銘酒のある食卓 スコッチウイスキーの代表イメージ

銘酒のある食卓

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スコッチウイスキー

左から、キャンベルタウン「スプリングバンク21年」(10,285円)、アイランズ「タリスカー スペシャルリリース2023」(2,904円)、ローランド「ブラッドノック リオラ」(2,662円)、スペイサイド「グレントファース1996 26年」(6,292円)。後列左から、ハイランド「ロイヤルブラックラ21年」(6,292円)、アイラ「オクトモア12.2」(4,175円)。すべて「TOKYO Whisky Library」でのシングル(30ミリリットル)の価格。

いま、世界中でブームのウイスキー。五大ウイスキーと呼ばれる、著名な5つの生産地のものが知られているが、なかでも名実ともにウイスキーの王様といわれるのがスコッチウイスキーだ。その魅力を紹介する。

2025.6.12

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馥郁たる香りと厚みのある王道の味わい

 「スコッチウイスキー(以下スコッチ)とは、イギリス北部のスコットランド地方で蒸留、熟成されるウイスキーのことです」。こう話すのは、「TOKYO Whisky Library」のマネージャー、岡田一将(かずまさ)氏。
 スコッチは国の財産と考えられ、当地ではこれを守るために細かな定義が法律で決められている。穀類を原料として酵母により発酵させ、アルコール度数94.8度未満で蒸留すること。700リットル以下のオーク樽で最低3年以上熟成させて、瓶詰めの際のアルコール度数は40度以上であることなど、五大ウイスキーのなかでもとりわけ厳格だといえる。

お店のおすすめのお酒
左、スペイサイドのシングルモルトウイスキー「ウィルソン&モーガン マノックモア 2010 オロロソシェリー フィニッシュ」(2,360円)は、果実味や甘さが感じられる。中央、ブレンデッドウイスキー「ジョニーウォーカー ブルーラベル うま味」(6,413円)は、ややスモーキーでバランスのよい味わい。右、アイラのシングルモルトウイスキー「ボウモア12年」(1,936円)は、ドライなスモーキー感とほのかな潮の香りが魅力。価格はすべてシングル(30ミリリットル)、サービス料込。

 「主な生産地区によりアイラ、スペイサイド、アイランズ、ハイランド、ローランド、キャンベルタウンの6つに分類されます。なかでもウイスキーの聖地といわれるアイラ島では、モルト(大麦麦芽)を乾燥させる際にピート(泥炭)を焚き込むことで生まれるスモーキーな香りが特徴。ときに“消毒薬のよう”と形容されるほど個性的ですが、熱烈なファンが多く、シングルモルト愛好家にとって憧れの地となっています。一方、スペイ川の良水に恵まれたスペイサイドは、スコットランド最大のウイスキー生産地。バランスがよく、エレガントでフローラルな味わいが特徴です。アイラ島を除く島々で造るアイランズは、蒸留所ごとに個性派揃い、ローランドは都会的で繊細な味わい。その他のエリアも、風土や各蒸留所に根ざした造り方の違いが明確にフレーバーに表れていて、幅広い選択肢があるのがスコッチの魅力のひとつといえるでしょう」と岡田氏。さまざまな産地のスコッチをシーンや気分によって飲み分けたり、料理に合わせたりしてペアリングを楽しみたい。

ベストマッチな3品

  • 兵庫県産 オイスタープラッター(4pc)
    海の塩気とミルキーさがあり、ツルッとしたのど越しの生ガキのプレート(2,420円)。ウイスキーの聖地といわれるアイラ島ではカキがよくとれ、生ガキにアイラのシングルモルトウイスキーを垂らす食べ方が有名。カキの潮の香りとアイラウイスキー独特のスモーキーで塩気のある味わいがマッチする。「ボウモア12年」は日本のカキともよく合う。

