銘酒のある食卓 オレンジワインの代表イメージ

銘酒のある食卓

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銘酒のある食卓
オレンジワイン

左のボトルはイタリア・リグーリア産「ステファノ レニャーニ バンブーロード」(グラス1,430円、750ミリリットル・8,250円)。マスカットのような香りが感じられ、幅広い料理と合う。

近年、世界中で流行しているオレンジワイン。赤・白・ロゼに続く第4のカテゴリーとして認知されるオレンジワインについて、その製法や魅力、相性のいい料理などを教えてもらった。

2025.4.14

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赤・白・ロゼとは違う、軽快さと凝縮感

 「オレンジワインは、白ワインのブドウ品種を使って、赤ワインの製法で造るワインです」こう解説するのは、広東料理とワインのペアリングが楽しめる「ワイノログ」のオーナー、仲田 真氏。
 一般的にワインを造るブドウには、黒ブドウと白ブドウがある。赤ワインは黒ブドウの果皮や種と果汁を一緒に発酵させて造り、果皮に含まれる色素によって赤ワインになる。白ワインは、白ブドウの果皮や種を除いた果汁だけを発酵させることで、透き通った白ワインになる。そして白ブドウの果皮や種と果汁を一緒に発酵させて造られるのがオレンジワイン。果皮の色素が溶出し、オレンジに近い色調になるのが名前の由来だ。黒ブドウを使って白ワインのように造るロゼワインとは対極といえるだろう。

お店のおすすめのお酒
右は、ギリシャの自然派ワイン、「サントール サンタメリアナ アンフォラ・エイジング スキン・コンタクト」(グラス1,500円、750ミリリットル・9,000円)。地ブドウのサンタメリアナ100パーセントを自然発酵させている。中央は、ジョージアの「ジョージア・サン ルカツィテリ・ムツヴァネ」(グラス1,430円、750ミリリットル・8,250円)。凝縮感のある果実味とうまみが印象的なワイン。左はイタリアの「アランサット」(グラス1,320円、750ミリリットル・7,500円)。スパイスのような余韻を伴う辛口ワイン。

 「ブドウの果皮には、タンニンが含まれていて、これがワインに渋みや風味、厚みを与えます。オレンジワインには白ワインよりも多くタンニンが含まれているので独特の厚みがあり、白ワインだとややもの足りない、赤ワインだと強すぎる、といった場合に、その間をうまくカバーします。こってり系の海鮮料理、スパイスや辛みの効いた料理ともマッチします。当店の香港風広東料理は、中国料理のなかでは素材の味を生かす穏やかな味わいですが、オレンジワインとの相性は抜群。肉や魚、甲殻類など多彩な素材の点心を食べるときにも、オレンジワインは合います」と仲田氏。ワイノログでは常時22種類のワインを置いているが、そのうちの4種類がオレンジワイン。そして3種類はグラスでも楽しめる。また、ペアリングコースにもオレンジワインが組み込まれている。いろいろな料理と合わせて飲み比べてみたい。

ベストマッチな3品

  • 牛タンの五香粉煮込み
    五香粉(ウーシャンフェン)は、山椒やクローブ、八角などを使ったミックススパイス。その奥深い香りをまとった牛タンの煮込み(2,310円)に合わせたいワインは、「サントール サンタメリアナ アンフォラ・エイジング スキン・コンタクト」。ワイン自体にスパイシーなニュアンスがあり、五香粉の香りと重ねるイメージで味わいたい。

  • 上海蟹ミソと豆腐の煮込み
    上海蟹の身やミソが入った濃厚なソースで煮込んだ豆腐料理(2,540円)。合わせたいワインは、上海蟹の香りや脂、強いうまみに負けない「ジョージア・サン ルカツィテリ・ムツヴァネ」。オレンジワイン発祥の地といわれるジョージア産で、芳醇な果実味に豊かな酸味、渋みやコクを兼ね備えた厚みのある味わいが特徴。

