夏の風物詩・鴨川納涼床がシーズンを迎える、初夏の京都へ。鴨川や東山の風景とともに古都の味覚も存分に楽しんだら、喧噪から少し離れたくつろぎの宿へ。世界中から旅行者が訪れるこの街には数多くの旅館やホテルがあるが、なかでもいま注目を集めている、新しさと古都・京都らしさが融合したホテルを紹介する。
2025.7.14
古都の夏の風物詩
鴨川納涼床に涼む
京都市内での夕食は、夏の風情が感じられる鴨川納涼床を楽しんでみたい。北は二条通から南は五条通まで、鴨川西岸に各店の納涼床が並ぶ鴨川納涼床は桃山時代から始まったといい、夏に床を出すことが定着したのは明治時代。現在は約90軒の店が毎年5月から10月中旬に納涼床を出しており、京都の夏の風物詩として親しまれている。
「モリタ屋」は、1869(明治2)年に京都初の牛肉専門店として創業。木屋町通沿いの入口をくぐり、細い路地の先にある数寄屋造りの建物が木屋町店 本館だ。坪庭を眺める個室、鴨川沿いの部屋、シーズン中は納涼床でも、選りすぐりの黒毛和牛の肉料理が味わえる。名物はすき焼き。まずは熱した鉄鍋に牛脂を入れてざらめを散らし、1枚目の牛肉を入れる。焼き色がついたら割下を入れ、溶き卵につけて食すスタイルは、関西の老舗ならでは。ひと切れを大ぶりにカットするため、牛肉のおいしさを存分に味わえる。
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A5ランクの牛肉をベストな熟成具合で調理。すき焼きは6,600円~(サービス料10パーセント別)で、写真(2名分)は1名150グラムのロース肉が味わえる「特選」(9,350円・サービス料10パーセント別)。※各料理の価格は変更の場合あり
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すき焼きは関西風のスタイル。肉の部位はコースにより異なる。
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三条大橋そばに出る納涼床(床席料おひとり様770円)。
納涼床で気軽に料理と酒を楽しむなら、「まんざら 団栗橋」がおすすめ。京都らしいおばんざいと串焼きが名物の料理店で、仕切り膳に華やかに盛りつけられたおばんざいは、京都産の野菜などを使い、すべて料理人が丁寧に手作りしたもの。4種盛り、6種盛りをシェアしながら味わいたい。種類豊富な京赤地鶏の串焼きはひと串ごとのボリュームがあり、京都の地酒とも相性がいい。1階のカウンター、2階のテーブル席はもちろん、鴨川に架かる団栗橋のすぐそばに出る納涼床からの眺めも格別。夏の鴨川の風景を楽しみながらの一杯を堪能できるだろう。
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塩焼き、タレ焼きを選べる「串焼きの盛合せ 5種」(1,500円)。地酒は1合・1,000円~。
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「おばんざいの盛合せ 6種」(3,400円)。この日は和牛ローストビーフや万願寺とうがらしとじゃこなど。※店内飲食時はチャージ料600円。納涼床利用時は床席料おひとり様600円、サービス料10パーセント別。
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2階では大きな窓から鴨川や木屋町通の風景が眺められる。
モリタ屋 木屋町店 本館
TEL 075-231-5118
京都市中京区木屋町通三条上る上大阪町531
11:30AM~3:30PM(最終入店2:30PM)、5:00PM~10:00PM(最終入店 8:45PM ※納涼床は8:30PM)(土・日・祝 11:30AM~10:00PM)
12/31、1/1休
まんざら 団栗橋
TEL 075-344-0280
京都市下京区木屋町通四条下る団栗橋西高岡ビル1・2階
4:00PM~11:00PM
不定休
※チャージ料(店内飲食時):600円
喧噪から離れてくつろぐ
京都らしさ光る新ホテル
多くの旅行者が訪れる京都で注目を集める2軒のホテルを紹介しよう。
「Hotel宇多野京都別墅(べっしょ)」は、京都市北西部、宇多野の地に立つ昭和初期築の歴史的建造物を改修したホテルだ。もとは財界人の邸宅だった建物は書院造り、数寄屋造り、洋館など、和洋併置式の系譜を受け継ぐ造り。全10室の客室すべてに温泉風呂を備えている。御食国(みけつくに)のひとつの淡路島と京都の食材を用いた和洋の料理も楽しみだ。
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鳴滝本館の客室「松」(おひとり様1泊2食付77,000円~・サービス料込・宿泊税別)。書院造りの特徴を生かしながら洋のエッセンスを取り入れ、快適に過ごせる仕様に。
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スパニッシュ風の洋館の客室「樟(くすのき)」(おひとり様1泊2食付42,900円~・サービス料込・宿泊税別)。
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作庭家・重森三玲が手がけた広大な庭園に臨むダイニングで夕食・朝食が味わえる。
清水寺の隣、東山の高台に開業した「バンヤンツリー・東山 京都」は、印象的な格子の門、正面玄関の大庇(ひさし)など、外観デザインは隈研吾建築都市設計事務所が担当。3つの庭や竹林がある敷地内には能舞台もあり、それらを愛でながら、館内で日本料理の会席コースなどが味わえる。客室は全52室で、温泉付タイプも。敷地内から見渡せる京都市内の景色も魅力だ。
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客室「グランドセレニティ・ツイン」(おひとり様1泊2食付20万円~・サービス料込・宿泊税別)は畳敷き。市街地の景色が望めるタイプもある。
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バンヤンツリーブランドでは国内初のホテルとして開業。正面玄関の大庇は同館のシンボル。
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割烹料理「りょうぜん」で季節感あふれる日本料理を夕食に。
Hotel宇多野京都別墅
TEL 0570-078857(ホテルニューアワジグループナビダイヤル)
京都市右京区宇多野御屋敷町14
おひとり様1泊2食付42,900円~(サービス料込・宿泊税別)
バンヤンツリー・東山 京都
TEL 075-531-0500
京都市東山区清閑寺霊山町7
おひとり様1泊2食付20万円~(サービス料込・宿泊税別)
取材・文/mado.lab 写真/合田慎二
●取材時期:2025年2月上旬 ※価格は消費税込。
※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。