2025.1.22
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観察環境が整った施設でまずは実践
さまざまな環境に野鳥は生息しているが、まずは野鳥が多く集まる場所へ出かけたい。初心者でも比較的簡単に見つけやすく、観察棟や小屋が整備されていたり、ガイドスタッフがいたりする探鳥地をセレクトして紹介する。
かわいいシマエナガに高確率で出合える
自然豊かな森を眺めながら飲食が楽しめる、野鳥写真家・嶋田 忠氏のギャラリー(見学無料)併設のカフェ。ふわふわでかわいいシマエナガが高確率で見られるスポットとして人気が高く、カフェコーナーの奥には本格的な撮影スペースがある。撮影スペースは窓ガラスのない半屋外のカウンター席。カモフラージュネットが張られ、その隙間からレンズを出して野鳥撮影に集中できる。
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「THE BIRD WATCHING CAFÉ」の撮影スペース。ガラス窓がないので、冬は防寒装備が必須。目線の先にはバードフィーダーが複数設置されている。
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右は北海道産低温殺菌牛乳を使用した「シマエナガソフト」(750円)。左はシマエナガが描かれた「カフェラテ」(700円)。
THE BIRD WATCHING CAFÉ(ザ バード ウォッチング カフェ)[北海道]

TEL 0123-29-3410
北海道千歳市蘭越90-26
カフェ 10:00AM~5:00PM(料理 10:30AM~3:30PM(L.O.)、ドリンク ~4:30PM(L.O.))撮影スペース(要ウェブ予約) 10:00AM~1:00PM、1:00PM~4:00PMの2部制
使用料:1席1,000円
火曜、年末年始休
多様な環境に恵まれ、野鳥の種類が多い都市公園
広大な敷地のなかに、池や湿地、芝生、雑木林など多様な環境があり、野鳥の種類も数も期待できる都市公園。とくに11~3月は、ボート池横の野鳥観察舎「鳥見亭」が開館し、バードウォッチングのベストシーズン。フィールドスコープで野鳥観察ができ、図書コーナーもある。また、常駐する野鳥観察指導員が鳥の情報を案内してくれる。
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「井頭(いがしら)公園」の「鳥見亭」の前に広がるボート池。奥には湿地植物保存地域が広がっている。
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翡翠(ひすい)色の背と頭、だいだい色の腹、首筋の白いマークが美しく、フォトジェニックなカワセミ。
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国内を季節移動するオシドリ。秋から冬に、あでやかなオスと地味なメスが、池にゆったり浮かんでいる姿が、ボート池で見られる。
井頭(いがしら)公園[栃木]

TEL 0285-83-3121
栃木県真岡市下龍谷99
鳥見亭 9:00AM~4:00PM(11~3月)
火曜、年末年始休
鳥見亭使用・公園散策自由
東京湾の埋立地に造られた、広さ約36万平方メートルの公園
東京港に面し、海と繋がった潮入りの池やヨシ原、淡水池、小川、森林など多様な環境で構成される野鳥公園。毎年、シギ・チドリ類、カモ類などの水鳥や小鳥類、オオタカなどが公園を訪れ、年間120種類前後が観察されている。公園内の水辺には4つの観察小屋が点在。受付に申し出ると無料で双眼鏡を貸してくれる。また、ネイチャーセンターの大きな窓ガラスからは、潮入りの池にいる野鳥を観察することができる。
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魚のいる水辺で見られることが多いカワセミ。
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東観察広場。壁に複数設けられた窓から野鳥を観察。冬には、水辺でくつろぐカモやサギを見ることができる。(写真/(公財)日本野鳥の会)
東京港野鳥公園[東京]