  • マグロといぶりがっこのタルタル
    上から、トビコ、いぶりがっこのタルタル、マグロが層になっていて、いちばん下がクスクス。口に入れた際のぷちぷちとした食感が楽しいひと品だ(2,904円)。合わせたいスコッチは、キャビアのようなうまみの強いものとよく合うという「ジョニーウォーカー ブルーラベル うま味」。ハイボールか水割りがおすすめ。

  • 黒毛和牛のテンダーロイン
    赤身でありながら和牛ならではの脂の甘みが感じられるステーキ(6,655円)。合わせたいスコッチは、熟成の最後にシェリー樽で寝かせた「ウィルソン&モーガン マノックモア 2010 オロロソシェリー フィニッシュ」。ベリー系の果実味がステーキとよく合う。水割りかハーフロック(ロックに水を少量加えた飲み方)がおすすめ。

TOKYO Whisky Library(トウキョウ ウイスキー ライブラリー)

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TEL 03-6434-1163
東京都港区南青山5-5-24 南青山サンタキアラ教会2階
正午~3:00PM(2:00PM(L.O.))、5:30PM~11:00PM(10:00PM(L.O.))
年末年始休
サービス料:10パーセント

https://www.tokyo-whisky-library.com/

スコッチウイスキーと合わせたい2品

 香りや味わいが個性豊かなスコッチウイスキーだが、実はさまざまな料理とのマリアージュが楽しめる。お気に入りの1本を自宅で楽しむときに合わせる料理を、「Cabinet」のオーナーバーテンダー、増田 晶氏に教えてもらった。
 日本ではハイボールや水割りにして、食中酒としても定着しているスコッチウイスキー(以下スコッチ)。今回、増田氏が作り方を教えてくれた「マッシュルームのカルパッチョ」は、新鮮で良質なマッシュルームが手に入ったときにぜひ作りたい料理。薄く切ったマッシュルームを並べて、パルミジャーノ・レッジャーノ入りのドレッシングをかけるというシンプルな料理だが、見た目の美しさで気分があがる。チーズの熟成感とマッシュルームの豊かな香りがアクセントになっている。
 「この料理と合わせたいスコッチは、バターやクリームのような香りと麦っぽい甘さのあるタイプです」と増田氏。ハイランドのシングルモルトウイスキー「クライヌリッシュ14年」のハイボール(店内価格・シングル・1600円)などがぴったりだ。
 「ホタテとフルーツトマトのタルタル」は、カラスミパウダーをオリーブオイルで溶いたものに浸してトーストしたバゲットを添えるのがポイント。
 「カラスミパウダーが手に入らないときは、ガーリックトーストでも十分おいしいですが、カラスミの風味が加わることで、潮の香りを含んだアイラのシングルモルトといっそうよく合います」と増田氏。おすすめは「カリラ12年」(店内価格・シングル・1300円)。「アルコール度数が43度なので、ウイスキー4、水6程にして、小さな氷を入れる飲み方にしてもいいですよ」。ストレートやオンザロックだけでなく、好きな飲み方で料理とともに楽しもう。

マッシュルームのカルパッチョ
×
クライヌリッシュ14年

■材料(1名分)

  • マッシュルーム…3~4個
  • パルミジャーノ・レッジャーノ…20グラム
  • 塩…適量
  • コショウ…適量
  • オリーブオイル…35ミリリットル
  • イタリアンパセリ…1~2本

■作り方

  • ❶マッシュルームの表面に汚れがついている場合、水洗いすると香りや風味が損なわれるので、キッチンペーパーなどでぬぐい、きれいにしてから調理する。

  • ❷①の軸を少し切り落としてから、厚さ1ミリメートルくらいにスライスする。
    ❸丸皿を用意し、②を皿の外側から少しずつ重ねながらぐるりと並べ、皿の内側にも並べて埋め尽くすようにする。

  • ❹ドレッシングを作る。ボウルにパルミジャーノ・レッジャーノをすりおろして入れ、塩、コショウ、オリーブオイルを加えて混ぜる。

  • ❺③に④のドレッシングを回しかけ、イタリアンパセリの葉の部分を刻んでのせ、仕上げにパルミジャーノ・レッジャーノを適量(分量記載外)すりおろし、コショウを振れば完成。

