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連載 趣味のある休日

趣味のある休日

自宅でおいしい肉を楽しむために

ときには上等な肉を手配して、自宅で焼いて食べるのも、気分が盛りあがって楽しいもの。ここではラムチョップと分厚いステーキの焼き方を紹介する。

2025.5.19

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好みの肉を買ってきて、自宅で焼いてみよう

ラムチョップをおいしく焼くコツは

表面に美しく焼き色の付いたラムチョップが食欲をそそる。

 ニュージーランド産ラムやオーシャンビーフを扱うステーキハウス「ワカヌイ グリル ダイニングバー 東京」の料理長、根布(ねぶ)悟氏は「熱が通りにくい背脂の面をまず先にしっかり焼き、次に反対の背骨側を焼くのがポイント。先に赤身の面を焼くと固くなってしまうので、身は最後に強火でサッと焼きあげるようにします」と話す。骨側には薄い膜があるので、膜もしっかり焼くと、臭いや余分な脂が落ちる。

■材料(1名分)

  • ラムチョップ…2本
  • 塩・コショウ…適量
  • 油(サラダ油、米油など)…小さじ1

■焼き方

  • ❶焼き始める直前にラムチョップの両面に塩・コショウを振る。

  • ❷フライパンに油を引いて加熱し、油をなじませる。
    ❸中火にし、フライパンにラムチョップを立てるようにして、脂の面を焼く。

  • ❹脂が濃いめのきつね色になるまでじっくり焼いたらひっくり返し、次に骨側を1分~1分半焼く。

  • ❺身を倒して強火にし、両面それぞれ1分~1分半ずつ焼き、フライパンから取り出し休ませる。
    ❻5~6分置いたら、再びフライパンで片面30秒ずつ焼いて温めれば完成。

合わせるワインは
右はニュージーランド北島・ホークスベイ産の赤ワイン「パリチュアブリッジ・パ シラー2021」(750ミリリットル・13,000円)。スパイシーなニュアンスがラム肉にマッチする。中央もニュージーランド北島・マーティンボロー産の赤ワイン「ポーターズエステイト ピノ・ノワール2020」(750ミリリットル・17,600円)。タンニンがやさしく、ソフトでフルーティー。左はニュージーランド南島・ネルソン産の白ワイン「カフランギ・エステート カフランギ・ソーヴィニヨン・ブラン2023」(750ミリリットル・7,500円)。トロピカルな果実とミントを思わせるハーブのアロマを感じる、フレッシュな口当たりが特徴。

ワカヌイ グリル ダイニング バー 東京

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TEL03-5401-5677
東京都港区芝公園3-4-30 32 芝公園ビル10階
11:30AM~2:30PM(1:30PM(L.O.))、5:30PM~10:00PM(9:00PM(L.O.))、(土・祝のランチ ~3:00PM(2:00PM(L.O.))
日曜(月曜が祝日の場合は月曜)休

https://www.wakanui.jp/

家庭のフライパンで厚みのある肉を焼く

 ごちそう感があり、気分が盛りあがるのは、やはり分厚いステーキ。東京・平河町「オー・プロヴァンソー」のシェフ、中野寿雄氏に、厚さ5センチメートル程もあるランプ肉の焼き方を教えてもらった。
 「ゆっくりと火を入れることを意識して焼きましょう。油を引き、肉の表面を焼き固めたら、アルミホイルで包んで休ませる。それを繰り返すことで焼き加減を調節します。肉厚のハンバーグも同じ要領でおいしく焼けますよ」

キノコやジャガイモのソテーを付け合わせにして、豪華なひと皿に。

■材料(1名分)

牛肉(ランプ)…130~140グラム

  • 塩・コショウ…適量
  • 油(オリーブオイルまたは米油)…適量
  • ソース
  •  バター…10グラム
  •  しょうゆ…適量

■焼き方

  • ❶肉全体に塩・コショウを振る。肉が厚いので両面にしっかりめに。
    ❷フライパンに油を大さじ1/2程度引き、中火で加熱して肉を入れる。
    ❸肉の全表面(表・裏・側面)を、焼き色を付けながらじっくりと焼き固めていく。

