大航海時代、栄華を誇ったポルトガルの首都リスボン。迷路のような路地を昔ながらのトラム(路面電車)が走り抜け、美しいアズレージョ(絵付けタイル)に彩られた建物が立ち並ぶ。情緒あふれるこの街を歩けば、なぜか懐かしい気分に満たされる。昔憧れた古きよきヨーロッパの薫りが漂う、物語に満ちたリスボンの街角へ。
2024.12.24
大航海時代の歴史が刻まれた港町へ
大航海時代、ベネチアやジェノバに代わってヨーロッパを代表する交易都市となったリスボン。ベレン地区には、大航海時代の壮大なモニュメントが点在し、当時の息吹を感じることができる。
「ジェロニモス修道院」は、ヴァスコ・ダ・ガマによる喜望峰経由のインド航路開拓と、ポルトガルの大航海時代を率いたエンリケ航海王子の偉業をたたえて、1502年に着工された。当初の建築資金は、ヴァスコ・ダ・ガマが持ち帰った東方のスパイスを売却した利益によって賄われた。
修道院の内部で見逃せないのは中庭を囲む約55メートル四方の回廊だ。柱には異なる彫刻が施され、地球儀、帆船、異国の動植物など大航海を連想するモチーフが多い。
「その時代、馬車も国の力を表す政治的な存在でした」と語るのは「国立馬車博物館」の館長マリオ・アンタス氏だ。「ここは1905年に開設された世界初の馬車博物館です。主にはポルトガル王室が所有していたものを保存展示しています。馬車の装飾は煌びやかなだけでなく、それぞれ意味があり、例えば3つ並んだ馬車はヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見を表現したものです」。
馬車の後部には、インド洋と大西洋を象徴する海神が握手する金の像の装飾が施されている。
テージョ川に臨んで立つ、高さ56メートルもの「発見のモニュメント」も迫力がある。
そこにはエンリケ航海王子を筆頭に、新しい世界を求めて、危険を伴う航海に出た人々の姿が刻まれており、彼らの表情からは、大航海時代のエネルギーとロマンが伝わってくる。
ジェロニモス修道院
国立馬車博物館
発見のモニュメント
ジェロニモス修道院 Mosteiro dos Jerónimos
TEL 351 213 620 034
Praça do Império, Lisboa
回廊:火~日 9:30AM~5:30PM(最終入場は閉館30分前)
1/1、復活祭の日曜、5/1、6/13、12/25休
入場料:大人€12、13~24歳€6、12歳以下無料
国立馬車博物館 Museu Nacional dos Coches
TEL 351 210 732 319
Avenida da Índia 136, Lisboa
10:00AM~6:00PM(最終入館は閉館30分前)
新館月曜、旧館火曜、1/1、5/1、復活祭の日曜日、6/13、12/24、12/25休
入館料:新館€8、旧館€5、2館共通券€10、12歳以下無料
発見のモニュメント Padrão dos Descobrimentos
TEL 351 213 031 950
Av. Brasília, Lisboa
10~2月 10:00AM~6:00PM(最終入場は閉場30分前)
3~9月 10:00AM~7:00PM(最終入場は閉場30分前)
1/1、5/1、12/24、12/25、12/31休
入場料:大人€10、13~25歳€5、12歳以下無料
https://padraodosdescobrimentos.pt/padrao-dos-descobrimentos/
取材・文/山口あゆみ 写真/入江啓祐
●取材時期:2024年7月上旬
※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。