ダウンタウンの対岸に位置するコロナドアイランド。歴史とリゾートが調和した美しく穏やかなビーチタウンだ。ダウンタウンから車で約10分。あるいはブロードウェイ・ピアやコンベンションセンターの近くからフェリーに乗って、海風を感じながら向かうのも楽しい。フェリーの所要時間は約15分。到着後は徒歩やレンタサイクルで観光できる。

　このエリアのシンボルともいえるのが、1888年創業の「ホテル・デル・コロナド」。赤い屋根と白い外壁が印象的なビクトリア様式の木造建築で、アメリカ国定歴史建造物でもある。マリリン・モンロー主演の映画『お熱いのがお好き』のロケ地としても知られ、歴史的な価値と美しさを備え、いまもなお多くの人々に愛され続けている。宿泊しなくても、レストランやショップを利用したり海辺を散策したりすれば、その雰囲気を堪能できる。

　観光の中心は、オレンジ・アベニュー。両側にはブティックやカフェ、雑貨店が軒を連ねており、町歩きを楽しむのにぴったりだ。なかでも人気なのが、毎朝店内で手作りするジェラートを提供する「ジェラート・パラディソ」。イタリアの伝統製法を受け継ぎ、素材のもち味を引き出した濃厚な味わいのジェラートが人々を惹きつけている。

　さらに、この町の魅力を引き立てているのが、町なかに点在するパブリックアート。地元アーティストによるモザイク壁画やカラフルなベンチ、抽象彫刻などが通りや公園のなかに自然に溶け込んでおり、まるで町全体が屋外美術館のよう。
　コロナドアイランドは、海と歴史、そしてアートが緩やかに混ざり合うビーチリゾートだ。

　ダウンタウンから北へ、車で約20分の場所にあるラホヤは、カリフォルニア州有数の高級住宅地。ここで有名なのが「ラホヤ・コーブ」。切り立った海岸に波の浸食によってできた海食洞がいくつもあり、周囲には野生のアシカが生息していて、一帯が海洋保護区に指定されている。

　このエリアに滞在するなら、ラホヤの格式あるホテルのひとつ、「ザ・ロッジ・アット・トーリー・パインズ」がおすすめだ。太平洋とトーリー・パインズ・ゴルフコースを一望できる絶好のロケーションに立ち、1900年代初頭に多く建てられたカリフォルニアを代表するクラフツマン様式を取り入れた木造建築が特徴。自然素材をふんだんに使い、梁や柱を見せた造りと、落ち着きのある内装が魅力だ。館内の随所にあるトーリーパインをモチーフにしたステンドグラスも美しい。

　ホテルでは隣接するトーリー・パインズ州立自然保護区へのガイド付ハイキングを宿泊者向けに毎日行っている。トレイルは平坦なので、普段あまり歩かない人でも気軽に参加できる。また、週末のヨガクラスや、電動自転車やゴルフ用具の貸出しなどもある。館内のレストラン「ザ・グリル」からは、海とゴルフコースを一望できる。薪火で調理された料理や地元のクラフトビールを堪能しよう。

　自然と都市が調和するサンディエゴでは、歴史・文化・エンタメが凝縮。テーマパークで遊び、動物園で学び、街を歩けば多様な文化と出合える。ここは、“見る・感じる・学ぶ”が揃った、五感で楽しめる街だ。

取材・文／芦刈いづみ　写真／Tak S. Itomi　取材協力／サンディエゴ観光局、カリフォルニア観光局

●取材時期：2025年3月上旬
※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。