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鳴門 煌めく海のリゾートと美術館

「大型観潮船わんだーなると」から見た鳴門海峡。渦潮は春と秋の大潮時に最大級となり、直径約20メートルに達するものもある。

“世界最大級”とされる渦潮の存在が人々を魅了する鳴門海峡は、
播磨灘と紀伊水道を結び、徳島県鳴門市と兵庫県の淡路島の間に位置する。
鳴門市で渦潮やアートを堪能し、初夏の潮風を感じながら旅に出よう。

2025.4.23

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渦潮と鳴門海峡の眺望を探しに

 徳島県鳴門市と兵庫県南あわじ市の間にある鳴門海峡では、“世界最大級”とうたわれる大きな渦潮を観察できる。間近で渦潮を見られる観潮船のひとつ、「大型観潮船わんだーなると」に乗船。鳴門海峡は潮流が激しいため、小型船に比べて揺れが少ない大型船を選んだ。出航して10分程経つと、大鳴門橋(おおなるときょう)がぐんぐんと迫ってくる。船室からデッキに移り、強い風を浴びながら、渦潮を見逃さないように夢中で観察し続ける。
 大鳴門橋には全長約450メートルの「大鳴門橋遊歩道 渦の道」が整備されている。先端の展望室では、透明なガラス床から潮流や、条件が揃えば渦潮も見下ろすことができるので、ぜひ体験してみよう。大鳴門橋の真下の海底はV字型に深く落ち込んでいて、最深部は約90メートルにも及ぶ。潮流には、抵抗が少ない深部では速く、抵抗が多い浅瀬では遅く流れるという性質があり、この速度の違う潮流がぶつかることで渦ができる。また、鳴門海峡では、海峡を挟んで両側の海域で満潮と干潮が同時に発生することや、幅が狭いために強い潮流が生じることなど、さまざまな条件が重なり、世界最大級の渦潮が発生する。
 鳴門海峡を望む好立地に「アオアヲ ナルト リゾート」が立つ。アートや伝統工芸など、テーマ性にこだわった客室が人気だ。なかでも注目したいのが、2024年3月にリニューアルした「デラックスツインプレミアム」。徳島が誇る伝統工芸の大谷焼(おおたにやき)をデザインに取り入れ、鳴門の絶景から着想を得た作品が客室を彩る。オーシャンビューの眺望が楽しめるだけでなく、耳を傾けると波音が心地よい。ホテル内に5ヵ所あるレストランでは、鳴門の食文化に浸ることもできる。

