日本のおいしいものを紹介する旅。
今回は福井県と鳥取県から。
その町から生まれたおいしいものが、
地元で愛される味になるまでを紹介します。
2025.3.25
汐うに
大名らの間で珍重された越前海岸の逸品

徳川家康の次男・松平(結城)秀康が築城し、以降、17代にわたって越前松平家が治めた福井城下。この町に「雲丹商」を名乗る創業200年以上の老舗「天たつ」がある。奈良時代より福井から朝廷に献上していた生ウニと塩の加工品「泥うに」を、福井藩主の命で天たつ(当時は天王屋)の3代目が改良したのが「汐(しお)うに」。バフンウニの卵巣と塩のみで作る、芳醇な磯の香りと甘さ、うまみを凝縮させた珍味で、越前松平家から朝廷や全国の大名に贈られた。
11代目店主の天野準一氏曰く、「浜ごとにウニの味が違う」とのこと。海底の環境や食べ物の違いが、ウニの味に影響するという。この味わいの異なるウニをブレンドしてうまみを重ね、天たつの汐うにの味が完成する。濃厚な汐うにをひとなめして日本酒を味わう、約200年前から続く美味なる楽しみ。「200年後にも親しまれる汐うにであり続けたい」と話す天野氏の想いがあればこそ、自然環境が激変する時代を乗り越えて、家伝の味が後世に継がれる。
天たつ 福井片町本店

TEL 0776-22-1679
福井市順化2-7-17
北陸自動車道福井ICから約15分
北陸新幹線福井駅から徒歩約10分
9:00AM~6:00PM
不定休、年末年始休

お取り寄せはこちらから
汐うにのほか、国内産バフンウニを干しあげた「干うに」(16グラム・5,940円~)などウニを使った商品のほか、「福井県産天然もみわかめ(12グラム・1,296円)や「らっきょう」(70グラム・842円)など福井の名物が揃う。
https://www.tentatu.com/items/list/shiouni-lineup/echizenshitate-kokusan/
「天たつ」の屋号を与えた福井藩主・松平春嶽(しゅんがく)公が名付けた松平家の別邸・養浩館は、回遊式林泉庭園が見事。現在は名勝 養浩館庭園(9:00AM~7:00PM(11月6日~翌2月~5:00PM)、年末年始休。入園料は大人220円)として一般に開放されている。
フランス料理
仏料理のスターシェフと福井の食材が融合

九頭竜(くずりゅう)川が日本海へ注ぐ河口に位置する三国町。北前船の交易で栄えた古い町並みに、点在する古民家をリノベーションしてレストランと9棟16室の客室を設けたのが、分散・滞在型宿泊施設「オーベルジュほまち 三國湊(みくにみなと)」だ。
この施設のメインとなる「タテルヨシノ 三國湊」は、フランス政府にも認められた日本フレンチ界の巨匠ともいえるシェフのひとり、吉野 建(よしのたてる)氏がプロデュースするレストラン。三国港に揚がる海産物はもちろんのこと、福井県内でとれる山海のブランド食材が、吉野氏の創造力によってここでしか味わえない特別なコース料理に仕立てられる。「マグロ・洋ナシ・キャヴィアのミルフィーユ仕立て」や「冷製のボルシチ」といった吉野氏のスペシャリテが福井で味わえるのも、この店を訪れる魅力のひとつ。「日本国内だけでなく世界に、吉野氏の名前とともに三国湊の名を知っていただき、県内の人にも福井の食材のよさを見直す機会になればと思う」と話す料飲マネージャーの駄場崇人(だばたかひと)氏。吉野氏の料理を介し、三国で新たな交流が生まれている。

タテルヨシノ 三國湊

TEL 0776-82-6530
福井県坂井市三国町北本町3-4-33
北陸自動車道金津ICから約35分
えちぜん鉄道三国芦原線三国駅から徒歩約5分
5:30PM~7:30PM(1部)、8:00PM~10:00PM(2部)
無休
※3営業日より前までに要予約
材木商を営んでいた旧岸名家(9:00AM~5:00PM。水曜、年末年始休。入館料100円)は、地域特有のかぐら建ての町家様式。ボランティアガイドきたまえ三国が常駐し、建物や三国のみどころについて教えてくれる。
取材・文/山下あつこ 写真/山岸政仁
※価格は消費税込。
薪火料理&ピザ
薪火で食材のもち味を最大限に引き出す