  • ❹フライパンの油をスプーンですくってかけ、上からも熱を加える。油の温度が上がったら中弱火にする。

  • ❺5分程かけてしっかりと焼き色を付けたら、フライパンから取り出し、肉をアルミホイルで包む。

  • ❻焼いた時間と同じ時間(5分程)休ませる。
    ❼フライパンに新しい油を引き、弱火で加熱。⑥の肉の表面を温める感覚で再び焼く。
    ❽弱火で表面を3分程焼いたらフライパンから取り出し、再びアルミホイルで包んで休ませる。
    ❾焼いた時間と同じ時間休ませたら、アルミホイルから肉を取り出す。アルミホイルに残った肉汁は捨てずにとっておく。

  • ❿カットして盛り付ける場合は、肉の繊維を断ち切る方向でカットすると、肉の食感が軟らかく感じられる。

  • ⓫ソースを作る。フライパンに⑨のアルミホイルに残った肉汁を入れ、バターとしょうゆを加えてさっと加熱し、バターを乳化させる。盛り付けた肉に添えれば完成。

合わせるワインは
すべて赤ワイン。左はフランス・ブルゴーニュの「ドメーヌ・アルベール・グリヴォ ポマール 1er クロ・ブラン 2017」(750ミリリットル・23,100円)。華やかな果実感があり、脂が少ないランプ肉とうまくマッチする。中央はフランス南西地方の「ドメーヌ・アラン・ブリュモンシャトー・ブースカッセ メニール2006」(750ミリリットル・17,200円)。右はフランス・ボルドーの「シャトー・クロワゼ・バージュ2013」(750ミリリットル・19,800円)。中央・右の2本は、程よい渋みがありふくよかなタイプで、脂の多い牛肉の味わいを引き立ててくれる。肉の脂の多さによって、ワインのタイプも変えて楽しみたい。

オー・プロヴァンソー

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TEL03-3239-0818
東京都千代田区平河町1-3-9ブルービル別館1階
11:30AM~2:30PM(1:30PM(L.O.))、5:30PM~9:30PM(8:00PM(L.O.))
日・祝休
※サービス料:10パーセント別(ディナーのみ)

http://www.aux-provencaux.co.jp/

肉をおいしく焼く名店を東京と京都から

 肉料理ブームが続くなか、ボリュームたっぷりに焼くステーキがおいしいといわれるレストランがとくに人気だ。肉や焼き方にこだわりがある名店を、東西から選りすぐって紹介する。

嚙み締めるごとに、野生の力強さと滋味が感じられる

ロゼ色に美しく焼きあげられた「網獲り青首鴨の炭火焼き」(1羽・12,000円)。

 自社オリジナルの熟成庫によって仕上げたジビエを中心に、上質な熟成肉を提供するフランス料理店。肉の種類は入荷状況によって異なるが、牛肉や豚肉、国内で狩猟された鴨、山鳩、ウリ坊(仔イノシシ)、鹿、熊など。長年の経験と蓄積されたデータで、ベストな熟成期間を見極める。調理はシンプルに炭火で焼くのが基本。厳選された自然派ワインとともに味わいたい。

ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ[東京]

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店名にあるブーシェリーとはフランス語で「お肉屋さん」を意味する。店内は精肉店の一角にあるレストランといった雰囲気。

TEL03-3793-9090
東京都目黒区祐天寺1-1-1 リベルタ祐天寺地下1階
6:00PM~11:00PM(フード 10:00PM(L.O.)、ドリンク 10:30PM(L.O.))
月曜休
※チャージ:300円

https://www.instagram.com/la_boucherie_du_buppa/

豪快で香ばしい、“火の味”がする炭焼きステーキ

一番人気の「経産黒毛和牛サーロインの炭火焼」(200グラム・6,500円)。コース料理(8,800円)のメインでもある。

 燃えさかる炎が塊肉を包み、ステーキが焼きあがる。強火の炭火で香ばしく焼いた国産牛の熟成肉をメインに、オーガニック野菜などとシンプルに塩で食べるのが「The Burn」のスタイルだ。和牛とホルスタインとの交雑種「あがの姫牛ドライエイジングビーフ」と、経産黒毛和牛が中心。サーロインなどの肉は出産後に適切に肥育し直した経産牛。脂と赤身のバランスがよく、味が濃い。スタイリッシュでありながら、雰囲気も価格も日常使いできるカジュアルさが魅力だ。

