北部インドを代表する都市・ジャイプールでは、すばらしい建造物や優雅で美しい工芸品など、ジャイプールならではの“美の伝統”に出合うことができる。絢爛で幻想的、大胆ななかに繊細さが煌めくその文化を体感しよう。
2024.12.24
エキゾチックで幻想的な美が生きる古都
インドで最も広いラジャスターン州の州都ジャイプール。いまもシティ・パレスにマハーラージャ(藩王)が住み、鮮やかなサリーやクルタを身にまとった人々が道を行き交う街だ。城壁に囲まれた旧市街には、18世紀にマハーラージャ、ジャイ・シング2世によって造られた、ラージプート様式とムガール帝国の影響によるイスラムの様式が相まった歴史的建造物が多く残り、2019年に世界文化遺産に登録された。
旧市街の中心部に位置するのは、1726年に造られたシティ・パレス。隣接してジャイプールのランドマークである「風の宮殿」が大通りに面して立つ。透かし彫りが施された窓が953も設けられ、風が吹き抜けるとよい音をたてるそうだ。外から内部が見えない構造で、王妃や後宮の女性たちがここから街を眺めていたという。シティ・パレスと風の宮殿は、ローズピンクに統一され、日差しのもと、鮮やかな美しさが際立つ。
旧市街から北東に車で20分程の場所にある「アンベール城」では、16世紀にさかのぼってこの地の建築美を堪能できる。外から見ると、巨大で堅牢な城だが、内部は優美で幻想的ともいえる意匠が凝らされている。
ムガール様式の謁見(えっけん)の間や緑の中庭、象嵌(ぞうがん)と鏡細工が施された鏡の間、フレスコ画がすばらしいソーハグマンディールなどみどころは多い。約500年の時を経て、古びるどころか、洗練された美しさがいまも迫ってくる。
風の宮殿 Hawa Mahal
TEL 0141 261 8033
Hawa Mahal Road, Badi Choupad, Pink City, Jaipur
9:00AM~4:30PM
無休
入場料:大人₹202
アンベール城 Amber Fort
TEL 0141 253 0293
Amer, Jaipur
8:00AM~6:00PM
入場料:大人₹502 ※クレジットカード利用不可
煌びやかな工芸に宿る優雅さ
アンベール城、シティ・パレスと同様に、ラージプート様式とムガール様式が織りなすエキゾチックな美を楽しめるホテルがある。「サモード・ハヴェリ」だ。ハヴェリとは邸宅のこと。約250年前に王族の別邸として建てられた建物がホテルとなっている。
入口からはシンプルな邸宅に見えるが、なかに入ると緑濃い中庭を囲んで贅を尽くした美の空間が広がる。敷地内は周囲の喧騒が嘘のような静けさだ。
チェックインの手続きをするロビーラウンジには、壁と天井にフレスコ画が隙間なく描かれ、クラシックなシャンデリアやゴールドの漆喰が煌びやかに輝く。「シーシュ・マハル」は、館主の妻の寝室だったスイートルームで、鏡細工が施された、まるで宝石箱のような部屋だ。
ジャイプールは工芸のレベルの高さでも知られている。宝飾やテキスタイルにも独特の美意識と技法がある。
「アノーキ」はラジャスターン州独特の木版ブロックプリントのアパレルブランド。洗練されたモダンなデザインで、インド各地に店舗があり、ジャイプール本店では洋服からベッドリネン、スカーフやポーチなどの小物までラインアップされている。
マハーラージャやハリウッド俳優も身に着けるジュエリーブランド「アムラパリ」。インド産のエメラルドをはじめ、上質な貴石を使った豪奢なものから、エキゾチックなデザインのコスチュームジュエリーまで幅広い品揃えだ。ジャイプールで見つける優雅な美をぜひ持ち帰りたい。
サモード・ハヴェリ SAMODE HAVELI
TEL 141 263 2370
Jorawar Singh Gate, Gangapole Road Near, Gangapole, Jaipur
アノーキ Anokhi
TEL 0141 400 7244
2nd Floor KK Square, C-11 Prithviraj Road, C-Scheme, Jaipur
10:00AM~8:00PM
祝日休
アムラパリ AMRAPALI
TEL 141 491 7608
Panch Batti, MIRoad, Jaipur
10:30AM~7:30PM
取材・文/山口あゆみ 写真/入江啓祐
●取材時期:2024年3月下旬
※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。