TEL 03-3799-5031
東京都大田区東海3-1
9:00AM~4:30PM(2~10月 ~5:00PM)
月曜(祝日または都民の日の場合は翌火曜)、年末年始休
入園料:大人300円
国境を越えて旅をする水鳥たちの憩いの場
東京湾の奥部に残された約40ヘクタールの谷津干潟は、国指定鳥獣保護区であり、「ラムサール条約登録湿地」に認定されたエリア。水鳥をはじめ、貝、カニ、ゴカイ、魚などたくさんの生き物が潮の満ち引きに合わせて生息している。北と南の国を行き来するシギ・チドリ類にとっては、渡りの途中の栄養補給と休息のための貴重な中継地。観察センターにはレンジャーが常駐し、干潟の自然や野鳥観察の案内、さまざまな自然体験プログラムを行っている。
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干潟の豊富な食糧を求めて飛来し、10~4月ごろに観察できるハマシギの群れ。集団で一糸乱れず舞う姿は、冬の風物詩となっている。
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水辺でおなじみのカワセミ。その鮮やかな色で、バードウォッチャーの人気者。
谷津干潟自然観察センター[千葉]

TEL 047-454-8416
千葉県習志野市秋津5-1-1
9:00AM~5:00PM ※最終入館は閉館30分前
月曜(祝日の場合は翌平日)、12/28~1/1休
入館料:大人380円 ※現金のみ
オホーツクより飛来するオオワシが大人気
琵琶湖岸に立つ「湖北野鳥センター」。目の前に広がる湖北水鳥公園には一年を通して多くの野鳥が訪れ、フィールドスコープで水鳥を観察できる。また、専門員が鳥や自然についてわかりやすく説明してくれるので、初心者でも楽しめる。秋から冬にかけては、オオヒシクイやコハクチョウ、オオワシなどの渡り鳥がやってきて、琵琶湖の美しい夕日とともに訪れる人々を魅了する。
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オホーツク海沿岸部から飛来し、琵琶湖畔で毎年越冬するオオワシ。その姿をひと目見ようと「湖北野鳥センター」には野鳥ファンやフォトグラファーが多く訪れる。
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「冬の使者」とも呼ばれるコハクチョウ。ロシアの北極海沿岸部から飛来し、例年10月ごろから3月中旬ごろまで滞在する。
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湖北野鳥センターから見ることができる、琵琶湖の美しい風景。
湖北野鳥センター[滋賀]

