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宮城の“おいしい”を追いかける旅

塩竈の寿司文化を牽引する「すし哲」で味わえる、「すし哲物語」(4,580円)。

東北地方の玄関口のひとつである宮城県。海の幸や山の幸などの豊かな食材を誇り、冬に旬を迎えるものも多い。各地からアクセスしやすい仙台と、天然の良港で有名な塩竈で旬の味覚を味わう、宮城の“おいしい”を追いかける旅を紹介する。

2024.12.24

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塩竈 Shiogama

日本有数の漁港に揚がる鮮度抜群の海の幸

 松島湾の南に位置する塩竈は、鹽竈(しおがま)神社の門前町として古くから栄えた町。天然の良港をもつ港町としても知られ、塩釜港は日本有数の生マグロの水揚げ基地として名高い。ほかにも多様な魚が揚がり、新鮮な魚介類を生かした港町特有の食文化が根付いている。

100以上の店のうち、25店程がマグロ専門店。運がよければ解体するシーンに出合えることもある。

 「塩釜水産物仲卸市場」は、近海で水揚げされた新鮮な魚介が集まる市場。目利きのプロが買い付ける市場であると同時に一般客への小売も行っている。100軒以上もの店が並び、マグロをはじめとする海の幸や水産加工品を、卸値で購入できる。場内には食事処もあり、朝から地元の人々や観光客でにぎわっている。

  • 2月に旬を迎える閖上産の赤貝。

  • ナスなどの浅漬けなどを売る店もある。

  • 塩釜港で水揚げされたアナゴ。

  • 鮮魚だけでなく、干物などの水産加工品も多い。

 この豊富な魚介類を背景に発展したのが、寿司の文化だ。市内の寿司店が技術と味を競い、近年では「寿司の街」としても知られるようになった。そんな塩竈の寿司文化を牽引しているのが「すし哲」だ。

つけ場に立つ店主の白幡泰三氏。塩竈の寿司をメジャーに押し上げた立役者のひとり。

 この道60年という店主の白幡泰三氏が握る寿司には、長年培われた技と味へのこだわりが詰まっている。「2月には日本一おいしいともいわれる閖上(ゆりあげ)赤貝が旬を迎えます」と白幡氏。有田焼の器に盛り付けられた寿司はどれもが美しく、その味は期待を裏切らない。

  • 「すし哲物語」(4,580円)は、マグロの大トロも入るぜいたくなひと皿。重厚感のある有田焼の器の上に、職人技が詰まった握りが整然と並ぶ。

  • おつまみの盛りあわせは3,000円~。旬のひかりものの刺身や名物「やわらか煮たこ」、玉子焼、焼き物などを盛り付けてくれる。

 塩竈の寿司には、塩竈の日本酒を合わせたい。1724(享保9)年創業の佐浦は「浦霞」の銘柄で親しまれる酒蔵。蔵の基礎を築いた南部杜氏、平野佐五郎・重一の精神を受け継ぎ、真摯に酒造りを続けている。「浦霞 酒ギャラリー」では、宮城県内限定も含む浦霞製品や酒器などを展示、販売。お気に入りの日本酒に出合えるはずだ。

  • 右から、2023年に発売50周年を迎えた「純米吟醸 浦霞禅」(720ミリリットル・2,552円)、「純米吟醸 浦霞No.12」(720ミリリットル・1,848円)、「特別純米酒 生一本(きいっぽん) 浦霞」(720ミリリットル・1,430円)。

  • 浦霞の蔵元、佐浦本社に併設の店。

  • 数種類の浦霞製品を楽しめるコイン式きき酒サーバー。きき酒用のお猪口と専用コインのセットは300円~。

塩釜水産物仲卸市場

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TEL 022-362-5518
宮城県塩竈市新浜町1-20-74
6:00AM~1:00PM(土~月、祝 ~2:00PM) ※店舗により異なる
水曜休

https://www.nakaoroshi.or.jp/

すし哲

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TEL 022-362-3261
宮城県塩竈市海岸通2-22
11:00AM~3:00PM、4:30PM~9:00PM (土・日・祝 11:00AM~)
木曜休(祝日の場合は営業)