The Burn(ザ バーン)[東京]

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ニューヨークをイメージしたカジュアルな空間は、壁や天井が躯体(くたい)現しになっている。

TEL03-6812-9390
東京都港区北青山1-2-3 青山ビルヂング地下1階
11:30AM~1:30PM(L.O.)
5:30PM~9:00PM(L.O.)
日・月休(祝日は不定休)
※サービス料:10パーセント別(ディナーのみ)

https://salt-group.jp/shop/theburn/

グリルハウスの豪快な肉と古都の雅を楽しむ

シェアして味わいたい「30日熟成徳島県産 Tボーンステーキ」(1キログラム・32,000円)。

 自家製熟成肉やシーフード、京都産のフレッシュな野菜を炭火焼のグリル料理で堪能できるレストラン。肉は国内外の銘柄牛肉が中心で、鹿児島県産の黒毛和牛や熊本県産あか牛、アメリカのプライムサーロインなど。大きなブロックで仕入れ、厨房奥の専用の熟成庫で長期熟成させる。熟成により力強いうまみと、ナッツのような風味を得た肉は、骨付きの塊でじっくりと炭火焼きに。外側はカリッと香ばしく、なかはジューシーに焼きあがる。

キョウト・エンバ・グリル[京都]

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高さ約9メートルの窓からは、平安時代末期に築かれた日本庭園「積翠園(しゃくすいえん)」が見える。

TEL075-541-8288
京都市東山区妙法院前側町445-3フォーシーズンズホテル京都1階
11:30AM~2:30PM、5:30PM~9:00PM(L.O.)
無休
※サービス料:15パーセント

https://www.fourseasons.com/jp/kyoto/dining/restaurants/emba-kyoto-chophouse/

肉割烹のような和モダンな店内で、極上の和牛を味わう

国産日向備長炭で焼く「和牛サーロインステーキ」(100グラム・9,350円)。

 神戸牛をはじめとするこだわりの黒毛和牛を、備長炭でじっくりと焼きあげ、極上のステーキにして提供する店。炭の輻射(ふくしゃ)熱の効果でうまみを閉じ込め、外側は香ばしく、なかはしっとりとジューシーに、和牛のおいしさを最大限に引き出す。前菜やスープ、デザートなどがセットになったコースのほか、サーロインやヒレ、シャトーブリアンなどを単品で、大きさも100グラム以上から10グラム単位で調節して焼いてもらうこともできる。特選和牛の炙り寿司など、一品料理も楽しめる。

炭火ステーキ坂井 京都三条[京都]

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カウンターは全13席。シェフの調理を見ながら、種類豊富な料理が楽しめる。

TEL075-221-5129
京都市中京区御倉町66
11:30AM~2:00PM(1:30PM(L.O.))
5:30PM~10:00PM(9:30PM(L.O.))
水曜休
※サービス料:10パーセント

https://www.yakiniku.jp/steak_sakai/

おいしい肉を手に入れる

 記念日や友人たちを招いたホームパーティーなどで、おいしい肉をメインにしよう。そんなときに利用したい牛肉と羊肉専門の精肉店をピックアップ。それぞれのこだわりとおすすめのポイントをチェックする。

こだわりの熟成方法で、至高の肉を提供する

 販売するのは、日本各地で肉料理のレストランを展開する「格之進」が独自の熟成方法で作る「門崎熟成肉」。屠畜後4週間程枝肉の状態で“枯らし熟成”を行い、その後パーツごとに分割し、さらに約2週間真空状態でウエットエイジングを施す。作ってみたい肉料理や食べたい肉質を伝えれば、最適な部位やカット方法で提供してくれるのもうれしい。

店内のケースには、骨付きのTボーンやLボーンをはじめ、さまざまな部位が並んでいる。

熟成精肉店 格之進B

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焼肉店や肉割烹が入るビルの1階に「熟成精肉店 格之進B」がある。

TEL03-6804-1629
東京都港区六本木7-14-16六本木リバースビル1階
5:00PM~11:00PM(土・祝 ~10:00PM)
日曜、年末年始休

https://kakunosh.in/restaurant/wagyu-butcher-kakunoshin-b/

おいしい羊肉にこだわる、北海道の専門店

 1928(昭和3)年創業、北海道名寄市の精肉店が運営するラム、マトン、ジンギスカンの専門店。羊肉のブロック、スライス、ジンギスカン用、火鍋用、ハンバーグやチョリソーなどの加工品、内臓なども販売。オーストラリア産がメインだが、稀少な北海道産が入荷していることもある。

