日本のおいしいものを紹介する旅。
今回は長野県と長崎県から。
その町から生まれたおいしいものが、
地元で愛される味になるまでを紹介します。
2024.11.25
生チョコ
口のなかでゆっくり味わえる
粘りと口溶けのよさを実現
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北信五岳(ほくしんごがく)と千曲(ちくま)川の眺めがよい堤防沿いに立つ「奥信濃BUNZO」は、“生チョコ”の生みの親・小林正和氏が2023年に構えた飯山の新名所。小林氏が生チョコを創作したのは、神奈川県平塚市で「西洋菓子 シルスマリア」を営んでいた1986(昭和61)年のこと。ベルギー・カレボー社にある600種類以上の原料から厳選したチョコレートを、結晶を壊さないように16時間かけて45度に温め、生クリームを加え、24時間かけて冷やし固める。これにより、自身の思い描いていた味わいと食感をもつ、それまでになかった新しいチョコレートを生み出した。小林氏曰く、「嚙(か)むような歯応えと、“舌に食い込む”ような粘り」が特徴で、口のなかでゆっくりと味わえて、最後は口溶けよく消える。「生チョコが誕生して約40年。故郷・飯山の食材で新しい商品を考えている」と話す小林氏の菓子作りへの想いは、千曲川のように豊かに潤っている。
店から徒歩で10分程の飯山城址公園は、戦国時代の武将・上杉謙信が信濃侵攻の防衛拠点として築いた飯山城の跡。桜の名所としても知られ、例年4月中旬~下旬に、飯山城址桜まつりが開催される。
奥信濃BUNZO(ブンゾウ)
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TEL 0269-67-0342
長野県飯山市飯山2529-1
上信越自動車道豊田飯山ICから約15分
JR飯山線北飯山駅から徒歩約8分
10:00AM~5:30PM(日・祝 ~5:00PM)
月・火休(祝日の場合は営業)
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現在、オンラインショップではチョコレートの「生チョコ」(1,296円~)と、「プラリネ」(1,792円~)を販売。生チョコは定番の4種類のほかに、期間限定のフレーバーが登場するとも。冷凍でお届け。
蓼科牛
一頭買いした稀少牛の
稀少部位を楽しむ
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八ヶ岳連峰の北端に位置する蓼科山(たてしなやま)。この山の周囲にある約10軒の牧場では、年間出荷数1300頭程のブランド牛「蓼科牛」が飼育されている。その肉を焼肉やハンバーグで味わうことができるのが立科町の「蓼科牛いっとう」だ。
蓼科牛は地元産コシヒカリを米とともに稲ごと食べて育つため、肉質はキメが細かく、サシが適度で赤身の味が濃いのが特徴。この店では、同町内の美上下(びじょうげ)地区で家族が営む牧場から牛を一頭買いし、肉をさばいて提供しているので、珍しい部位の肉がメニューに並んでいる。
「部位による味の違いを楽しんでほしい」と代表取締役の角田大徳氏が話すように、例えば肉の形状が似ていることからその名が付いた「とうがらし」という肉は、水分が多いので、レアで食べるのがおすすめ。外バラ肉の「ササミ」はカルビの上の方にあり、脂と赤身のバランスがよいそうで、見た目や味わいにこれほど違いがあるのかと驚くほど。良質な環境と飼料で丁寧に育てられた蓼科牛を文字どおり余すところなく堪能させてくれる。
蓼科山の南側にある蓼科高原は避暑地として有名だが、雪の季節にはスキー場がオープンしてファミリーに人気のスポットに。冬は空気が澄んでいるうえ、この地域は晴天率が高いので、白い雪を被った山々の美しい眺めが楽しめる。
蓼科牛いっとう 立科本店
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TEL 0267-56-3317
長野県北佐久郡立科町茂田井芳田2500-1
上信越自動車道東部湯の丸ICから約25分
北陸新幹線佐久平駅から車で約25分
11:00AM~2:00PM(L.O.)、5:00PM~9:00PM(L.O.)
