日本のおいしいものを紹介する旅。
今回は宮城県から。
その町から生まれたおいしいものが、
地元で愛される味になるまでを紹介します。
2025.6.24
フルーツロール
果物店が作ったロールケーキは新鮮なフルーツが主役

「いたがき本店」は、1897(明治30)年に創業。以来、約120年にわたって新鮮で高品質な果物を販売している。仕入れは4代目社長が担当。産地や市場に出向き、品質を見極めている。
そんなこだわりの果物を使った看板商品が「フルーツロール」だ。大手デパートへの出店の際、果物を使ったケーキを作ってほしいと要望されたのがきっかけだったという。「果物本来の味が引き立つ、クリームとスポンジを使ったロールケーキができないかとパティシエに相談し誕生しました」と取締役の板垣亜紀子氏。メロン、マンゴーなど7種類の果物を使ったフルーツロールは発売から20年以上が経つ。「贈り物などに購入されるお客様も多く、いたがきの代名詞になっているなと感じています」と板垣氏。スフレタイプのスポンジで果物を包んだフルーツロールはしっとりと軽やかな口当たり。それぞれの果物のみずみずしい味わいを堪能できる逸品だ。
いたがき本店

TEL 022-291-1221
宮城県仙台市宮城野区二十人町300-1
東北自動車道仙台宮城ICから約15分
JR東北・北海道新幹線・地下鉄南北線仙台駅から徒歩約8分、または地下鉄東西線宮城野通駅から徒歩約6分
9:00AM~6:00PM(カフェ~ 5:30PM(L.O.))
無休

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厳選された季節の果物のほか、「フルーツインゼリー」(4本・2,505円~)、「フルーツタルト」(3,834円~)など旬の果物を使ったデザートを販売。フィナンシェなど焼き菓子も取り寄せできる。
仙台駅東口エリアは、平安時代に歌枕の地として詠まれ、宮城野は都人にとって和歌のなかだけで知ることができた憧れの地。宮城野通には歌枕に“みやぎの”を詠んだ10首の歌碑タイルが設置されている。周辺には島崎藤村ゆかりの藤村広場や土井晩翠の墓所なども。
牛タン焼
ナラ炭火で焼く牛タンは外はカリッとなかはふっくら

仙台随一の繁華街、国分町の路地裏で2006年に創業した「牛タン焼専門店 司」。仙台名物の牛タン焼の専門店として、間口一間の小さな店からはじまった。
牛タンはオーストラリア産とアメリカ産の最高級ブランドのものを使用。舌先は使わず、上質で軟らかい部分を選び、職人が1枚ずつ手切りして隠し包丁を入れ、塩コショウで味付けした後、3日間程熟成させている。十分に味がなじんだ牛タンは、国産ナラ炭の強力な火力でサッと焼きあげて提供。「ナラ炭は火力が強いぶん、炭がなくなるのも早いので、つねにベストな火加減を維持するのも、おいしく牛タンを食べていただく決め手のひとつです」と話すのは店長の安永淳二氏。牛タンの焼き色や煙の色など五感を研ぎ澄ませて焼き加減を判断しているという。焼きあがった牛タンの表面はつやつや。外はカリッと香ばしく、なかはジュワーッと肉汁が広がり、牛タンのうまみを楽しめる。
「虎横店は個室も完備しています。大人数でにぎやかに牛タン焼を味わっていただければ」と安永氏は笑顔で話してくれた。
牛タン焼専門店 司 虎横店

TEL 022-266-3944
宮城県仙台市青葉区一番町4-4-6
東北自動車道仙台宮城ICから約10分
地下鉄南北線勾当台公園駅から徒歩約5分
5:00PM~10:30PM(L.O.)
不定休

お取り寄せはこちらから
「熟成牛タン」(1人前120グラム・2,600円~)をはじめ、特製スープで煮込んだ「ほろほろ牛タン」(2,300円)、牛タンを細かく割いて特製辛みだれとあえた「牛タン辛み」(700円)などが買える。ギフトセットも販売。
ケヤキやイチョウに囲まれた勾当台(こうとうだい)公園は、春は桜、夏はサルスベリ、秋はハギなど四季折々の花が彩る市民の憩いの場。園内には『平和祈念像』など著名な彫刻家の作品も点在し、季節の花々を眺めながらの散策が楽しめる。
萩の月
丸いお月様のような仙台を代表する銘菓

仙台銘菓の「萩の月」。まろやかでコクのあるカスタードクリームとふんわりとしたカステラ、そして丸い形が特徴だ。作りあげたのは1947(昭和22)年に創業した「菓匠三全」。仙台の歴史や文化、豊かな自然をヒントにお菓子づくりを続けている。
萩の月の発売は1979(昭和54)年までさかのぼる。仙台名物になるような斬新なお菓子を作りたいという創業者の想いをきっかけに、アンケートでお客様のリアルな声を集めるところからスタート。その意見を参考に、当時人気があったシュークリームと、贈答品として好評だったカステラを組み合わせ、カスタードクリームをカステラで包んだお菓子を考案し、試行錯誤の末に完成。宮城県の県花である萩の咲き誇る宮城野の空に、ぽっかり浮かぶ名月をイメージして萩の月と名付けられた。
「菓匠三全 広瀬通り大町本店」には、萩の月をはじめ、伊達六十二万石の歴史にちなんだ銘菓「伊達絵巻」や、ずんだを使った和洋菓子などが並ぶ。仙台訪問の思い出にお菓子を持ち帰るのもいい。
菓匠三全 広瀬通り大町本店

TEL 022-263-3000
宮城県仙台市青葉区大町2-14-18
東北自動車道仙台宮城ICから約10分
地下鉄東西線大町西公園駅から徒歩約6分
9:00AM~7:00PM
1/1休

お取り寄せはこちらから
ずんだ餡と香ばしい最中が好相性の「ずんだあんバター最中」(4個入・1,480円)、ずんだ餡とバターを組み合わせた餡が特徴の「ずんだバタふく」(4個入・600円)など新感覚のお菓子もラインアップ。
地下鉄東西線大町西公園駅から南へ徒歩約15分の青葉区花壇。その対岸に見える切り立った崖が評定河原大露頭(ひょうじょうがわらだいろとう)。上段が大年寺層、中段が向山層、下段が竜の口層と3つの地層からなり、躍動感のある景観が楽しめる。
取材・文・写真/粟屋千春
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー
●取材時期:2025年2月上旬 ※価格など掲載内容は施設や店舗の諸事情により変更となる場合があります。
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