「アナログレコード」を日常にの代表イメージ

連載 趣味のある休日

「アナログレコード」を日常に

大阪の「KAFFE BAR NELLIE(カフェ バー ネリー)」。店内にはヴィンテージオーディオの心地よい音色が響く。

近年、アナログレコードの人気が高まっている。デジタル配信やサブスクリプションサービスがある時代に、なぜアナログレコードが注目されているのか。アナログレコードを日常に取り入れ、趣味にすることの魅力を探る。

2024.11.25

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Q1 なぜ「いま」なのか?

松野光紀氏 クアトロラボ 店長
ライブハウスの運営に関わり、DJとしての活動経験もある

 デジタルで音楽を聴いていたZ世代(1990年代半ば〜2010年代序盤生まれ)の人たちが、コロナ禍で時間ができ、アナログレコードに興味をもちはじめたことが、ブーム再燃のきっかけです。インテリアにもなるジャケットや手間のかかるプロセスがいいとのこと。J-POPをはじめ、Z世代に人気のアーティストが、作品をレコードで出していることも多く、それをきっかけに興味が深まる場合も。

Q2 その魅力はどこにある?

椙下智海氏 すぎした・ともみ
BAR & KITCHEN Funky 店長
音楽の好みはパワフルな女性ヴォーカルのゴスペルやジャズ

 盤の汚れをチェックしてから針をそっとのせ、ボリュームを調節する。その儀式的なプロセスと、柔らかく厚みのある音がレコードの魅力です。ボリュームを上げたときの音の、気持ちよさもいいですね。CDなどのきれいな音は聴き慣れていますが、レコード特有のノイズなども味わい深く、30代の私にとってはレトロな感じで、心地よく聴くことができます。

Q3 レコードのある日常って?

毛塚了一郎氏 漫画家
KADOKAWA『青騎士』で、オムニバス漫画『音盤紀行』を連載

 忙しいときでも、音楽はシビアな時間をまろやかにしてくれます。職業柄、時計は締切というものを突きつけてくる容赦のない存在ですが、レコードの回転となぞる針から流れる音楽が、いいリズムを与えてくれる気がします。レコードのように、限られた音溝のなかに、大きな広がりと豊かな時間を感じるもの。そういう魅力を日々の暮らしで必要としているのかもしれません。

Q4 まず何から始めればいい?

伏木 博氏 フォトグラファー
料理撮影を中心に本誌でも活躍。レコード歴は50年以上

 好きな音楽のジャンルから、またはジャケットがカッコいいからという理由でもいいので、お気に入りのレコードを見つけましょう。プレーヤーについては、最近は性能のいい小型機材もあるので、予算に合ったものを選べばいいと思います。いい音でレコードが聴けるバーやカフェも増えているので、お酒や料理を楽しみながら音空間に没入してみるのもおすすめです。

Q5 どんなプレーヤーから始める?

明石昌洋氏 アバック新宿 店長
オーディオ、ホームシアター構築のスペシャリスト

 オーディオは、凝ろうと思えば際限なく凝れる趣味の世界です。後々カスタマイズができて、それでいてハードルが低いのが、フォノイコライザー(音声信号を増幅させ本来の音に復元する機器)が内蔵されていて、Bluetooth®接続ができ、カートリッジが付属しているプレーヤー。ワイヤレスヘッドホンやイヤホンからスタートして、アンプ、スピーカーとステップアップしていってもよいでしょう。

Q6 趣味としての楽しみ方は?

八木 崇氏 うるとらブギーズ
芸人界有数のアナログレコード好きで、所持レコードは2000枚以上

 僕はヒップホップからレコードを聴くようになったのですが、ヒップホップには昔のソウルやロックの一部を使って、新しい音楽を作る文化があります。そこから元になっているソウルやロックも聴くようになり、レコードの魅力の沼にはまっていきました。アーティストだけでなく、例えばレーベルや奏者に注目するなど、自分なりのこだわりをもって聴いていくと楽しみが広がっていくと思います。

至高の音に包まれる、レコードカフェ&バー

 精度の高いサウンドシステムで、レコードを聴くことができるカフェやバーを紹介。店ごとにかけられる音楽ジャンルが異なり、幅広いレコードコレクションをもつのも魅力。上質な音に包まれながら、こだわりの料理やお酒が楽しめる。

epulor(エプロア)

  • カウンターの内側に設置されているレコードプレーヤーは「DENON」製。

  • 3・4種の豆から選ぶことができ、ハンドドリップで淹れる「スペシャリティコーヒー」(800円)と、「抹茶テリーヌ」(800円)。

  • 所蔵レコードの一部。『Ann Burton/BLUE BURTON(アン・バートン/ブルー・バートン)』など。

 ギャラリーのような洗練された空間で、ハンドドリップコーヒーやスイーツ、ワイン、そしてアナログレコードから流れる音楽を楽しめる「epulor」。スピーカーはタンノイの「スターリング」。アンプは、昼はトランジスタタイプ、夜は真空管タイプと使い分け、浮遊感のある柔らかな音にこだわっている。曲はジャズ、ロック、テクノアンビエントなどさまざま。スタッフが、店内の雰囲気や、その日の天気によって選曲している。

epulor(エプロア)[東京]