JR鳥取駅前の丸由(まるゆう)百貨店5階の一角。広々とした店内に天然木のテーブルやカウンターなどを配した「KAEN」は、熱源に薪火を用いる薪火料理とピザの店だ。
「500度にまでなる窯内で食材に熱を入れる薪窯と、薪火で直焼きする暖炉のふたつを、メニューによって使い分けています」と話すのは、料理長の中田大介氏。火入れを絶妙な加減で調整しながら、薪窯ではピザだけでなく旬の野菜などの食材のおいしさを引き出し、暖炉では表面を炙(あぶ)り、薫香をまとわせた鳥取和牛やジビエなどを調理する。なかでも、ピザはすべて国産食材にこだわった「JAPAN CRAFT PIZZA」を掲げている。「生地の仕込みに使う酵母も鳥取県の桜の木から採取したもの。甘みのある香り高い生地を毎日用意しています」と話す、中田氏の自信作。たっぷりとトッピングされた鳥取県産の具材やチーズとの相性も抜群だ。
ローカルファーストを意識した料理を通して、「季節の野菜や山菜、日本海の鮮魚、豊かな自然のなかで飼育された肉など、鳥取県が誇る食材の魅力を発信できれば」と中田氏は話してくれた。

KAEN(カエン)

TEL 0857-25-2385
鳥取市今町2-151 丸由百貨店5階
鳥取自動車道鳥取ICまたは山陰自動車道鳥取西ICから約10分
JR山陰本線・因美線鳥取駅から徒歩約2分
11:00AM~3:00PM、6:00PM~10:00PM
月曜夜・火曜休
鳥取市街地の東に位置する鳥取城跡は中世の山城跡。羽柴秀吉の兵糧攻めの舞台としても知られ、その後、鳥取藩の居城になった。現在は久松(きゅうしょう)公園として整備され、近年は大手登城路の擬宝珠(ぎぼし)橋や中ノ御門表門などが復元された。
日本料理
心温まるおもてなしと、旬を食す楽しみを提供

江戸・明治期の建物が立ち並ぶ倉吉白壁土蔵群から少し離れた住宅街のなか。「日本料理 あき山」は中庭がある小さな古民家を改装して、2014年に開業。大阪の名店で修業を積んだ倉吉出身の大将・秋山茂雄氏と妻のおかみが、ゲストを温かく出迎えてくれる。
「室内の調度品を楽しみに来てくださるお客様もいらっしゃいます」とおかみが話すとおり、掛け軸や一刀彫の置物など、大阪の骨董(こっとう)品店から仕入れた調度品が個室を彩る。彫刻の大家・北村西望(きたむらせいぼう)の書『松樹千年翠(しょうじゅせんねんのみどり)』が掲げられたカウンターは、目の前で調理する大将との会話が弾む特等席だ。
そんな大将は「鳥取県産の食材を中心に、旬を食す楽しみを提供できれば」と話す。料理では毎日丁寧にとるダシを軸に、これまでの経験と技で、食材のもち味を生かすことを何よりも心がけているという。季節感あふれる盛りつけが鮮やかな八寸など、多彩な食材と味の強弱が、コースの最後のひと品までゲストを飽きさせない。開業からまたたく間に地元の食通が常連になったというのもうなずける、満足感が得られるだろう。

日本料理 あき山

TEL 0858-24-6032
鳥取県倉吉市余戸谷町3030-2
北条湯原道路倉吉ICから約10分
山陰自動車道はわいICから約25分
6:00PM~9:30PM(L.O.)
日曜休 ※ほか不定休あり
打吹山(うつぶきやま)のふもとに広がる倉吉白壁土蔵群は、国の重要伝統的建造物群保存地区。赤い石州瓦(せきしゅうかわら)、白い漆喰(しっくい)壁、黒い焼き杉板の腰壁が特徴的な土蔵が玉川沿いに立ち並び、周辺には蔵や古民家を改装した店が点在している。
取材・文/mado.lab 写真/合田慎二
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー
●取材時期:2024年9月上旬 ※価格など掲載内容は施設や店舗の諸事情により変更となる場合があります。
- トップ
- 食
- ニッポン発 おいしいもの探訪
- ニッポン発 おいしいもの探訪【福井県・鳥取県】