大型観潮船わんだーなると

  • 一等船室の展望デッキから大鳴門橋や渦潮を一望できる。大型船の展望デッキは広く揺れが少ないため、ゆったりと渦潮を観察できる。

  • 所要時間約30分で、乗船場から大鳴門橋の下までを往復する。渦潮に接近する時間は約10分。

  • 2階の一等船室はクッション性の高い座席が設けられた上質な空間。大きな窓からは、潮の流れや景色を眺められる。

大鳴門橋遊歩道渦の道

  • 海上約45メートルの高さのガラス床から、条件が揃えば迫力ある潮流や渦潮を観察できる。干潮時は太平洋側に、満潮時は瀬戸内海側に渦潮が発生する。

  • 強風で破損しないようにフェンスの大部分が金網になっているため、吹き抜ける潮風を感じながら散策できる。

アオアヲ ナルト リゾート

  • オーシャンビューが自慢の「テラスカフェ オーゲ」。

  • 陶芸家・矢野耕市郎氏の作品が飾られたデラックスツインプレミアム。釉薬(ゆうやく)を生かし、繊細な美しさを演出。作品の作者やデザインは客室により異なる。

  • 1階の露天風呂「縹(はなだ)」では、海を間近に眺められる。

  • 「デラックスツインプレミアム」に備えられた大谷焼のカップ。大谷焼は鳴門市大麻町大谷で生産される炻器(せっき)で陶磁器の一種。

世界の名作をじっくりと鑑賞

 鳴門海峡で渦潮を満喫した後は、「大塚国際美術館」でアートに浸ろう。世界26ヵ国、190余りの美術館が所蔵する西洋の名画を陶板(とうばん)で再現して展示し、作品数は1000点余り。原画と同じ大きさで再現することで、原画がもつ本来の美術的価値を伝えている。
 館内の展示方法は大きく3つに分かれる。古代遺跡や教会などの壁画を環境空間ごとそのまま再現した「環境展示」、西洋美術の変遷を美術史的に理解できるようにした「系統展示」、同じテーマで時代が異なる画家たちの代表作を並べた「テーマ展示」だ。なかでも、環境展示は圧巻のスケールを誇る。『システィーナ礼拝堂天井画および壁画』や『スクロヴェーニ礼拝堂壁画』の展示では、イタリアで現地を旅しているかのような臨場感を味わえる。「モネと交流したアメリカの画家・サージェントなど、さまざまな画家の作品と出合っていただきたいです」と、学芸部の天野真弓氏は話す。
 鑑賞ルートが約4キロメートルにも及ぶ館内では、食事や買い物を楽しみながら滞在しよう。1階の「レストラン ガーデン」で地元の食材を使った料理や、アートをテーマにしたメニューを味わえる。地下3階の「カフェ フィンセント」は、オランダの画家ゴッホのファーストネームから名付けられた。店内は、ゴッホが画家として過ごしたフランスの、アルルをイメージした空間。ゴッホに思いを馳はせながら、カフェタイムを楽しめる。地下3階には、「ミュージアムショップ」もある。美術館の名画を再現したミニ陶板や、名画にちなんだオリジナル商品などが揃っているので、アート鑑賞の思い出に買うのもいい。

大塚国際美術館

  • 北イタリアのパドヴァ市にある『スクロヴェーニ礼拝堂壁画』(1304~1305年/ジョット)を再現した環境展示。

  • 代表的な環境展示のひとつ『システィーナ礼拝堂天井画および壁画』(16世紀前半/ミケランジェロ)。

  • ゴッホが描いた花瓶の『ヒマワリ』全7点を再現した“7つのヒマワリ”の展示室。系統展示の一角にある。

  • 『モネの「大睡蓮」』の環境展示。印象派の画家・モネが集大成として描いた『大睡蓮』(オランジュリー美術館所蔵)を再現し、屋外で展示している。

  • レストラン ガーデン。徳島県の地鶏、阿波尾鶏(あわおどり)を使った「ドイツランチ」(1,600円)。メニューは時期によって異なる。

  • ミュージアムショップより。音声ガイド(500円)の貸出しコーナーが併設されている。

  • ミュージアムショップから。名画をモチーフにしたタオルハンカチ。右は「ヒマワリタオルハンカチ」(1,050円・色は2種類)、左は「ムンクタオルハンカチ」(1,050円・色は3種類)。

  • カフェ フィンセントから。ゴッホの『ヒマワリ』の世界観を取り入れた店内は、絵画の背景に使われた黄色や青緑色を基調としている。

  • カフェ フィンセントより、「ブラックスワン」(500円)と、ゴッホの顔が描かれたカップに注がれた「ホットコーヒー」(400円)。

大型観潮船わんだーなると

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TEL088-687-0101(鳴門観光汽船)
徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦大毛264-1(鳴門公園亀浦観光港)
9:00AM~4:20PMの40分ごとに運航 
無休
※荒天時は欠航の場合あり 
乗船料:大人1,800円(一等船室(2階)は2,800円) 

https://www.uzusio.com/

大鳴門橋遊歩道 渦の道

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TEL088-683-6262
徳島県鳴門市鳴門町(鳴門公園内)
9:00AM~6:00PM(ゴールデンウイークと夏休み期間 8:00AM~7:00PM、10~2月 9:00AM~5:00PM)
※最終入場は閉場30分前 
3・6・9・12月の第2月曜休
入場料:大人510円

https://www.uzunomichi.jp/

アオアヲ ナルト リゾート

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TEL088-687-2580
徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦大毛16-45
おひとり様1泊2食付20,500円~(サービス料込・入湯税150円別)

https://www.aoawo-naruto.com/

大塚国際美術館

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TEL088-687-3737
徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦福池65-1 鳴門公園内
9:30AM~5:00PM
※入館券の販売は~4:00PM 
月曜休(祝日の場合は翌日休、ほか特別休館あり、8月は無休) 
入館料:大人3,300円
※写真:ゴッホ“7つのヒマワリ”展示室

https://o-museum.or.jp/

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ミュージアムショップ

大塚国際美術館地下3階
10:00AM~5:00PM(音声ガイドの貸出しは9:30AM~)
※定休日は大塚国際美術館と同じ
詳細は大塚国際美術館公式ウェブサイトを参照。

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レストラン ガーデン

大塚国際美術館1階
11:30AM~2:00PM(L.O.)
※定休日は大塚国際美術館と同じ
詳細は大塚国際美術館公式ウェブサイトを参照。

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カフェ フィンセント

大塚国際美術館地下3階
2:00PM~4:30PM(L.O.)(土・日・祝 正午~)
※定休日は大塚国際美術館と同じ
詳細は大塚国際美術館公式ウェブサイトを参照。

取材・文/藪内成基 写真/中田浩資


●取材時期:2025年1月上旬 ※価格は消費税込。※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。

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