フランス料理
地域に根差した食材をフレンチの技法で

西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)が通る生口島(いくちじま)の瀬戸田は、江戸時代に製塩業などで栄えた。「Azumi Setoda」は当地の豪商・堀内家の築140年という邸宅を受け継ぐ宿。アマン創始者のエイドリアン・ゼッカ氏らのチームによって旅館の魅力が再構築され、向かいに立つ銭湯とともに2021年に開業した。
ダイニングでは、国内外で活躍してきたエグゼクティブシェフ・秋田絢也(けんや)氏によるフランス料理がゲストを楽しませる。「食材はこの地から半径50キロメートル圏内のもの。野菜や肉、魚はもちろん、自家菜園の香草なども使い、その日だけの献立を提供しています」と秋田氏。約10品のコースのスペシャリテは「人参」。塩漬け、乾燥、燻製(くんせい)といったソーセージの調理手法でニンジンのうまみを引き出し、葉はフリット、ソースに皮まで使う独創性あふれるひと品が登場する。「フランスの各地で、その土地に根づく食材と調理法を学んできた経験をベースとする、瀬戸田や瀬戸内の料理をお楽しみください」と秋田氏。堀内家から受け継いだ器との共演にも注目したい。

Azumi Setoda アズミ セトダ

TEL 0845-23-7911
広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田269
西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)生口島北IC(本州方面)または生口島南IC(四国方面)から約15分
ディナー 5:30PM~8:00PM(最終入店)
1室2名様1泊2食付12万4,630円~(サービス料込)
無休
瀬戸田港から約600メートルにわたって続くしおまち商店街は、レトロな雰囲気が漂う散策スポット。特産品のレモンを販売するみやげ店などが軒を連ねている。時間があれば、向上寺の国宝・三重塔や耕三寺(こうさんじ)、平山郁夫美術館などにも訪れたい。
宮島御膳
絶景を眺めながら、華やかな季節の小鉢を

広島市西区の高台の住宅街に位置する「厳遊庭」は、そのロケーションから、記念日などでの利用も多い和食店だ。「店内から見えるのは、世界文化遺産の嚴島(いつくしま)神社が鎮座する宮島から瀬戸内海、広島市内の比治山(ひじやま)まで広がる絶景です」と話すのは、おかみの森山千鶴氏。昼はもちろん、夕景や夜景も息をのむほど美しい。店内のテーブル席や窓向きのふたり席、個室では、そんな景色とともに、生けすで泳ぐ魚介類の活き造りや炭焼きの炙り料理、会席料理など、多彩なメニューが味わえる。
森山氏がすすめてくれたのは、ランチで注文できる「宮島御膳」。9品の季節の小鉢が入った箱物に刺身や握り、茶碗蒸しなども付く。「どの小鉢も料理人が丁寧に仕込み、仕上げたもの。景色に負けないような華やかな盛りつけもお客様に好評です」と森山氏。9升に入る小鉢の内容は月替わり。季節感たっぷりの品々が堪能できるだろう。また、御膳に添えられる献立や箸袋などの絵や文字は、森山氏の筆によるもの。心温まるおかみからのメッセージも、同店ならではのおもてなしだ。

厳遊庭 がんゆうてい

TEL 082-507-5188
広島市西区古田台二丁目12-18-12
山陽自動車道五日市ICから約15分
JR山陽本線西広島駅または広島電鉄宮島線西広島駅から車で約15分
11:30AM~3:00PM、5:00PM~9:30PM
不定休
古くから島そのものが信仰の対象だった宮島は、広島県を代表する観光地。対岸の宮島口にあるフェリーの宮島口旅客ターミナルが2020年にリニューアルオープンし、宮島への旅がますます便利になった。宮島名物などが充実する商業施設も隣接している。
取材・文/mado.lab 写真/合田慎二
※価格は消費税込。
●取材時期:2024年9月上旬 ※価格など掲載内容は施設や店舗の諸事情により変更となる場合があります。
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