高雄は、東京から直行便で約4時間、高雄国際空港から高雄メトロで中心部や観光地へ、数十分で到着する交通の便利さが魅力。台湾美食や歴史スポットを巡り、新しくてどこか懐かしい、港町・高雄を存分に味わおう。
2025.7.14
高雄で話題の2軒のホテルへ
高雄へ旅する新たな理由として、ホテルの存在が注目されている。海外からも続々とホテルチェーンが進出している高雄で、観光やグルメ、買い物に加え、ホテルで旅の喜びを深めてみよう。
「承億酒店」は高雄港に面した展示場である高雄展覽館に近く、ビジネスや休息で高雄を訪れる大人たちが羽を休める都会のリゾートホテルだ。25階のロビーラウンジはチェックインカウンターやティーサロンのほか、図書コーナーもある。24階のインフィニティプールは縁が透明で、足元に高雄の街を眺める体験もできる。7階の承風書店には、日本の著名な絵本の中国語翻訳版も置かれている。本のみやげは、開くたびに旅を思い出させてくれるだろう。地上のエントランスから客室へ上がるために、25階でエレベーターを乗り換える。外部から宿泊者以外も多く訪れるホテルだからこそ、宿泊者のプライバシーと安全に配慮した設計だ。
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図書コーナー。気温の高い時間帯は、ホテルで本を読んで過ごす新しい高雄スタイルを提案。
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畳スペースのある「スタンダード和室」。
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街を見下ろせるインフィニティプール。
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7階の承風書店。
台湾南部で初の日系国際ホテル「ホテル・ニッコー高雄」は、2024年11月にオープン。落ち着いた色調のロビーに入ると、港町の強い光と風にさらされた目と体が楽になるのを感じた。台湾と日本の友好をイメージして設計された天井の明かりが、柔らかい空間をつくっている。客室の空気清浄機やコーヒーメーカーも主に日本製品で、浴室の使い勝手もなじみやすい。強い主張はせず、旅人を迎え入れるスタッフの穏やかな心配り。老舗日系ブランドが培ったホスピタリティーに、ゆったりと身をゆだねよう。
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友好をイメージした明かりが美しいロビー。
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61平方メートルのゆったりした「デラックスコーナーファミリールーム」。
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7階のプールは半屋外の落ち着いた空間。
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ホテルオリジナルの柚子パイナップルケーキ「香柚鳳鳳梨酥」(12個入・NT$780)。高雄の新たな人気みやげとして話題に。
承億酒店 TAi Urban Resort
TEL 07-333-3999
高雄市前鎮區林森四路189號
※サービス料:10パーセント別
ホテル・ニッコー高雄 Hotel Nikko Kaohsiung
TEL 07-537-8800
高雄市前鎮區林森四路268號
※サービス料:10パーセント別
味も見た目もアートな高雄グルメ
高雄では台湾の美食を、なかでも海鮮を堪能する心づもりで過ごしたい。まずは「鼎泰豐(ディンタイフォン)」で軽めの点心からスタート。予約ができない人気店の待ち時間はガラス越しに厨房の職人技を眺めよう。鼎泰豐が到達した「小籠包(シャオロンバオ)」の黄金比率はひだの数18、皮5グラム、餡16グラム。味と安全を守る職人たちのチームワークを目の当たりにしてからいただく小籠包は味わい深い。エビと豚肉の「蝦仁燒賣(シャーレンシャオマイ)」のジューシーさにシュウマイの概念を溶かされ、高雄の海鮮料理への期待はさらに大きくなる。
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地元の常連客が選ぶメニュー。手前から時計回りに「小籠包(10個入)」(NT$280)、エビと豚肉のシュウマイ「蝦仁燒賣(5個入)」(NT$200)、牛肉煮込みスープ「紅焼牛肉湯」(NT$270)、キャベツ炒め「高麗菜」(NT$250)。
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ガラス越しに職人技を見られる。
有名格付けレストランガイドに「価格以上の満足感が得られる料理」として3年連続で選出されたのは「老新台菜・九如創始店(ラオシンタイツァイ ジゥルーチュアンシーディエン)」。地元の旬の素材で季節ごとにメニューが替わる、おまかせコースがメインだ。色鮮やかな「麻油蝦(マーヨウシャー)」は生食に適した稀少な胭脂蝦(イェンンヂーシャー)を炙って、ムカゴとごま油ペーストのソースを添えたもの。海鮮のうまみを香草のさわやかな甘みやスパイスが引き立て、刺身にできるエビにあえて火を入れソースで食べるぜいたくさ。にぎやかな台湾の宴会気分を堪能できる。
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おまかせコースは1名・NT$1,200~、予約は2名から。
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シェフの簡 世賢氏。
ホテル・ニッコー高雄5階にある広東料理店「桃泉中餐廳(タオチュエンヂョンチャンティン)」では、「日月魚翅木瓜盅(シグネチャーパパイヤボウルスープ)」に目がとまる。「香港の広東料理界伝説のシェフが考案したパパイヤのスープをオマージュしたものです」と教えてくれたのは、ホテル総支配人の福元雅彦氏。台湾産のパパイヤに鶏肉と枸杞(クコ)のスープ、フカヒレを添えた、シグネチャーと呼ぶにふさわしい味わいだ。コースを彩るエビや魚の海鮮類、ポメロやマンゴーなど南国の果物、新鮮な素材で高雄ならではの豊かな広東料理。台湾の旬と味への探求心は高雄にありと実感する旅のテーブルだ。
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シックなメインフロア。
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「桃」コース(1名分・NT$2,880)。写真奥から、揚げ蝦ボールポメロと蜂蜜風味、玉会(ハタ)の葱油蒸し、前菜五種、パパイヤスープ、豚トロの黒豆ソース炒め。ほかに鮑と塩鯖と鶏肉の炒飯、マンゴーとポメロのタピオカレモンシャーベット添え、季節の果物も含まれる。
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桃泉オリジナルの器に富山県の鋳物メーカー「能作」のスズ製品が南国に涼しげな落ち着きを添える。
鼎泰豐(高雄支店) Din Tai Fung Kaohsiung Branch
TEL 07-55-33312
高雄市左營區博愛二路777號地下1階(漢神巨蛋購物廣場)
11:00AM~9:00PM(番号札配布時間。状況により早く終了する場合あり)
旧暦の大晦日、1/1休
※休みは百貨店の営業に準ずる
※サービス料:10パーセント別
老新台菜・九如創始店 Old New Taiwanese Cuisine Jiu Ru
TEL 07-313-3077
高雄市三民區九如二路227號
11:30AM~1:30PM(L.O.)5:30PM~8:30PM(L.O.)
無休
※要予約
※サービス料:10パーセント別
桃泉中餐廳 Tao-Quan Chinese Dining
TEL 07-537-8800
ホテル・ニッコー高雄内
11:30AM~2:00PM(L.O.)6:00PM~9:00PM(L.O.)
無休
※ドレスコードはスマートカジュアル。
※サービス料:10パーセント別
いまへと続く高雄の美しき名所
港を起点に大きく進化する高雄には、人々の生活と長い歴史が培ってきた基盤の強さがある。街のパワーにふれる散策に出かけてみよう。
300年以上の歴史をもつ道教寺院「三鳳宮(サンフォンゴン)」は、1970年に宮殿式建築に建て替えられ、精巧な彫刻と、夜に灯る千にも及ぶ祈福點燈(チーフーディエンダン)で知られる。神話のなかで最も若く子どもの守護神といわれる「三太子(サンタイズ)」が祭られ、若い夫婦が熱心に祈りをささげていた。
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日没後にライトアップされる祈福點燈。公式ウェブサイト(中国語)からオンラインで提灯の奉納を申し込め、カード決済も可能。
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荘厳なたたずまいの寺院の名は、山に降り立つ鳳の姿が由来。
高雄駅近くの「後驛商圏(ホウイーシャンチュェン)」では、カラフルな傘の波が揺れている。商店街の人々が寂れた通りの再興を願って並べた傘の彩りが撮影スポットとして人気となり、にぎわいをよみがえらせたという。

