鰻重
ゆったりした空間で楽しむ新勝寺門前の老舗の味

成田山新勝寺の門前で、300年程の歴史を誇る「日本料理菊屋」。甘辛く煮た魚などを売る店を起源とし、その名前は、当時、新勝寺より拝領した菊の御紋に由来しているという。鰻をはじめ、選び抜いた食材を使った日本料理が評判で、創業から12代にわたって地元客や参詣客から愛され続けてきた。
この菊屋が、約300年の歴史のなかで初めて出した支店が、同じ参道沿いに立つ「上町菊屋」だ。オープンは2022年、ゆったりとした造りの店内では本店と同じ料理が提供される。鰻重などに使用される鰻は、産地証明書付の国産鰻。店内で丁寧に焼きあげられ、外はぱりっと、なかはふわっとした食感を楽しめる。代々継ぎ足しで使っている伝統のタレは、シンプルで雑みがなく、鰻のうまみを引き出してくれる。
鰻だけでなく、鯉の洗いや鯉こくなどがセットになった御膳料理も人気だという。食材にこだわった、伝統の味を楽しみたい。

上町(かみちょう)菊屋

TEL 0476-36-8036
千葉県成田市上町553-1
東関東自動車道富里ICから約15分
JR成田線成田駅から徒歩約6分
11:00AM~8:00PM(L.O.)(日~5:00PM(L.O.))
無休
「上町菊屋」があるのは、成田駅前から約800メートル続く成田山新勝寺表参道。江戸時代から門前町として栄え、いまでも当時の名残りを留めている。参道沿いには150以上の飲食店やみやげ物店などが並び、名物の鰻料理をはじめ食事や買い物を楽しめる。
江戸前寿司
伝統の江戸前スタイルに遊び心を添えて

千葉市中央区の通称「蓮池」地域は、その昔、花街としてにぎわったエリア。その一角にたたずむ「丸万寿司」は、創業約75年を数える江戸前寿司の老舗だ。
「祖父が創業して私が3代目。江戸前のスタイルを守りながら、新しいことにも挑戦し続けています」と、店主の君塚俊一氏は話す。30種類程揃えるというタネは、全国から選りすぐったものを毎日使う分だけ仕入れている。コミュニケーションを大切にしながら、お客様の好みを見極める。「お任せで提供することもありますが、あくまでもお客様が主体。好きなものを好きなだけ食べていただくよう、柔軟に対応しています」という。
シャリには赤酢と米酢をブレンドしたものを使い、人肌くらいの温度で提供する。「寿司はバランスが大切。味わいや食感など、頰張ったときの一体感を大切にしています」と君塚氏。
薬味に柚子胡椒を使ったり、しょうゆの代わりに魚醬を使ったりと、新しいおいしさの追求にも余念がない。こうした遊び心も、長年愛され続ける理由なのだろう。

丸万寿司

TEL 043-222-3414
千葉市中央区中央3-7-11
京葉道路穴川ICから約15分
千葉都市モノレール葭川公園駅から徒歩約3分
11:30AM~1:30PM(L.O.)、5:00PM~9:00PM(L.O.)
日・祝休(年末年始、お盆時期の休業あり)
「丸万寿司」の暖簾(のれん)にも書かれている「蓮池」とは、旧千葉市の中心地区だった吾妻町の一画。料亭や芸妓(げいぎ)置屋などがあった花街の通称で、当時は軍人や政治家、医師などで大いににぎわったという。現在も、歴史のある店が残っている。
千葉の恵み食材
6店舗で100品超。千葉食材料理を堪能

千葉の名産品を販売する「房の駅」を展開し、千葉の食の魅力を発信する「やます」は、千葉県を中心に19店舗を構えている。2024年9月には、「草刈 房の駅」の隣にフードコート形式の飲食施設「FUSA FOOD HALL」をオープンさせた。
広々としたホール内には、ラーメンや天ぷら、うどん店など、直営の店舗が6軒。ラーメンのしょうゆや煮干し、天ぷらの野菜、店内で捌(さば)く海鮮丼の鮮魚など、食材の多くは千葉県産を使っている。うどんやラーメンの麺も、県産小麦粉を自家製麺したものだ。提供するメニュー数は6店舗で100品超を数え、オープン以来盛況が続いている。
飲食店としては珍しく、料理の味付けは60 代女性をターゲットにメニューを開発しており、おいしさをとことん追求。なかでも、キャリア40年のベテラン職人による「天房」の天ぷらや、「房乃拉麺」の煮干し醤油ラーメンなどは、すでにファンがついているほど人気だという。千葉県のおいしいものを気軽に見つけることができる、いま注目のフードホールだ。
FUSA FOOD HALL フサ フード ホール

TEL 0436-63-2397
千葉県市原市草刈194-10
京葉道路蘇我ICから約16分
京成千原線ちはら台駅から徒歩約16分
9:00AM~8:00PM(土 ~9:00PM)
無休
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隣接する「草刈 房の駅」では、千葉県産の特産品や名産品を販売。JR東日本おみやげグランプリで入賞したこともある「ピーナツクイーン」は、バラ1個・216円、6個入・1,080円など。
「FUSA FOOD HALL」がある草刈は、市原市北端の地域。かつては隣接する、ちはら台ニュータウンの一部も含んでいた。江戸期から灌漑(かんがい)用水として利用された草刈堰周辺には豊かな森が広がり、里山の雰囲気とニュータウンの利便さをあわせもっている。
取材・文・写真/日下智幸
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー
●取材時期:2025年3月上旬 ※価格など掲載内容は施設や店舗の諸事情により変更となる場合があります。
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