ポイ捨てされる資源ゴミを減らす試みの代表イメージ

SDGs 世界の街からエシカル通信

シドニー/オーストラリア

ポイ捨てされる資源ゴミを減らす試み

美しい海と砂浜の保全に力を注ぐ「マンリー・ビーチ」へは、シドニー中心部からフェリーで約30分。

人や地球環境、社会、地域に配慮したエシカルな考えや取り組みを、世界の街で暮らす人たちが日々の目線を通してレポートします。

2024.12.24

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 いまや世界中のあらゆる場所で、ペットボトルや缶に入った飲料が手軽に買える時代。空になった容器はリサイクルできる資源ゴミとなるが、実際に回収されたものが、再生されるまでにかかるコストやエネルギー消費量を考慮すると、想像以上に環境負荷がかかっていることがわかる。また、空の飲料容器がリサイクルに回されることなく、あちこちにポイ捨てされているケースも目立つ。ポイ捨てされた容器は、景観を損なうだけでなく、最終的に環境破壊へと繋がるため、大きな社会問題となっているのが現状だ。
 シドニーのあるオーストラリア・ニューサウスウェールズ州では、異なるふたつのアプローチで飲料容器のポイ捨てを減らす取り組みが行われている。
 ひとつは、ゴミとなる飲料容器自体を増やさないようにする試みだ。シドニー北部のノーザンビーチズ自治体では、2008年から「フィルタード・ウォーター・ステーション」という、濾過(ろか)された安全な水が無料で汲める設備を設置。ペットボトル飲料を安易に購入せずにマイボトルなどに詰め替えることで、ゴミとなるペットボトルそのものを減らす取り組みを行ってきた。この設備が18ヵ所に設置されたマンリー・ビーチでは、600ミリリットルのボトル換算で、年間約200万本分の水が詰め替えられ、最大80トンものペットボトルのゴミが削減できる計算になるという。いまでは公園や大学構内など、さまざまな場所に設置され、地元民だけではなく、観光客がマイボトルや空になったペットボトルに詰め替える姿もよく見られるようになった。

濾過した水を無料で汲める

  • ビーチ沿いやメイン通りなどの人通りが多く目立つ場所に設置された給水ステーション。

  • マイボトルを持ち歩いて、ウォーキングの途中で給水する人も多い。

 こういった動きに加え、ゴミとなった飲料容器が可能な限り回収されるような仕組み作りも行っている。そのひとつが、州政府が導入を進めている「トムラ」という飲料容器専用の回収ステーションだ。トムラは、飲料用のペットボトルや缶、ガラス瓶、紙製容器を持ち込んでリサイクルすると、ひとつ当たり10セントが返金される仕組み。基本的に無人で、アプリを利用して運用されており、返金は、自分のアカウントを通じて処理される。決まった場所で回収してリサイクル率をあげ、ポイ捨てを減らすのが狙いだ。パンデミック以降は、店ではなく自宅で飲む機会が増えたことで、週末などにまとめて持ち込む人も多く、さらに環境保護活動の一環として清掃を行ったボランティア団体が利用する姿も見られるようになった。最近では、回収ステーションの数が少なすぎるという不満の声も出始め、州政府が対応に追われているほどだという。

空容器を捨てずに決まった場所でリサイクル

  • プラスチックボトル、紙製容器、アルミ缶、瓶の4種の空容器がリサイクルできるトムラの回収ステーション。

  • 最初にアプリを読み込ませる。

  • 空容器を投入後、アプリを通じて自分のアカウントに返金される。

 ゴミになる容器自体を増やさないフィルタード・ウォーター・ステーションと、出てしまったゴミの回収・リサイクルを促すトムラの、ふたつの取り組み。アプローチは異なるが、どちらも資源ゴミ対策として定着しつつあり、環境負荷の軽減にひと役買っているといえるだろう。

取材・文

平野美紀 Miki Hirano

シドニー在住。1996年より旅行を中心に環境や自然に関して取材、各種メディアへの寄稿や出演を通じて活動を続けるほか、テレビ番組のコーディネートも行う。

撮影

平野正洋 Masahiro Hirano

シドニーを拠点に、主に自然や野生動物、旅行関係の写真撮影、テレビ番組のカメラマンとしてドキュメンタリーやニュース映像など、幅広い分野で活動。

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