高雄有数のパワースポット、蓮池潭(ロータスポンド)の「龍虎塔(ドラゴン アンド タイガー パゴタス)」は2025年に改装工事を終えたばかり。龍の喉から入って虎の口から出ると災いが避けられるといわれている。湖にかかる「九曲橋(ジゥチューチャオ)」の角をいくつも曲がりながら塔に向かう。珍しそうに写真を撮る海外からの観光客が以前より増えたようだ。「なぜこの橋はジグザグに曲がっているの?」と子どもが尋ねると「直進するよりも、湖の景色や花をゆっくり見ることができるでしょう。それと、直進しかできないキョンシー(魔物)が塔に近づけないように造られたそうだよ」と大人が答えて周囲も笑顔に。

龍虎塔から程近い「果貿社區(グォマオシェチュー)」は、かつての海軍宿舎エリア。丸い公園を囲むように弧を描いて連なる、台湾でも珍しい形の高層アパートの住宅街だ。
空に向かって高くそびえる建物を見上げ、軒を連ねて住民の生活を支える食堂や雑貨店、台湾南部の草花の香りにふれた散歩。港町の風は、高雄を訪れる旅人に寄り添ってくれるだろう。

三鳳宮 San Fong Kong
TEL 07-287-1851
高雄市三民區河北二路134號
6:00AM~9:30PM
見学無料
蓮池潭(龍虎塔) Lotus Pond(The Dragon and Tiger Pagodas)
TEL 07-588-3242
高雄市左營區蓮潭路
見学自由
果貿社區 The Guomao Community
高雄市左營區果峰街3巷
※一般住宅のため部外者の建物内への立ち入りは禁止
取材・文・コーディネート/mimi天野 惠 写真/ミヤジシンゴ
※L.O.=ラストオーダー
●取材時期:2025年1月上旬
※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。