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SDGs 世界の街からエシカル通信

パリ/フランス

モードの都、ファッションロスに取り組む

不用品を回収・販売する「メルカート・ボリヴァー」。ファッションロスへの意識が高いパリの人々の支持を集める。

人や地球環境、社会、地域に配慮したエシカルな考えや取り組みを、世界の街で暮らす人たちが日々の目線を通してレポートします。

2025.2.25

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 近年では、食品廃棄の「フードロス」に続き、「ファッションロス」に注目が集まっている。流行を取り入れた商品を低価格で販売するファストファッションブランドの拡大とともに、大量生産・大量消費、さらにはその大量廃棄による環境への負荷が世界的な問題となっている。

 フランスは、2020年2月に世界で初となる「資源の循環と廃棄物の削減を目指した循環経済に関する法律」を公布し、アパレル企業の売れ残った商品の、廃棄や焼却を禁止した。売れ残った衣料品は寄付やリサイクルが義務付けられ、違反した場合は最大15,000ユーロ(約242万円(2025年1月現在))の罰金が科される。ファッションロスという社会問題に、国全体で取り組む姿勢だ。その取り組みの一環として、大通りの歩道には衣類や靴の回収を行う専用回収ボックスを設置。2019年、市場に出回った新品の繊維製品と靴は64.8万トンだったが、リサイクル運動により24.9万トンを回収、再販やリサイクルなどに活用された(『Eco TLCの活動報告書』)。

街のあちこちに置かれる回収ボックス。環境を守るため、まだ使えるものはこのボックスでリサイクルに回される。

 首都・パリではとくに、ファッションロス対策としてさまざまな試みが行われている。実施している店舗としては、例えば2区の「ルソースリー・ラルテルナティヴ」。家庭で不用になった物品の回収・販売を行い、その利益で社会支援が必要な人々を援助する団体「エマウス・アルテルナティヴ」とパリ市の共同プロジェクトで、2018年に工場跡にオープンしたリサイクルショップだ。
 「利用者は毎日100人から200人。店内のアトリエでは古い洋服や布を再利用し、洋服やバッグ、クッションを製作し販売。傷んだ洋服をリペアするアトリエも定期的に開催しています。まだ使えそうなものは寄付し、廃棄を避けています」と責任者のレオ・デュプラン氏。

「古いものを再利用したり、修理したりする人が増えています。洋服のリフォームや電化製品修理のアトリエは大人気です」と「ルソースリー・ラルテルナティヴ」代表のひとり、デュプラン氏。

 12区の「ラ・ブティック・サン・ザルジャン」は、ものを捨てずに再利用し、環境を守ることが目的の店だ。不用品の引き取りは、状態がよいもの限定。非営利団体が営み、利用者は参加費1ユーロで店内のものを5点までもらうことができる。なかでも洋服は人気のアイテム。楽しそうに選ぶ女性客の姿が目立った。

参加費を払えば商品をもらえる「ラ・ブティック・サン・ザルジャン」。小さな店だがアイテム別に商品を整理し見やすく工夫されている。

 19区に店を構える「メルカート・ボリヴァー」も環境のために中古品を回収・販売している。コンセプトショップ「メルシー」のアートディレクションを手がけたチームがロゴデザインや内装などのコンセプトをつくり、センスのよい空間で買い物を楽しめる。商品はすべて厳しく検品し、ブランド品の販売も行う。「客層は若い人や家族連れが大半。環境のために中古品を買う、という方が多いですね」と設立者のひとり、ミリアム・カミュ・ベルティネ氏。モードの都、パリではいまやセカンドハンドに注目が集まっている。ファッションロスへの意識が高いパリの人々の取り組みには、見習う点が多いようだ。

  • 「メルカート・ボリヴァー」のカフェ。スタイリッシュな内装と、良品を揃えることで評判となり、パリに全3店を構える人気グループに成長。

  • ファッションのほかに家具、インテリア、電化製品などさまざまな商品をラインアップ。

取材・文

木戸美由紀 Miyuki Kido

フランス・パリ在住。女性誌の編集を経て2002年渡仏。旅、食、カルチャーを中心に執筆。月刊誌『アンド プレミアム』(マガジンハウス)で「パリところどころ案内」、ウェブマガジン『SUMAU』で「フランスの暮らしとデザイン」を連載。

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