TEL 080-8053-1067
東京都目黒区青葉台1-19-10
11:00AM〜11:30PM(L.O.)
月曜(祝日の場合は翌日)、12/30〜1/3休 ※ほか夏季休業あり
※チャージ700円(6:00PM〜)

https://epulor.jp/

クアトロラボ

  • DJイベントに備え、3台ものプレーヤーが並び、ミキサーも設置されている。

  • スパイスで炒め合わせたごはんに、レモンで味付けをした「レモンライス」(1,000円)、広島県瀬戸田産無農薬レモンを使用した「レモンサワー」(700円)、「カスタードプリン」(500円)。

  • 『THE BAND(ザ・バンド)』、『VanMorrison/moondance(ヴァン・モリソン/ムーンダンス)』。

 渋谷カルチャーの発信拠点として知られる渋谷パルコにある「クアトロラボ」。ハンドメードの大型スピーカーをメインに、McIntosh(マッキントッシュ)のアンプを配したサウンドシステムから流れるのは、1960〜1970年代のロックを中心に、ジャズやソウルなど。昼間はシティポップ(1970〜1980年代の邦楽の一種)も流れる。毎週水曜にはDJが入るイベントを開催。オリジナリティーあふれる料理とドリンクを味わうことを目的に訪ねてもいいだろう。

クアトロラボ [東京]

TEL 03-6455-3001
東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ地下1階
カフェタイム 11:30AM〜5:00PM、バータイム 5:00PM〜11:00PM(フード10:00PM(L.O.)、ドリンク 10:30PM(L.O.))
1/1休
※ミュージックチャージ500円(5:00PM〜)

https://quattrolabo.com/

BAR&KITCHEN Funky(バーアンドキッチン ファンキー)

  • 「パテ・ド・カンパーニュ」(1,380円)と「オレンジピール香るジョニ黒ハイボール」(990円)。

  • 2階奥には、木目が美しい、マニア垂涎のスピーカー「Paragon」が設置されている。

  • 『SKYLARK:Live at SOMETIME/Anita O’day(スカイラーク:ライヴ アット サムタイム/アニタオ デイ)』などジャズの名盤が多数。

 1960年にジャズ喫茶として誕生。当時の雰囲気を残しつつ、現在はダイニングバーとして充実した料理やドリンクを提供する「BAR & KITCHEN Funky」。アナログレコードを聴くことを目的に行くのなら、JBL社のスピーカー「Paragon(パラゴン)」が設置された2階へ。レコードのコレクションは1960〜1970年代のジャズを中心に約5000枚。ライブステージの臨場感で、音楽が楽しめる。

BAR&KITCHEN Funky(バーアンドキッチン ファンキー)[東京]

TEL 0422-21-1464
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-7-3
4:00PM〜0:00AM(深夜)(フード 11:00PM(L.O.)、ドリンク 11:30PM(L.O.))(土・日・祝 11:30AM〜4:00PM(L.O.)、6:00PM〜0:00AM(深夜)(フード 11:00PM(L.O.)、ドリンク 11:30PM(L.O.))
月曜、第2・4火曜、年末年始休 ※変更の場合あり
※チャージ660円(平日 4:00PM〜、土・日・祝 6:00PM〜)

https://www.sometime.co.jp/funky/

KAFFE BAR NELLIE(カフェ バー ネリー)

  • 程よくカジュアルな空間は、昼はカフェ、夜はバーとして営業。カウンターのほかにテーブル席、ロフト席などがある。

  • 手前は丹波地鶏の手羽元と淡路島産タマネギを使った「新風堂カレー」(1,100円)、右上は「アイリッシュコーヒー」(1,200円)、左上は「モヒート」(1,200円)。

  • 『Thelonious Monk/Solo Monk(セロニアス・モンク/ソロ モンク)』など。

 扉を開けると、心地よいジャズの音色が響き、目の前に広がるのはブルックリンスタイルを思わせるしゃれた空間。バーカウンターの奥では、1950年代のオリジナルスピーカー、タンノイ「コーナーヨーク」やアルテック「ラグーナ」が存在感を放っている。1950〜1970年代に誕生した音楽のレコードを、同時期のヴィンテージオーディオで再生する。レコードのコレクションはジャズやソウルを中心に約3000枚。料理やドリンクのメニューが豊富なのもいい。

KAFFE BAR NELLIE(カフェ バー ネリー)[大阪]

TEL 06-6442-1812
大阪市福島区福島6-25-28
正午〜翌1:30AM(L.O.)(土 〜翌2:30AM(L.O.)、日・祝 〜11:30PM(L.O.))
不定休
※バータイムチャージ800円(6:00PM〜)

https://www.shinpudo.com/nellie.html

取材・文/土井ゆう子 写真/伏木 博、合田慎二

●取材時期:2024年5月中旬 ※価格は消費税込。 L.O=ラストオーダー ※価格など掲載内容は施設、店舗の事情により変更となる場合があります。

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