  • 花くらげの麻辣スープ餃子
    ぷるぷるとした食感の花くらげに白菜や青菜、キノコなどがたっぷり入った鍋感覚の餃子スープ(2,000円)。合わせたいワインは「アランサット」。ノンフィルター(無濾過)で、カツオ出汁のような豊かなうまみとスパイスのような余韻があり、カツオ出汁をベースにした辛みのあるスープの味わいとマッチする。

ワイノログ

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TEL 050-1809-9847
東京都渋谷区広尾5-17-4
11:30AM~2:00PM(L.O.)、5:00PM~9:30PM(L.O.)
※水・木はディナーのみ
火曜、年末年始休 サービス料10%

https://www.instagram.com/winolog_dimsum/

オレンジワインと合わせたい2品

 自宅でオレンジワインを楽しむときに作ってみたい料理を、山梨県のワイナリー「ルミエール」内にある「ワイナリーレストラン ゼルコバ」の総料理長・広田昭二氏に教えてもらった。
 「白ワイン用のブドウの果皮や種を果汁と一緒に仕込むオレンジワインは、程よい渋みがあり、うまみも強い。肉料理や個性的な味わいの魚卵とよく合います」と広田氏。
 山梨県のワイナリー「ルミエール」のオレンジワインは、日本固有のブドウ品種「甲州」で造られている。甲州で造る白ワインは、和食との相性がよく、海外のブドウ品種に比べて鉄分の含有量が少ないのが特徴。一般的な白ワインと合わせると生臭く感じがちな寿司や刺身ともペアリングでき、甲州のオレンジワインなら、さらにカラスミやカズノコ、タラコなど魚卵との相性もよくなる。
 ひと品目の「カラスミと長ねぎのグリル レーズンの黒こしょう風味」は、そんなオレンジワインの特徴を生かして楽しむおつまみ。焼いた長ネギとレーズンの甘みが、「ルミエール スパークリング オランジェ」(店内価格・グラス1,650円)と好相性だ。シャンパーニュ製法と同じ瓶内二次発酵による細やかな泡とともに、厚みのある味わいが楽しめる。
 「豚ロースと生ハム、チーズ、大葉のカツレツ」には、心地よい渋み、複雑性のある豊かな味わいの「ルミエール プレステージクラス オランジェ」(店内価格・750ミリリットル・5,720円)を。「オレンジワインは単独で飲むより、合うおつまみを作って一緒に味わったほうが楽しみが広がります」と広田氏。早速、見た目も鮮やかなオレンジワインを用意して、料理にトライしてみたい。

カラスミと長ねぎのグリル
レーズンの黒こしょう風味
×
ルミエール スパークリング オランジェ

■材料(1名分)

  • 干しブドウ…10~15粒
  • 長ネギ…1本
  • 塩…適量
  • カラスミ(薄切り)…8枚
  • 黒コショウ(粗挽き)…適量
  • エキストラバージンオリーブオイル…大さじ1

■作り方

  • ❶干しブドウを耐熱ボウルに入れ、熱湯を注いで常温になるまで置いて、軟らかく戻しておく。
    ❷長ネギは白い部分を長さ2~3センチメートルの筒切りにして、軽く塩を振る。
    ❸長ネギの青い部分は千切りにし、氷水に入れてシャキッとさせる。
    ❹②を耐熱皿に並べ、ラップをして電子レンジ(600ワット)で2分加熱する(500ワットの場合は2分20秒)。

  • ❺フライパンにエキストラバージンオリーブオイルを引き、弱火で④の長ネギを両面に焦げ目が付くまで焼く。

  • ❻皿に⑤を並べ、水気を切った①の干しブドウを散らし、ネギにカラスミをのせる。

  • ❼黒コショウを振り、水気を切った③を中央に盛ってからエキストラバージンオリーブオイルを適量(分量記載外)回しかければ完成。

豚ロースと生ハム、
チーズ、大葉のカツレツ
×
ルミエール プレステージクラス オランジェ

■材料(1名分)

