重ね方や陰影の付け方を教えてもらいながら完成させる。

絵画教室 アトリエ・オモ3 [東京]

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TEL 03-6311-0230
東京都渋谷区神宮前5-6-13 ヴァイス表参道3-A
授業料:絵画コース(月4回・16,800円)、
日本画・水墨画コース(月4回・19,900円)
(ほか入会金11,000円、設備維持費4,620円(年2回)など)
※体験レッスン(絵画コース、日本画・水墨画コース 各2,200円)あり

https://www.artomo3.com/

自然光の入る快適な空間で、通常受講者とともに行われる体験レッスン。第一線で活躍する講師陣に指導してもらえる。

あらためて基礎から学べる、おすすめ絵画教室

 絵画教室での学びは単に絵のテクニックだけでなく、日常生活のなかで創造性を育む豊かな時間をもたらしてくれる。ここでは、東京と関西それぞれのエリアから、初心者でも楽しめる絵画教室を紹介する。

多彩なジャンルから選べるカルチャーサロン

 さまざまな定期講座を運営する「三越カルチャーサロン」では、「基礎から学ぶ水彩画」「初心者のための基礎デッサン」「楽しい色鉛筆画」「ボタニカルアート」など、絵画のジャンルだけでも多彩なラインアップで、いずれも初心者歓迎となっている。
 今回紹介するのは、旅先で出合った自然や建物の美しさを、その場で手早く描く技法が学べる人気講座「山田雅夫の15分スケッチ」。講師は都市設計の専門家であり、速描スケッチの第一人者。建物を描く際の遠近法もしっかり学ぶことができる。毎回、講座の冒頭にデモンストレーションを行い、描き方の手順やテクニックを解説。水彩絵具での着彩を基本とし、毎回1枚の作品を仕上げるかたちで、月2回、3ヵ月のコース(26,400円)で学ぶ。見学や1回体験も可能なので、まずは気軽に出かけてみるのもいいだろう。

  • 教室では写真を教材にして、さまざまな国や地域の風景や建物を描き、水彩絵具で着色する。

  • 筆を指ではじく技法で街路樹を着彩しているところ。

  • 目線を起点にパースを描くところから、着色の仕上げまでのデモンストレーションが行われる。

  • 建物にマスキングをして、空を塗っているところ。

三越カルチャーサロン [東京]

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TEL 03-3274-8595
東京都中央区日本橋室町1-4-1 新館9階
※「山田雅夫の15分スケッチ」ほか、多くの講座あり

https://www.mitsukoshi.co.jp/culture/

講師の山田氏は、横浜みなとみらい地区の拠点づくりや東京臨海副都心の開発構想案づくりなどに参画した都市設計の専門家だ。

老舗画材店が運営する、個性豊かな講師陣の絵画教室

 1913(大正2)年創業の画材・額縁の専門店「画箋堂」が、約20年前から運営する「画箋堂美術教室クレエ」。洋画、日本画、水彩画、木版画、銅版画など、幅広いコースから希望の教室を選ぶことができる。新しい技法を学んで表現の幅を広げたい人はもちろん、学校の授業で描いて以来ずっと絵を描いていない人でも、長く楽しめるよう、一人ひとりの目的やペースにあわせてプロの講師が指導する。
 今回紹介するのは、美術作家・佐藤紘子氏が講師を務める「水彩画5」のクラス。透明水彩画を描く基礎とデッサン力を身につけながら楽しく学べ、個性を生かした表現方法の習得を目指す。
 講師によって決められた課題を制作するタイプや、好きなモチーフを自由に制作するタイプがあるので、体験レッスンなどを通して好みの教室を見つけたい。

  • 描くテーマはそれぞれ自由。

  • 講師の佐藤氏が、水彩画の描き方の参考として見せてくれる作品の数々。

  • 一人ひとり自分の絵の世界に入り込みながら、プロの講師に適切なアドバイスを受けられる。

  • 水彩絵具の技法や風景を描く際の手順などを解説するシート。

画箋堂(がせんどう)美術教室クレエ[京都]

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TEL 075-341-3288
京都市下京区河原町通五条上る西橋詰町752画箋堂河原町五条本店3階
※各種コースあり

https://gwasendo.com/creer/

京都・河原町通に面した建物。1・2階は画材や額縁販売の店舗で、3階が絵画教室。

取材・文/土井ゆう子 写真/伏木 博、合田慎二
※価格は消費税込。
●取材時期:2025年5月上旬 ※価格など掲載内容は施設、店舗の諸事情により変更となる場合があります。

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