ホタテとフルーツトマトのタルタル
×
カリラ12年

■材料(1名分)

  • フルーツトマト…1個
  • ホタテ(刺身用貝柱)…4~5個
  • タマネギ(みじん切り)…小さじ1
  • ディル(葉の粗みじん切り)…2枝分
  • チャービル(葉の粗みじん切り)…2~3枝分
  • ㋐塩・コショウ…各適量
  •  ピンクペッパー…5~6粒
  •  マスタード…小さじ1
  •  ライム果汁…1/6個分
  •  オリーブオイル…10ミリリットル
  • ㋑カラスミパウダー…10グラム
  •  オリーブオイル…15~20ミリリットル
  • バゲット…5切れ

■作り方

  • ❶フルーツトマトはヘタを取り、熱湯にくぐらせてから湯むきする。
    ❷ホタテは粗く刻み、①のフルーツトマトはさいの目切りにしてボウルに入れる。

  • ❸タマネギのみじん切りは、キッチンペーパーで包み、搾って水気を切り、②に加える。

  • ❹ディルとチャービルは少量取り置き、残りは③に加える。
    ❺④に㋐を加えて混ぜる。

  • ❻㋑を混ぜ、バゲットの片面を浸してオーブントースターで焼き、取り置いておいたディルとチャービルを散らす。
    ❼⑤を皿の中央に盛り付け(セルクルなどで型抜きするとよい)、上にチャービルの葉(分量記載外)を飾り、まわりに⑥を並べれば完成。

Cabinet(カビネ)

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TEL 03-3715-5086
東京都目黒区東山3-12-4 ナカミ東山ビル1階
7:00PM~翌2:00AM(フード0:30AM(深夜)(L.O.)、ドリンク 翌1:00AM(L.O.))
日・祝の月曜休

https://www.instagram.com/cabinet5453/

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お店のおすすめメニュー
「自家製ローストポークの切り落とし 粒マスタード風味のクレソン添え」(1,500円)。左からスペイサイド「グレンアラヒ」(シングル・1,600円)、「アイラ シングルモルト 燻酒」(シングル・1,300円)。

おすすめの3銘柄

  • グレンスコシア カンベルタウンハーバー シングルモルト

    かつて世界のウイスキーの首都と呼ばれ、竹鶴政孝が留学したことでも有名なキャンベルタウン。現在3ヵ所となった蒸留所には、各々に強い愛好家がいることで知られている。バーボン樽を使用した原酒は、熟したフルーツを思わせる甘い香りと独特の潮の風味、スモーキーさが特徴だ。ロックがおすすめ。アルコール度数40度(700ミリリットル・5,500円)。

  • ロッホローモンド リザーブ シングル ブレンデッド

    生産地はハイランド。自社蒸留原酒のモルトウイスキーと、小麦を主原料とした軽やかなグレーンウイスキーなど、モルト、グレーンともに自社蒸留原酒のみを合わせた「シングルブレンデッドウイスキー」。熟成にはリチャー(熱処理)を施したアメリカンホワイトオーク樽を使用し、樽由来のやさしい甘さとフルーティーさで、軽やかさもある。アルコール度数40度(700ミリリットル・2,178円)。

  • ザ グレンタレット トリプルウッド 2024

    グレンタレットは250年以上の歴史をもつハイランドの蒸留所。長期間の発酵やゆっくり時間をかけて蒸留することで生まれる、甘くフルーティーなフレーバーとソフトな仕上がりが特徴。アメリカンオークと、ヨーロピアンオークのシェリー樽とバーボン樽で熟成させた原酒を使用し、それぞれの樽の個性が調和している。アルコール度数44度(700ミリリットル・7,480円)。

WHISKY LIFE 本店

https://likaman.net/

取材・文/土井ゆう子 写真/伏木 博
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー
●取材時期:2025年1月上旬 価格など掲載内容は店舗の諸事情により変更となる場合があります。

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