  • 豚ロース(生姜焼き用スライス)…3枚
  • 生ハム(豚ロースと同じくらいの大きさ)…2枚
  • スライスチーズ…1枚
  • 大葉…3枚
  • 塩…適量
  • 小麦粉(強力粉)…適量
  • 溶き卵…2個分
  • パン粉…適量
  • サラダ油…適量

付け合わせ

  • ジャガイモ(塩ゆで)…適量
  • ブロッコリー(塩ゆで)…適量
  • レモン…1/2個

■作り方

  • ❶大きめに切って広げたラップで豚ロースを挟み、麺棒などで軽く叩いて薄く伸ばす。3枚並べて挟む場合は、伸びて広がることを考慮し、間隔を空けておくとよい。

  • ❷1枚目の豚ロースの上に生ハム、半分に切ったスライスチーズを2枚並べてのせ、2枚目の豚ロースを重ねる。さらに生ハム、大葉をのせ、3枚目の豚肉を重ねる。
    ❸②の片面のみに軽く塩を振る。
    ❹③に小麦粉をまぶして溶き卵にくぐらせ、パン粉をまぶす。

  • ❺フライパンの深さ1㎝程までサラダ油を入れて温め、④を入れる。フライパンをときどきゆすりながら中火で片面約3分ずつ、両面を揚げ焼きにする。
    ❻皿に付け合わせのジャガイモとブロッコリー、レモンを盛り、⑤を食べやすい大きさに切って盛り付ければ完成。

ワイナリーレストラン ゼルコバ

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TEL 0553-47-4624
山梨県笛吹市一宮町南野呂624ルミエールワイナリー内
11:30AM~2:00PM(L.O.)(土・日・祝11:00AM~)
火曜、第2・4月曜(祝日は営業)、年末年始休

https://www.lumiere.jp/zelkova/

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お店のおすすめメニュー

「鹿と貝類のソーセージ、きのこのマリネ添え」。鹿肉とホタテやツブ貝を粗挽きにし、網脂で包んでソテーした温かな前菜。ワインビネガーでボイルしてマリネにしたキノコとサラダが添えられ、ローストしたクルミがアクセントになっている(7,700円のコース料理の一例)。

おすすめの3銘柄

  • プリモシッチS70

    イタリアの名門ワイナリー「プリモシッチ」が造る辛口オレンジワイン。S70とはスキン・コンタクト70日間という意味。果皮と果汁を70日間一緒に保持し、果皮の成分を抽出させている。ピノ・グリージョ40パーセント、マルヴァジア・イストリアーナ40パーセント、フリウラーノ20パーセント。3種のブドウが織りなす奥行き感と複雑味、濁りが少なく、透き通ったオレンジ色が特徴(750ミリリットル・3,960円)。

  • プロジェクト・ナッカルアンフォー オレンジ

    「ウルグアイでナチュラルワインを造る」という夢をかなえ、若手醸造家が2020年に設立した「プロジェクト・ナッカル」のオレンジワイン。柑橘類の皮や緑茶のような個性的なアロマから、オレンジやショウガの香りが広がり、程よいタンニンから複雑味を感じさせる。アルコール度9.5パーセントだが、そのアルコール度の低さを感じさせない、しっかりとしたボディも特徴的(750ミリリットル・3,515円)。

  • プンクトゥン ベインテミル・レグアス

    スペイン、ラ・マンチャ地方クエンカの「ドミニオ・デ・プンクトゥン」による辛口オレンジワイン。標高約800メートルの自社畑で、ビオディナミ農法(有機農法の一種)で栽培したシャルドネ、ヴィオニエ、ビウラの3種を使用。美しい黄金色で、柑橘の果実味が広がり、時間の経過とともに滑らかなタンニンと酸が感じられる。高クオリティーでありながら親しみやすい価格が魅力(750ミリリットル・1,881円)。

世界のワイン葡萄屋
TEL 045-834-8638

https://www.budouya.jp/

取材・文/土井ゆう子 写真/伏木 博
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー
●取材時期:2024年11月中旬 価格など掲載内容は店舗の諸事情により変更となる場合があります。

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