TEL 0749-79-1289
滋賀県長浜市湖北町今西
9:00AM~4:30PM
火曜(祝日の場合は翌水曜)、12/29~1/3休
入館料:大人200円(2025年4/1より大人300円) ※クレジットカード利用不可
より楽しむために、用意しておきたい物
特別な道具を持たなくてもできるのがバードウォッチングだが、便利で楽しみの幅が広がる道具があると、さらに興味が湧いてくる。さまざまな機能が備わった双眼鏡をはじめ、おすすめのグッズを紹介する。
バードウォッチングを楽しむために持っておくとよい物は、鳥の名前を調べる図鑑と双眼鏡。図鑑は識別に適したイラストと、リアルを伝える写真の両方を持っておくのがおすすめだ。
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手ブレ防止のスタビライザー付
大きく揺れる環境での手ブレ、小刻みな手ブレに対する補正モードを搭載した「阪神交易 シリウス14」。望遠倍率14倍、L150×W125×H53ミリメートル、重さ560グラム(84,150円)。/A -
ガイドや研究者が使う憧れの銘品
色の再現性が高く、目が疲れにくいプレミアムクラスの双眼鏡「スワロフスキーオプティック NL Pure 8×32」。伝統的なグリーンと新色・オレンジの2種類がある。L144×W130×H65ミリメートル、重さ640グラム(42万5,700円)。/B -
スワロフスキーのコンパクトモデル
コンパクトでありながら高性能。観劇などにも兼用できる「スワロフスキー オプティック CL Pocket Elegant 8×25」。L110×W98×H46ミリメートル、重さ345グラム(13万8,600円)。/B
双眼鏡は、8〜10倍が一般的。これより高倍率の双眼鏡は、遠くのものが大きく見えるが、見える範囲が狭くなるので、動き回る鳥を捉えにくく、見失いがちだ。対物レンズの口径は大きいほど明るく、視界が広く見えるが、双眼鏡本体が重くなるので、30ミリクラスがバランスがよく一般的だとされている。とはいえ、使い勝手は人それぞれ。双眼鏡を購入するときは、手に取って重さを体感したり、覗いたりしてから決めたい。
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日本野鳥の会おすすめ双眼鏡スターターセット
明るく広い視界、ピントの合わせやすさ、価格など総合的に判断して日本野鳥の会がおすすめする双眼鏡と野鳥図鑑のセット。双眼鏡は「ニコン モナークM7 8×30」。L119×W125×H48ミリメートル、465グラム(セット価格・43,560円)。/C -
コスパに優れた標準モデル
バードウォッチング定番の8倍率で、性能にも定評がある「興和オプトロニクスYFⅡ30-8」。L160×W114×H48ミリメートル、重さ475グラム(15,840円)。/A -
自然の色味が楽しめる
色のにじみを抑え、持ちやすさ、機能美も兼ね備えた「Vixen(ビクセン)アルテスJ HR8×42WP」。L146×W130×H53ミリメートル、重さ700グラム(55,440円)。/B
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スマホ用デジスコアダプター
スマートフォンを双眼鏡や望遠鏡に取り付けて撮影を楽しむためのアダプター「バンガード VEO PA-65」(11,000円)。スマホの取付幅(59~90ミリメートル)、接眼レンズ直径(34~54ミリメートル)。/A -
はめたまま図鑑がめくりやすい
手の平部分に独自の波型ゴム加工を施したグリップ力抜群の「アウトドアグローブ」(880円)。フィールドではめたまま双眼鏡やカメラの操作や、図鑑がめくりやすい。/C -
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日本野鳥の会オリジナル長靴
軽量で、くるくると巻いて小さくできる「バードウォッチング長靴」。干潟やぬかるみでも行動しやすく、持ち運びにも便利。SS(23センチメートル)~4L(29センチメートル)、色は3色(6,930円)。/C
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鳴き声が聞ける機能付図鑑
スマートフォンで226種の鳴き声が聞ける2次元コード付の『ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑』(ナツメ社、監修/樋口広芳、著/石田光史)(1,650円)。2025年1月に増補改訂版発行予定。 -
ハンディサイズの野鳥図鑑
精彩で美しいイラストと写真で、野鳥242種を紹介する『野鳥手帳「あの鳥なに?」がわかります!』(文一総合出版、文・写真/叶内拓哉、イラスト/水谷高英)(1,540円)。/A
庭にも野鳥がやってくる
庭に野鳥を呼ぶ方法に、巣箱や水場の設置がある。「巣箱は野鳥が巣作りを始める春よりも前の、秋から冬に設置すると、利用してくれる可能性が高くなります」と日本野鳥の会の森谷机珠瑶(もりやきみよ)氏。猫がつたってきたりヘビが入ったりしにくいよう、下枝を取り払った木の高さ1.5~2メートルの位置に、入口の穴をやや下向きにして取り付けよう。
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野鳥が水浴びしやすいよう設計された「来待石(きまちいし)バードバス」(小型・14,300円)。/C
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日本野鳥の会オリジナル「シジュウカラ用巣箱Ⅱ」(完成版・4,510円)。/C
問い合わせ先
A ホビーズワールド
TEL 03-3253-3077
東京都千代田区神田小川町1-6-3 B.D.A神田小川町ビル3階
正午~6:00PM
火曜、12/30~1/4休
B 銀座双眼堂
TEL 045-451-1314
神奈川県横浜市西区高島2-3-21 ABEビル4階
11:00AM~6:00PM
日・祝、年末年始休
C 日本野鳥の会 バードショップ
TEL 03-5436-2624
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル3階
11:00AM~5:00PM
日・祝、12/29~1/3休
取材・文/土井ゆう子 写真/石田光史、伏木 博
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー ※サイズのLは長さ、Wは幅、Hは高さ。
●取材時期:2024年8月下旬 ※価格など掲載内容は時期や施設、店舗の諸事情により変更となる場合があります。