https://www.shiogama-sushitetsu.com/

浦霞 酒ギャラリー

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TEL 022-362-4165
宮城県塩竈市本町2-19
10:00AM~5:00PM(12/30 ~4:00PM)
日曜、年末年始休 ※臨時休業あり

https://www.urakasumi.com/shop/

仙台 Sendai

杜の都、仙台で名物グルメに酔いしれる

 冬の仙台で近年話題となっているのが、セリを使った鍋料理。その発祥とされるのが仙台駅西口にある「いな穂」だ。店の名物である「セリしゃぶ」は、シャキシャキの葉セリと、ホクホクした根セリを一度に味わえるのが魅力で、鴨のうまみがきいたツユにさっとくぐらせて食べる。

「いな穂」のセリしゃぶ。冬には根セリと葉セリを同時に楽しめる。

 古くからつきあいのある農家から仕入れた有機栽培のセリをたっぷりと使用。嚙むほどにセリ特有の香りが口いっぱいに広がり、箸が止まらないほどのおいしさだ。「根セリを楽しめるのは例年3月中旬ごろまで。その後は葉セリになります」と店主の伊東一良氏は話す。この時期だけの特別なセリしゃぶをぜひ味わってみたい。

  • 「セリしゃぶ」(1,650円)のシーズンは10月中旬から5月上旬ごろ。鴨の風味のツユに、葉セリは3秒程、根セリは15秒程くぐらせる。

  • カウンター席と小上がり2卓のみの小さな店。必ず予約を。

 もうひとつ、仙台で外せないのが、名物・牛たんだ。「たんや善治郎 別館」は、伝統に忠実に、手仕込みの味を守り続けている店。焼きに適した部位を厳選し、職人が手切りで切り込みを入れる。粉挽き塩をふって熟成させたのち備長炭で焼きあげる。塩焼きにこだわり、塩味しか提供しないのは味への自信の表れでもある。

牛たんのなかでも、いちばん軟らかいという部分を厚切りにした「真中たん定食」(3,850円)。1本の牛たんからわずか1~2枚しかとれない稀少部位で、極上の軟らかさを楽しめる。

 仙台のスイーツといえば、古くから愛されてきた伝統食でもある「ずんだ餅」。ずんだとは、すりつぶした枝豆に砂糖などを合わせた餡のことで、豆の風味とつぶつぶの舌ざわりが特徴だ。

「ずんだ餅」(850円)には写真の黒豆茶か冷茶が付く。右は「ずんだシェイク エクセラ」(イートイン570円)。

 仙台駅構内にある「ずんだ茶寮 ずんだ小径店」は、ゆっくりとずんだを味わえるカフェ。定番のずんだ餅は、厳選された枝豆を独自に配合した餡を、餅米・ミヤコガネを使った餅にからめたもの。適度な甘みと塩味が絶妙で、深い味わいを楽しめる。このほか、オリジナルの「ずんだシェイク」などが人気で、帰路の新幹線のお供に求める人も多いという。

  • 仙台駅構内にある。

  • 「ずんだあんバター最中」(4個入・1,480円)。

いな穂

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TEL 022-266-5123
宮城県仙台市青葉区中央1-8-32 名掛丁センター街東
3:00PM~11:00PM
日曜休(翌月曜が祝日の場合は振り替え)

たんや善治郎 別館

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TEL 022-393-8015
宮城県仙台市青葉区中央1-1-8 杜の都 五橋横丁
11:00AM~10:30PM(L.O.)
12/31、1/1休 ※不定休あり

https://www.tanya-zenjirou.jp/

ずんだ茶寮 ずんだ小径店

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TEL 022-715-1081
宮城県仙台市青葉区中央1-1-1 JR仙台駅3階
9:00AM~9:00PM(喫茶 10:00AM~6:30PM(6:00PM L.O.))
無休

https://zundasaryo.com/

取材・文/日下智幸 写真/鈴木 伸

●取材時期:2024年3月上旬
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー
※掲載内容は時期や天候、施設の諸事情により変更となる場合があります。

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