ラムチョップと呼ばれる羊肉を代表するカット。骨付ラムフレンチラック(オーストラリア産(100グラム・864円)。

東洋肉店オンラインショップ

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脂肪と赤身のバランスがよいラム肩ロース肉(オーストラリア産100グラム・610円)。

http://www.29notoyo.co.jp/

国産銘柄牛を多く取り揃えて、極上のひと品に出合える

 近江牛、松阪牛、田村牛など、名だたる銘柄の黒毛和牛を販売する「銀座吉澤」。店主自らが、日本最大級の食肉マーケット「東京食肉市場」で、納得のいく雌牛だけを丸ごと一頭単位で買い付けている。和牛独特のとろける食感と濃厚な味わいが楽しめる、極上の黒毛和牛に出合える。

右は黒毛和牛・雌牛ステーキ用サーロイン(100グラム・2,160円~)、中央はヒレ(100グラム・6,480円~)、左はすき焼き用や焼肉用として販売するシンシン。

銀座吉澤 精肉銀座本店

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2024年、創業100年を機に移転した新店舗。店内では販売している肉の個体識別番号が掲示されている。

TEL03-3542-2983(精肉店)
東京都中央区銀座1-20-8 吉澤銀座1丁目ビル1階
10:00AM~6:00PM
日・祝、年末年始休

https://www.ginza-yoshizawa.com/shop/

吉澤オンライン

https://www.online-yoshizawac.com/

肉をおいしく焼く・食べるために揃えたい名品たち

 著名なレストランでも愛用されているカトラリーや調理器具。肉が抵抗なくスッと切れるステーキナイフや香ばしく焼けるグリルパンなどは、使ってみて初めてその価値を実感できるもの。おいしい肉のおともにしたい逸品を紹介する。

切れ味よく優雅なフォルムのカトラリー

  • 多くの高級レストランで、ステーキがサーブされるときに登場する「フォルジュ・ド・ライヨール」のカトラリー。フランスの自社工房で製造され、優雅なフォルムとミツバチのエンブレムがトレードマーク。「カトラリー 牛角ハンドル ナイフ 白」(1本・30,800円)。

  • 「カトラリー 牛角ハンドル 黒」(ナイフ&フォークセット・50,600円)。

問い合わせ:FORGE DE LAGUIOLE SHOP(フォルジュ・ド・ライヨール ショップ)

https://www.forge-de-laguiole.jp/

肉の筋もスパッと切れる

  • 手入れが楽なオールステンレス包丁で人気の「GLOBAL」のステーキナイフ&テーブルフォーク。ステーキナイフの刀身は鍛造のステンレスで、細かなギザ刃がついている。持ち手にはドット柄が施されていて、しっかりと握れるうえ、鉄板上でも肉の筋など、硬い食材を切りやすい。2組セット「GTJ-02/B」(14,300円)。

  • 食卓で映えるシャープで美しいデザイン。ステーキナイフ&フォークセット1組「GTJ-01/B」(7,700円)。

問い合わせ:YOSHIKIN ONLINE STORE(ヨシキン オンライン ストア)

https://global.yoshikin.co.jp/

美術品のように美しいナイフ

  • 刃物の町として有名な岐阜県関市の鍛造技術が産んだ「雅 MIYABI」シリーズの筋引包丁。主に肉のブロックを筋に沿って、切り分けたりするのに適している。133層のダマスカス仕上げのブレードは美術品のような美しさ。ハンドルは天然木「メープル材」を黒染めしたもの。W2.2×L38.1×H3.7センチメートル(刃渡り24センチメートル)61,600円。

問い合わせ:ZWILLING(ツヴィリング)公式オンラインショップ

https://www.zwilling.com/jp/

取材・文/土井ゆう子 写真/伏木 博
●取材時期:2024年12月中旬 ※価格は消費税込。
※価格など掲載内容は時期や施設、店舗の諸事情により変更となる場合があります。
※サイズのLは長さ、Wは幅、Hは高さ。

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