日本のおいしいものを紹介する旅。
今回は香川県から。
その町から生まれたおいしいものが、
地元で愛される味になるまでを紹介します。
2025.7.14
だし醤油
おいしく時短ができるだしが利いた万能調味料

瀬戸大橋が架かる四国の玄関口の坂出市は古くから塩業で栄えた地。「鎌田醤油」は気候風土など、しょうゆ造りに恵まれたこの地で1789(寛政元)年に創業。発売から60年もの間愛され続ける「だし醤油」は、万能調味料として全国区の知名度を誇る。
「うどんのだしを使うと煮物が早く作れるという女性社員のひと言をきっかけに、1965(昭和40)年に誕生しました」と話すのは広報担当の綾井麗子氏。本醸造しょうゆに厳選したサバ節、カツオ節、昆布の一番だしをブレンドすることで、だしのうまみが利いた豊かな風味を実現している。「おいしさはもちろん、調理時間の短縮にも貢献。また、多くのご家庭で味わっていただくために、瓶ではなく、輸送に適した紙パックを開発したことも、この商品が広まった理由です」と綾井氏は話す。
現在は低塩、鮭節、すりおろした香川県産ニンニク入りなど、多彩なだし醤油を展開。本社併設の同店では、すべての商品を販売する。2025年4月にはカフェが開業。だし醤油などの自社商品を使った料理やスイーツが楽しめる。
鎌田醤油 蔵元本店(かまだしょうゆ くらもとほんみせ)

TEL 0877-46-0007
香川県坂出市本町1-6-35
瀬戸中央自動車道坂出北ICから約6分
JR予讃線・本四備讃線(瀬戸大橋線)坂出駅から徒歩約5分
9:30AM~6:00PM 年末年始休

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各種だし醤油や調味料をはじめ、贈り物に便利な「ギフトセット8種」(3,000円)を販売。3個・5個・10個で好みの200ミリリットル商品が詰め合わせられるセットや生活雑貨も揃う。
鎌田醤油本社周辺には同社の関連施設が。4代目鎌田勝太郎邸宅は四谷シモン人形館 淡翁荘(入館料500円)、旧鎌田醤油本店内には小沢剛 讃岐醤油画資料館(入館料200円)を設置。勝太郎旧私庭の香風園の隣には鎌田共済会郷土博物館(入館無料)も。
名物かまど
ユニークな形と上品な甘さで愛され続ける讃岐銘菓

香川県を代表する銘菓のひとつ、「名物かまど」は、小麦粉と卵を使った生地で、大手亡(おおてぼう)豆と卵黄で作る黄身餡を包んで焼きあげた菓子。上品な餡の甘さが印象的で、小ぶりなサイズもあって、つい次が食べたくなるおいしさだ。
「中央にくぼみがあるこの形が、製塩の竈(かまど)に似ていることが名前の由来です」と話すのは、代表の荒木 隆氏。1936(昭和11)年に創業後、香川の名物を作ることを目指して初代が考案したという。「その際に深く関わったのが、マルチな才能を発揮した香川県出身の画家・和田邦坊(くにぼう)氏です。彼は塩炊きの竈のストーリーや唐菓子(からくだもの)の雛形(ひながた)『有職菓子模造(ゆうそくがしもぞう)』をモチーフにした包装紙デザインなど、名物かまどのプロデュースを担いました」と荒木氏。また、1988(昭和63)年に瀬戸大橋が開通し、多くの人が訪れたことで、県外にも名物かまどが知れ渡ったという。
総本店では名物かまどと並ぶ名物「虎饅頭」などの和菓子や、洋菓子が揃い、喫茶も併設している。秋の栗、冬のチョコレートなど、名物かまどをベースにした季節限定の菓子も人気だ。
名物かまど 総本店

TEL 0877-46-6600
香川県坂出市江尻町1247
瀬戸中央自動車道坂出北ICから約8分
JR予讃線・本四備讃線(瀬戸大橋線)坂出駅から車で約5分
9:00AM~7:00PM(喫茶 ~5:30PM(L.O.)) 無休

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オンラインショップでも名物かまどや虎饅頭を販売。和洋を問わず同社の菓子が揃う。厳選したバターを使い、職人がひとつずつ丁寧に手作業で作るパイ菓子「かまどパイ」(10枚入・1,320円~)も人気のひと品。
岡山県と香川県を結ぶ瀬戸大橋(本州四国連絡橋)。坂出市の瀬戸大橋記念公園は、橋と瀬戸内海を眺められる絶好のロケーション。園内には噴水や芝生広場をはじめ、橋の建設技術などが学べる瀬戸大橋記念館(入館無料)もある。
讃岐つけ麺
完全手打ちうどんを個性あふれるつけ汁で

うどん文化で知られる香川県だが、その種類やスタイルはさまざま。「讃岐つけ麺 寒川」は県内でも珍しい夜営業のうどん居酒屋だ。
「出身は香川県ですが、大学卒業後は東京の居酒屋で働いていました。その店ではオーナーが作るうどんが名物で、香川に戻るとき、その居酒屋のようなうどん店を開業しようと考えました」と、店主の寒川誉仁(たかひと)氏。うどんと一品料理、酒類を提供するスタイルで、2018年、高松市の繁華街の一角にオープン。創作的なつけ汁で味わう讃岐つけ麺は、県民からも高い評価を得ている。
東京時代にオーナーのもとで学んだうどんには並々ならぬこだわりが。「関西産の小麦粉で生地を仕込むうどんは、県内でも数少なくなった完全手打ち。光沢をまとうような、艶やかな麺を目指しています」と寒川氏。その麺に合うように和牛ホルモン、京鴨とネギなどのつけ汁を数種類用意している。馬刺やじゃこ天など、全国から取り寄せる産直食材の一品料理も美味。香川県の地酒を味わいながら、最後の締めでつるりと讃岐つけ麺を味わってみたい。

讃岐つけ麺 寒川(さんがわ)

TEL 087-826-7505
香川県高松市鍛冶屋町4-16 SOUGENビル1階
高松自動車道高松西ICから約20分
琴電琴平線・長尾線瓦町駅から徒歩約10分
7:00PM~0:00AM(深夜) ※変更の場合あり 日・月休
2025年は3年に1度の現代アートの祭典・瀬戸内国際芸術祭の開催年(2025年は夏会期8/1~31、秋会期10/3~11/9)。高松港を拠点に、瀬戸内の島々を訪れてみるのもおすすめだ。2025年2月には高松港の近くに、あなぶきアリーナ香川も開業した。
取材・文/mado.lab 写真/合田慎二
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー
●取材時期:2025年2月上旬 ※価格など掲載内容は施設や店舗の諸事情により変更となる場合があります。
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