第3火曜休
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急速冷凍で鮮度を保ったままクール便でお届けする「蓼科牛 上焼肉セット」(9,180円)や「蓼科牛 プレミアムハンバーグ」(120g×2個入・980円)がおすすめ。
取材・文/山下あつこ
写真/シンヤシゲカズ
特撰カステラ
ふくよかな味わいを生む
吟味した原料と熟練の技
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1900(明治33)年の創業以来、120年以上にわたって伝統の味を守り、全国的に親しまれている文明堂のカステラ。その本家、発祥の地が「文明堂総本店」だ。「皆様に喜んでいただけるお菓子づくり」を目指し、おいしく、また安心して味わってもらえるようにと、とくにカステラは原料を厳しく吟味している。主原料である卵は、契約農場と共同で開発した、カステラに最適な品質の専用卵「南蛮卵」を使用。加えて国内産の良質な小麦粉やザラメ糖、もち米水飴を使うことで、上品な甘さの、口溶けのよいカステラに仕上がるという。
さらに、最高級の品質にこだわり作られる「特撰カステラ」は、先の原料のほかに阿波和三盆糖を使用。また「通常のカステラより卵の黄身の割合が多いため、限られた職人しか焼けないんです。丹精込めて焼きあげる、ふくよかな味わいをご賞味ください」と営業課長の中山幸弘氏は話す。特撰カステラは高級感のある木箱入りも用意。進物に重宝されている。
2022年秋の西九州新幹線開業を機に、長崎駅やその周辺は大きくリニューアル。新駅ビルや外資系ホテルも続々開業している。長崎駅の「いなさ口(西口)」側の整備は完了、現在は「かもめ口(東口)」側の整備が進められており、2026年にフルオープンの予定だ
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文明堂総本店
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TEL 095-824-0002
長崎市江戸町1-1
ながさき出島道路出入口から約3分
西九州新幹線長崎駅から車で約4分
9:00AM~6:00PM
1/1休
懐石料理
海に臨むモダンなホテルで
島の豊かな恵みを味わう
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目の前に広がる美しい海景と、館内に漂う静謐(せいひつ)な空気感に魅了される「五島リトリート ray by 温故知新」。五島列島の福江島に2022年8月に開業し、わずか2年強でいくつものアワードに輝く、いま注目のホテルだ。
ダイニングで腕を振るうのは、東京の有名日本料理店で研鑽(けんさん)を積んだ後、このホテルの総料理長に就任した山本祐輔氏。五島産の米や野菜、ミネラル豊富な牧草で育った稀少な五島牛などの地産食材を多用した、独創性にあふれた懐石料理が味わえる。また、特産品の五島うどんを使ったひと皿もラインアップに加わる。一方で魚介類は鮮度を生かすため、塩やしょうゆのみといったシンプルな味付けを心がけているという。「五島産のおいしい焼き塩があるんです」と笑顔で話す山本氏の言葉には、地産食材への敬意と愛着がにじむ。「島の食材の魅力を伝えるのが私の役割。この土地でしか味わえない料理で非日常の時間を感じていただき、食を通して五島のファンを増やしていきたい」と山本氏は言葉を結んだ。
2022年度後期のNHK「連続テレビ小説『舞いあがれ!』」の舞台となった五島。「五島リトリート ray by 温故知新」から望める鬼岳はドラマのロケ地のひとつで、山頂近くまで車で行くことができ、駐車場から徒歩5分程のところに芝に覆われた展望所がある。
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五島リトリート ray by 温故知新
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TEL 0959-78-5551(受付時間10:00AM~6:00PM)
長崎県五島市上崎山町2877
福江空港から約10分、福江港から約15分
おひとり様1泊2食付50,600円~(サービス料込・1室2名利用時の1名料金)
取材・文/宮本喜代美
写真/松隈直樹
※価格は消費税込。 L.O.=ラストオーダー
●取材時期:2024年7月上旬 ※価格など掲載内容は施設や店舗の諸事情により変更となる場合があります。
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