メルボルンの歴史と建造物を訪ねて｜海外特集｜旅行

旅行海外特集

Melbourne［メルボルン］

メルボルンの歴史と建造物を訪ねて

丸いドームが特徴的なオーストラリア最古の鉄道駅「フリンダース・ストリート駅」。ビクトリア州の文化遺産に登録されている。

メルボルンは季節によってその表情をがらりと変える、魅力に満ちた街。春から夏は、ガーデンシティーと呼ばれる所以となった庭園や公園に色とりどりの花が咲き、華やかな活気にあふれる。秋から冬は、歴史を感じる街並みに落ち着いた大人のムードが漂い、どことなく哀愁漂うたたずまいへと変わっていく。気の向くままに小路を辿り、歩き疲れたらトラムに乗って、お気に入りの場所を見つけよう。

2024.11.25

建築を中心にメルボルンの歴史を訪ねる

　1835年に本格的な街づくりが始まったオーストラリア、ビクトリア州の州都メルボルン。1850年代のゴールドラッシュをきっかけに、世界中から一攫千金を目論む人々が押し寄せたことで、急速に発展した。街はいまも19世紀の面影を色濃く残し、歴史的な建造物が当時をしのばせる。どこか欧州を思わせる街並みを歩きながら、ときには名物のトラムに乗って、古きよき時代を感じる建築巡りを楽しみたい。
　歴史を訪ねる旅は、ヤラ川のほとりに立つオーストラリア最古の駅、「フリンダース・ストリート駅」から始めよう。1854年に最初の駅舎が建設され、現在見られる銅製ドームの駅舎は1910年に竣工したものだ。

フリンダース・ストリート駅　Flinders Street Station

駅の正面には、各路線の発車時刻を示す時計がある。その下は、世紀を超えていまも人気の待ち合わせ場所だ。

　駅の斜め向かいでひときわ目立つのは、「セント・ポール大聖堂」。建物主要部分は1891年に、尖塔は1931年に完成した。過渡期のネオゴシック様式建築は、19世紀を代表する英国の建築家・ウィリアム・バターフィールドの傑作のひとつでもある。
　このふたつの歴史的建造物が立つ交差点から、レトロな観光トラム「シティサークル」に乗って、世界文化遺産でもある「王立展示館＆カールトン庭園」へ。1880年に開かれた万国博覧会のために造られた白亜の建物と庭園の豊かな緑が、青い空に映えて美しい。
　カールトン庭園から10分程歩くと、重厚な石造りの「セント・パトリック大聖堂」に着く。1858年から建設が始まり、80年以上をかけて完成した、州内最大のゴシックリバイバル建築だ。約103メートルの尖塔や雨どいに付けられた彫刻のガーゴイルなど、細部の装飾も見逃さずに見学しよう。

フリンダース・ストリート駅　Flinders Street Station

TEL 03-9610-7472
Corner Flinders Street and Swanston Street, Melbourne

https://www.metrotrains.com.au/stations/flinders-street/

セント・パトリック大聖堂　St Patrick's Cathedral

TEL 03-9926-5677（事務所）
1 Cathedral Place, East Melbourne
見学：9:00AM～5:00PM
土・日休（ミサあり、ギフトショップは日曜も営業（8:30AM～0:30PM））

https://melbournecatholic.org/about/st-patricks-cathedral/

セント・ポール大聖堂　St Paul's Cathedral

TEL 03-9653-4333
Cnr Flinders Street & Swanston Street, Melbourne
見学：10:00AM～6:00PM（土～5:00PM、祝 11:00AM～4:00PM）
日曜休（ミサあり）

https://cathedral.org.au/

王立展示館＆カールトン庭園　Royal Exhibition Building and Carlton Gardens

TEL 03-9270-5000（王立展示館管理事務所）
Corner Nicholson Street and Victoria Parade, Carlton
※王立展示館は外からのみ見学可、公園は散策自由

https://museumsvictoria.com.au/reb/world-heritage/

地元の人たちが愛するアーケード街へ

　レーンウェイと呼ばれる小路や路地、屋根付のアーケードが、碁盤の目のように張り巡らされているメルボルンの中心部は、徒歩で散策するのがおすすめだ。なかでも、19世紀から変わらず市民に愛されるショッピングアーケードは建築物としても見逃せない。
　「ブロック・アーケード」は、市内で最も華やかなアーケードのひとつ。ルネサンス後期マニエリスム様式を取り入れた建築で、1892年のオープン当時から市民に親しまれている。八角形のドームとガラスの天蓋を支える優美なデザインのブラケット、床のモザイクなど、細部の装飾も見事だ。

ブロック・アーケード　The Block Arcade

「ブロック・アーケード」の仕掛け時計は、毎正時にトランペットを鳴らして時刻を知らせる。

　ブロック・アーケードを抜けると、1869年に、市内で最初に造られたアーケード「ロイヤル・アーケード」が現れる。国内にある最古のショッピングアーケードで、ガラスの天井から自然光が差し込み、白黒のタイルが市松状に並ぶ床を照らす様が美しい。
　こちらのアーケードでぜひ立ち寄りたいのが、ハンドメードチョコレートのサロン、「チョコライト」。2007年のオープン以来、変わらない味で常連客に愛されるチョコレートは、みやげ物にぴったり。店内では、チョコレートを使ったスイーツや飲み物が楽しめ、休憩にもおすすめだ。